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[追求の手が止めば安堵する。
見惚れ視線泳がせた以降は、おかしな様子は見せなかった]
ユリアン、か。
昨日は色々あって気落ちしてたみたいだけど――…
[案じる色がほんのりと滲む。
少しだけ考える間を開けて]
疑われて落ち込んだら俺が慰めるよ。
[他愛ない軽口めいた響きでクロエに笑いかけた]
───違ったけれど、ね。
[ひょっとして、自分の力こそが違うのだろうか。
やはり何か勘違いをしているのかも知れない。
所詮夢なのではないのだろうか。
一度退けたはずの不安に足元を浚われそうになって、
気付かれないように僅か、瞳を伏せた]
…ユリアンも人狼を探すって。
おかしな真似をしたら撃つと言われたよ。
[恐怖を苦笑に紛らわせて笑った。
人狼を探すということは、人が人を殺す可能性を孕む。
ハンスがどうであったのかをクロエは知らない。
耳にしたローザの言葉は、未だ意味を成して繋がってはいない]
ふふ。その時は…アーベルの新作の話を聞かせて。
[それが一番いいと、笑み返す。
日常の会話が恋しかった。心からそれがいいと思った]
そんなに急がなくても良かったのに。
[あまり間もなく戻ったクロエにそう言葉を掛ける]
ああ、ユリアンから聞いたんだ。
俺はカルメンからその話を聞いた。
――…そうだね、それを聞いていたなら
気になるのは当然だ。
[彼女の立場なら己はどう動いただろうと考える。
考えた結果、彼女を信じたいと思う気持ちは強まる事となる]
ライヒアルトは、何者なんだろうね。
[お伽噺を思い出しながら呟く。
クロエの言葉が真実であるなら重なる存在があるが]
――…二つの護り手の一つ。
闇に潜む牙を護り、生かさんとするもの、なら。
シスターを守ろうとした、とも、考えられるが。
考えすぎかな。
[自嘲するように口の端が歪む。
クロエからユリアンの事を聞けば常の笑みに戻り]
そ、っか。
昨日のあれは有言実行だったんだな。
相手は、キミじゃなかったけど。
[旅人の事を思い呟く。
今のところ、ユリアンの行動に違和感は感じられなかった。
依頼主の一人であるからという欲目が皆無とは言えないが]
そんな事ならお安いご用さ。
[新作には二つ返事で引き受けた]
じゃあ、そろそろ行こうか。
[クロエと共に歩もうと声掛ければ
彼女の髪を束ねるリボンが少しだけ曲がっているのに気づく]
ああ、少し、じっとしていて……
[次いで囁くように願い彼女との距離を縮める。
向かい合う形のまま耳の後ろへと伸びる右の指先。
リボンをちょいと摘み整えようとする]
[そんな遣り取りの後、それぞれの個室を訪ねる。
返事なき部屋の扉を開けるのは躊躇われたから
血臭や血痕など明らかな異変がない限りは
諦めて他の場所を探す事にした]
外もみておくか。
ギュンター殿が襲われたのも、外だったから。
[ぽつと理由を紡いで、玄関から外に出る。
屋敷の外周、ギュンターの倒れていた場所、と見てから
彼を埋葬した庭へと足を向けた]
[ドアを閉めようか一瞬迷って中途半端にして幸いだった。
下手に勢い良く開け閉めしたら、外のアーベルが危ない]
…だって、引き止めたし。
[文字通りばたばたと支度を済ませて、眉を下げる。
普段仕事では見せない慌てぶりに、情けなく肩が落ちた]
…うん。でも、辛かったと…思う。
[懇願するようなユリアンの言葉の響きを思う。
出来ればしたくないと心を聞いた気がして、目を伏せた]
そうだね。まだ寝ているかも知れないけど。
[それならば無理に起こすこともない。
疲れきっているだろうことは、自分の身に置き換えても分かる。
それでも心配なのも間違いないから、アーベルの提案に頷いた]
[ミリィの部屋から返事はなかった。
けれども彼女も、
ベアトリーチェとローザの看病と続いて疲れているのだろう。
そう結論して、無理にドアを開くことをしなかった。
外へと踏み出せば、冷え切った朝の空気が肌を刺す。
付け加えられた理由が悲しかった。
反論はなく、共に外へと向かう]
―昨日―
うん。
あたし、エリお兄ちゃん大好きだからね?
[雪嵐と比べ、感情の薄くなってしまった慕っている人>>52を見上げながら、二重の意味を込めて思いを口にする。
それと共に少女の頬は徐々に朱に染まっていったが、どうとられただろうか。
反応がどうであれ、広間の暖炉近くで考え事しながらを大人しく暖まっている。]
[アプフェルクーヘンとホットミルクが運ばれてきた時は、幸せな表情となって食べ始め。
ゆっくりと味わうよに食べ終えた後。
真剣な眼差しで。先程考えていた事を、口にしようと開く。]
……あの、さ。お祖父ちゃん…いなくなっちゃった、けど。
[祖父に身に起きた事を口に出すと、涙目になる。
だが生きている祖父に、もう会うことが出来ないのは理解っている。]
花壇に植えた春を告げる花が咲いたらさ。
一緒に見よう?二人で。 ……だめ?
[きゅぅ、と仔犬のように上目遣いでエーリッヒを見上げたが。
少女の口にした言葉に、青年はどう返しただろうか。]
[その後、少女は暫く広間にいて体を暖めた後。
血が流れた自室がどうなったかを確認しに行って。
遺体は運び出され、血が拭き取られていた事に目を瞬かせた。]
…お礼、言わなきゃ。
[狩人の青年に助けてくれた礼を言ってなかった、と呟いて。
毛布等々、広間へと持ち込んで眠りについた。
誰かに見つかったら、コッテリと絞られただろうが。
新たな命の喪失にツルは背の中程まで伸び、新たな蕾をつけては膨らんでいく。
完全に花開くことがないのは、少女が朱花としての覚醒を拒絶しているからか。]
[目覚めは、外から聞こえてきたローザの悲痛な声>>76。]
…う、ぅ?
……ろずねぇ?
[くし、と目を擦りながら起き上がり。
もぞもぞ、と毛布の中で服を着替えようとした、その途中。]
…あれ。
痣が…拡がってる。
花の色もこんな濃かったっけ…?
[少女は痣の異常をここで初めて認識した。
―薄桃色だった花色は、濃桃色へと変化していた。]
[誰が人狼で、誰がそうやないかなんて、見ただけでは分かれへん。
見える仕草からそん辺り見極められぇほど、うちは冷静やなかってん。
やからうち、目ん前で言葉失っとぉ2人も信じきれてへんかった。
今は全員が疑いん対象やねん]
…… ミリィ …… 中、はこぶ ……
[抱き締めていたミリィの腕持って背負う体勢んなる。
足は引き摺る形んなってもうた。
堪忍な、ミリィ]
…っ、一人じゃ…!
[無理だと、ミリィの身体へと手を伸ばした。
ローザの背に負われたミリィの頭が、俯いてだらりと下がる。
力ない動きが本当に死を思わせて、顔が歪んだ]
このままじゃ、ミリィが傷つく。
一緒に運ばせて。
[アーベルも手を貸してくれるだろう。
短く願って、ローザへと目を向けた]
[痣の異常も気になったが、ローザの方が先決で。
着替えを終えると、外へと向かった。
少女が朱花に覚醒しないのは、覚醒してしまえば今までの生活に戻れないと心のどこかで思っていたから。
祖父が亡くなり、目の前で旅人が亡くなった時点で。
もう戻れないのだと認識していなかった。]
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