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―二階客室―
難しいですか。
如何しても吊り橋が直るまで待つしか無いのかしら。
[其の時はまた頼らなければいけない。
其の分はもっと此処で役に立たなければいけない]
捕まった時に私も少しだけ話をしました。
母さまと同じ力を持っているだろうと言われて。
[其れは他者に内緒で意思を交す事が出来る力。
人ではなく狼と共鳴する力]
でも絶対に内緒だと言われたから黙って居りました。
母さまも此の人達の事に気付いたから逃げろと言われたのだと思って必死に逃げました。
この力を邪魔と思う人達。其れだけは分かります。
此処で起きた事を知れば其れこそ殺されてしまう…。
[人狼と闘う者達。
此後も彼らを厄介事に巻き込むかも知れないと思い俯いた]
[ユージーンに問いかけ、かしげた首はそのままにユージーンの方を見ている。
その後ろからマンジローが階段を上ってくる姿が見える]
……
[視線はユージーンの後ろの人物に一瞬動きユージーンの方にまた戻る。]
−外−
[崖を覗くと、苔に覆われた石肌はだいぶ乾いてきているようだった。
これなら降りれるか…もう少し待つべきかは悩ましいところだった。
そうしてもう一度崖を調べなおした後、館の方へと戻っていった。]
─2階・客室─
……ええ、恐らくは。
[もっとも、村の者がこちらを救いに来るかはわからないのだが、それは言わずに]
お母様と、同じ、力……。
[少女の持つ、真なる力は知らぬから。
それは、他者を視る力と女の中で位置づけられる。
軋みを訴える一部分は、押さえ込まれていた]
……そうなのですか。
それが、何者であるにせよ。
エッタ様を殺させるような事はしませんわ。
[死なせたくはない。それは真意。
状況や真理を越えた、個の想い。
それが他者から見て歪んでいたとしても、女には意味を成さぬこと]
―二階・廊下―
何でしょう。
[常と変わらない態で、話を促す。
背後の気配に視線を逸らす事も無い。
問いを発する養女を右目が、否、既に髪に隠れた左目も共に見ていた]
それは貴女次第です。
[澱みない低音の返答は、すぐには是も否も返さなかった。
かつて書庫にて少女を殺めた銀の刃は、今も身の内にある]
ありがとう、アグレアスにほめられちゃった。
[うれしそうなコエをあげる。
表では首をかしげユージーンを見たままに。]
―二階階段付近―
[階段を昇った先にはユージーンとシャーロットが居た。何やら話をしているようだ。
隣を通り抜ける時に軽く頭を下げつつ、さりげなく尋ねる]
おや、こちらに居られたのか。
ところでお二方、ヘンリエッタ殿を見なかったかな?
―館内→―
[広間に向かおうとして、先に広間から出てくる者の後姿を見止め、獣のごとく気配を殺す。
ユージーンやマンジローなら気づくかもしれない故、変に勘ぐられないよう振り返り注視すればすぐに見つけられる位置にはいたが。
前から感じる声と気配に耳を傾けた。]
―二階客室―
[キャロルの懸念には逆に気付く事が出来ない。
出来たとしても問題無いと判断したかもしれない。
爪と牙を持つ二人が居れば大丈夫だろうと]
ありがとう。
キャロルさんは私の味方。信じられて良かった。
私もキャロルさんの事を守りますわ。
[自然と笑顔が零れる。
本心からの言葉で在る事も変わりが無いから歯車は未だ正される機会を得ないまま歪む]
そう。キャロルさんにお伝えする事が在りました。
もう一人信じて良い人が居たと。
―広間(少し前)―
[刀に手をかけ、いつでも抜けるようにしながら、広間を出て階段を昇っていく。
普段ならば見逃すはずのない気配も、今のマンジローには感じられなかった。
彼の感覚の全ては、二階のある一室にのみ、向けられていたから。
ハーヴェイの気配には気付くことなく、彼は階段の上へと消えた。]
―二階・廊下―
いいえ。
[上がって来た男に一礼をし、質問には首を振る]
ぼくも話があったのですが。
[続く言葉は過去形だった。
その頃には既に、視線は養女の方に戻っている]
アグレアス、マンジローさんがピュエリアを探してるって。
アグレアスは今どこ?マンジローさんは敵かな?味方かな?
[問いかけるコエをあげながら…]
―二階階段付近―
話・・・でござるか。
[ユージーンが彼女に何の話があったのか、疑問がよぎった。しかし、そのときには、すでに墓守の視線はシャーロットの方へと移っていた。
シャーロットは何か知っているであろうか。
同じように、シャーロットの方を見る]
―二階階段付近―
[マンジローの問いかけの言葉にユージーンとマンジローの姿を交互に見てから]
……(ふるふる
[首を横に振って答える知らないと。
その後ろにハーヴェイの姿がひっそりと近づいていることには気づかない振りをして。
視線はユージーンに戻し再度わずかに首をかしげる仕草。
マンジローに注意の意識を若干に払っていることに二人は気づくだろうか?]
すぐ傍に。マンジロウの後あたりかな。
[そう今居る場所を告げた。]
…マンジロウは、どうだろうな。
[彼とトビーとの交流は深く知らなかった故、トビーを殺した事でマンジローが敵になったという思考はなかった。]
油断はしないように。
そこに居る二人は、わからない。
敵だとしてもおかしくない。
[そう囁き告げた]
─2階・客室─
ええ、私は、エッタ様の味方ですわ。
……何があっても、それは変わりません。
[あなたが、何者であっても。
その部分は、声にはならない。
向けられる笑みと言葉を受け止め、歯車は軋んで回る]
……シャーロット嬢、ですか。
[白の星、と告げられた名に、ひとつ瞬く。
過ぎるのは、今朝の様子。
黒い星、「おおかみ」、白い星。
耳にした言葉の内、女が真実と見なすのは]
……わかりました。
ならば、ハーヴ殿も信頼してよいのかしら。
ハーヴ殿は、シャーロット嬢を裏切る事はないでしょうから。
[シャーロットも知らないと言う。どうやら、部屋に引きこもって出てきていないのだろう。それならばそれで好都合だ。探してまわる手間が省ける]
さようでござったか。
それではこれにて。
あぁ、そうそう。
ユージーン殿、ヘンリエッタと言う娘、
どうにも油断できぬようでござるぞ
[去り際にそれだけ告げると、二人の前を去り客室に向かう。]
―二階廊下―
[背後に或るもう一つ気配には気がついていないのか。
視線が動くことはない]
ぼくが此処に来た時、御主人は言われました。
『大切な者を護れ』と。
[それは墓に眠る二人の事、それだけを差すのでは無い]
そうして『仇為す者を赦すな』とも。
[十年来の「約束」を復唱する。
二つの目は変わらず静かだった]
貴女はどちらですか。
シャーロット様。
うん、大丈夫だよアグレアス。
二人はまだわからないもんね。
[直後マンジローがユージーンにかけた声]
マンジローさん、ピュエリアのこと怪しく思ってるみたい。
いまそっちにいこうとしてる、気をつけてね。
―二階客室前―
[居るとすれば、おそらく二人一緒だろう。ヘンリエッタの部屋はノックに何も反応がなかった。キャロルの部屋へと行き静かにノックする]
キャロル殿、居られるかな?
[逆に問われるユージーンの声にはこくりと頷き]
…………………
[私は悪いことしてないよと口だけの動き。声は出ないマンジローが傍にいたから。
それはある意味本心からのものだった。]
……
[かけられたマンジローの言葉になぜこの人はヘンリエッタを怪しいというのだろうかといった感じで首をかしげる。
自分を人狼だと言ったラッセルを人狼だといったヘンリエッタを信じることは別段他の人にもおかしくは見えないはずだろう]
─2階・客間─
[扉を叩く音と、呼びかける声。
碧は静けさを帯び、ゆっくりとそちらを振り返る。
答えるか否かの逡巡。
だが、ここで黙り込んでいるのは得策ではない、と。
そう、判断した女はひとつ、息を吐く]
……何か、御用かしら?
[呼びかけに返す声は、平静さを保ったもの]
―二階・客室―
[少女が本当に占い師で在ったならば立て続けに視る事は叶わなかったはずだ。少なくとも出来る例は彼も知らなかった。
けれど大丈夫だろうと背を押してくれた。だから味方を味方だと告げて更なる絆を引き寄せた。
歪みを孕んだ侭。歯車は軋んで廻る]
はい。そう思います。
ハーヴ様は何時でもシャーロット様の味方ですもの。
[部屋の外から近寄る者が在る事に「少女自身」は気付けない]
『いまそっちにいこうとしてる、気をつけてね』
[前後して響くノックの音。
最前の声は扉の外からでも聞こえただろうか。
与えられていた牙は今手の内に無い。
キャロルが答えるのを緊張して聞きながら扉に向かい身構えた]
─2階・客間─
[占い師、霊能者、そして守護者と呼ばれるものたち。
女はそれについては深くは知らぬ。
だからこそ、疑う事無く、その『事実』を受け入れた]
……ええ、そうですわね。
[扉に意識を向かわせつつ、ひとつ、頷いた
歯車の軋みがまたひとつ、増える。
少女がはきといいきれるほどに二人について知っている事は、違和感となってもいいはずなのに。
疑う事を否定した女は、そこから目を逸らしていた]
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