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そうなんですか……
[ベッドの端に腰を下ろしたまま左手を見やり。
イヴァンの手が炎が消えたままの左手に触れるのは避けることはなく]
――……なにが普通なのか、にもよると思いますけれど?
[にこやかに笑みを浮かべて答えながら、それでも僅かにため息をこぼす。
近くなるイヴァンを見上げて、さてどうしようかと思案するようにじっとみやり]
[男が相手の左手首を握り 一度目を閉じると
ゼルギウスの中でちりちりと燻っていた熱無き炎は
手を通じて火炎の男へと、戻っていった。
それはひとときの事で 男の表情は変わらない]
普通、ってのは、つまり。
[じっと見る相手の瞳を 男も覗き込むように見詰め]
お前、秘宝、盗ったろ?
[囁くような、低い声]
[左手で燻っていた炎がなくなる感覚に、ほっとしたような吐息をこぼす。
左手首をとられたまま、平気そうな様子に流石は火炎、などととぼけた事を考え。
覗きこんできたイヴァンが告げる言葉に、朱色の眸を細めた]
――……やっぱりイヴァンさんが探せる人なんですか。
うーん、しかし、それは違います――といったところで、信じてくれなさそうですねえ。
[確信を得たように呟き。
囁くような低い声に否定してみるけれど、相手も確信しているような気がして、苦笑を浮かべながら首を傾げて見せ]
あの炎はなんなんです?
[秘宝を盗ったことは認めないままに疑問を口にして誤魔化そうとしてみた]
やっぱりイヴァンさんが探せる人だったようですねえ……
ばれてしまいましたが、さて誤魔化せるかな……
[やれやれとため息をつきつつ。
どうやって誤魔化そうかと思考をめぐらせる]
そりゃあなぁ。
[信じてくれない、という言葉に肩を竦める。
手は、離さない]
あれはうちのお宝さ。
うちの姉貴が鍛冶師でな、秘宝の台座を作ってんだ。
詳しくはまぁ端折るがお陰でそういう事が出来る力を、貰ってる。
今回事情で姉ちゃんの代わりにオレが来る事になったから、そいつを預かって来たって訳で。
[律儀に説明しようとする割には良くわかっていないらしき態。
ぐ、と自分より細い手首を握る手に力が入る]
あんなもん盗って、何しようってんだ?
[やっぱり、というようにため息をこぼし。
手を取られたまま、説明に耳を傾け]
なるほど……まあ、そういう役目があるということなんですね。
[原理はわからなかったけれども、探せる、ということが確定すれば納得したように頷き。
大きな手で力をいれられれば、痛みをこらえるように眉を寄せ]
――なにって、私はなにもしませんよ。
秘宝の力が目的ではありませんから。
[だから盗る必要もないのです、と言外に含ませた返答。
とはいえ秘宝の力いがいが目的だとも告げている返答でもあった]
「私は」って事は。
他に居るんだな?力が目的の奴が。
[痛そうに眉を寄せるのも構わず 手に力を篭め
ぐ、とまた顔を近づける。
やっぱり髪がきれいだ、なんてとぼけた事を何処かで思う]
で、お前は他に目的がある、って事か。
……じゃあその別の誰かが持ってる、って事か?
[最早口調は 相手が犯人だと決め付けたもの]
――…っ。
いるかもしれないし、居ないかもしれませんよ?
[握る力が更に強くなると互いの属性が打ち消しあい、小さく蒸気が上がる。
吐息がかかるほど近づいたイヴァンに、痛みをこらえながらくすっと強がるように微笑んで見せた]
秘宝をずっと持ち歩いていたりするとでも?
そんなことはしませんよ、きっと犯人だって。
[決め付けた口調にくすくすと笑って答える。
秘宝をそのままで持つような危険は犯さないけれど。
二つに割った破片を持っていることは、口にしない]
…まぁ、素直に話すとも思ってない。
[ゼルギウスのくすくす笑いに にぃと 口を横に引いて笑み。
そもそも 考える事は見かけによらず好きだが
駆け引きや誘導が得意な方で無いことは百も承知で]
かといって、別に痛めつけるのは趣味じゃねぇしなぁ。
逃げられたくないから、手は離さねぇけど。
[彼の言葉に肩を竦め 一度大きく深呼吸をした。
猪にならぬよう抑える為]
なぁ、なんでビーチェだったんだ?
言ってた通り、何か見られたんか?
[ふと 思い出して気になっていたことを 聞いてみた]
[イヴァンの笑みに朱色の眸を細め。
手を放す気配がないことに小さくため息をつく]
痛めつけられるのは嫌ですよ。
――これが他人事なら逃がしたくないなんて情熱的ですねえとかからかえるのに……こんな状況では嬉しくないですねえ。
[冗談のように軽く答えながら、続く問いかけに眸を丸くし。
認めても認めなくても、もう彼の中では確定なのだろうと、小さく苦笑した]
ビーチェが反省房に送られた理由ですか?
いいえ、彼女はなにも見てないですし、眠っているところを送ったから恐くもなかったはずですよ。
……ビーチェだった理由は簡単です。そのほうが皆が混乱しそうだったから。
[あっさりとばらした。
皆に可愛がられていた幼子だからこそ、そんな幼子を送る人が居るとは思えない、という混乱を誘って。
ある意味それは成功していたことを思い返して微笑んだ]
…やっぱりお前、見かけによらねぇよ。
まぁ、なら、良かった。
いや良くねぇけど。
[苦笑して、手を掴むのと逆の手で自身の頭をばりばりと掻く。
向日葵色の髪は好き勝手な方向を向き その下で大きく溜め息]
さぁて…どうすっかな。
皆の前に引き摺りだすか…
いや、このまま 玉座まで行くか…?
[手は離さないまま 独り言めいた事を言いチラと窓を見る。
此処は二階だったか、という呟きが続くのは少しばかり 物騒]
いえいえ、イヴァンさんも十分見かけによらないかただと思いますよ。
[くすくすと笑いながら、掴まれたままの手を離させようと、力をためて]
どちらも遠慮させていただきますね。
[にこりと微笑みながら、壁に流れる水を利用して水球をイヴァンにぶつけようとした。
たとえダメージが少なくても、一瞬でも手を掴む力が弱まればいいとばかりに]
イヴァンさんは確信しているようで、誤魔化されてくれませんでしたねえ。
残念です。
斯くなる上は、――騒ぎますか。
[ぼそり、と物騒なことを呟いた]
そうか?
オレは割りと見かけどおりだと思うけどな?
[水球が飛んでくるのは 目で確認する前に体が動く。
手首は離さないまま、 ぐ、と背を逸らして避けると
窓へと飛んでいった]
痛い目にあわされるのがキライなら、
オレもあわさないでもらえるか?
[笑み浮かべたまま ぐいと引き寄せようと手に力を篭めた]
いえいえ、十分予想外ですよ。
[あっさりと避けられればやっぱり、と言うように肩をすくめて。
手を取られたまま引き寄せられれば熱気を近くに感じて眉を潜める]
痛いのは嫌いですから、自分が逃れるために行動するのは当然でしょう?
――まあ、少々不利ですが……
[基本的には肉体労働ではなく知的労働に分類される仕事を日常としている上に争いごとにはあまり巻き込まれない立場だったから、戦闘には慣れておらず。
それでも隙をつければ、と無駄な足掻きとして、引き寄せられるまま近づいたイヴァンの面前に水球を呼び出してみた]
そうかぁ?
まさかもっと大人しく見えたって事はねぇだろ?
[自身が見かけと違った、なんて言葉が不思議なのは本音で。
ぐいと引き寄せたのは体ごと捕まえようとしたからなのだが
眼前に現れた水球に顔を捉えられ ごぼり 息を吐く]
ごぼごぼ…っつ
[水球の中に大量の泡。
強い火炎の属性で 蒸発させようと体に力を入れれば
彼の手首には痕が残るほどの握力がかかり
だが息を奪われ続ければその力は更に強まった後
急激に弱まる事になる]
犯人を見つけた、と大騒ぎしなかっただけで十分予想外ですとも。
[水球に顔を突っ込んだイヴァンに、やった、と思い。
けれど、さらに力を篭められ、火炎の属性と共にじゅ、と水が蒸発するような音が聞こえた。
手首についた痕は痣と火傷と両方で、その痛みに顔を顰めながらも水球を操る力は止めず]
――…っぁ……
[苦痛のうめきを小さくもらし、どちらかが耐え切れなくなるまで、やめることはなく。
急激に力が弱まった隙にイヴァンから離れると同時に、水球も霧散した]
――そう簡単に、つかまっては面白くないでしょう……っ
[隙をついて窓の外へと飛び出して。
そのまま落下するか――というときに懐から薔薇色の杖を使って己の力の底上げ。
そして空気中の水分を集めて作ったクッションで無事に着地をしたあと。
――傷を癒すために泉のほうへと、逃げた**]
―昨晩―
[食堂通り越して厨房に来たあたいは、エーリッヒとかと食い物探して食べたのさ。料理は出来ねーけど生のままでも食えるもんはまだまだあるしな。
そんなわけでエーリッヒと、後から誰か来たならそいつらとも分けて、腹が膨れたら部屋に戻ったんだ。
部屋に戻ったあたいは、ベッドの上で腕組んで考えたのさ。]
しっかしどーにか戻るの止めらんないかな…寝たらいちいち戻るとか、めんどくさ…
はっ、そうだ!
寝なきゃいいんだ!
[やっぱあたまいいなあたい!
そんなわけで寝ずに一晩ごろごろしてたのさ。
リッキー達無事かなーとか。あでもハノスケも一緒なら大丈夫かなーとか。
あたいはハノスケが女とかリッキーが苦手だっての知らなかったから(気絶してたしな)、3人いればモン爺だし大丈夫か、ってちょっと安心したんだ。今考えるとハノスケにゃ大変だったのかも。]
……ぐー…
[しかしあたいは明け方近くにとつじょひらいした睡魔って名前の魔物には勝てなかったんだぜ…。]
―自室―
[眠んのが遅くて浅かったせいで、察しがいいあたいは部屋ん中の些細な異変に気付いて起こされたのさ。]
………!?
[黒い影があたいを包もうとしてんのを、内側から見……ってやべー!こいつぁやべー!何か怖っ!
あたいは寒気がするのと血が沸騰しそうになるのが同時にきたのさ。簡単に言うならぞわぞわ、って感じだ。鳥肌立ったぜ。
目は閉じらんなかった。おかげで何が起こったかは見るハメになんだけど…。
捕まる、って感覚の後に別の感じが出てきて、どっちも消えちまった。
あたいは暫く呆然とベッドの上にいたのさ。エーリッヒが来るまでな。]
エーリ、っ…
鍵、あいて
[ごんごん音がしたから、中入ろうとしてんのかなっておもったあたいはそう言った。きちんと言えないのは流石にごうたんなあたいでもびびってたからさ。
ってか震えてら。これはぞくにいうむしゃぶるいってやつだな!
エーリッヒは一人で入ってこれたかな。誰かに開けてもらったかもしんね。
とにかく入ってきたら、あたいはエーリッヒに抱きついたのさ。]
[……ん?あ、そっか、さっきの感じは。]
エーリッヒが、助けてくれた、の?
[うんって言われたら、あたいはエーリッヒに思いっきりぎゅーして背中を撫でるんだ。ありがとう、ってちゃんと言って。
後から誰か来たかな?
来たんなら回れ右したかったんだけど、ちょっと立てねぇ…。
仕方なくあたいは自分がベッティだって事はばらしたのさ。
女王の娘だって事は言わなかったけど、エーリッヒがひょっとしたら何かいったかもしんね。
聞こえたら、今度は目と目の間摘まんで縦皺の刑だけどな。助けてくれてもそのへんはお約束なんだぜ!
ちょっと落ち着いてきたら、あたいは騎士のおっさんからもらった腕輪がバラバラになってんのに気づいたのさ。
最初は守ってくれたから千切れたのか?と思ったけど、あたいを守ったのはエーリッヒの感じがしたから違うよなぁ。
巻き込まれてこうなったのか?
それとも、腕輪が何かしたのか…?]
それとも、古い物(ぼろいの)、くれた?
[誰かに言ったわけじゃねぇけど、あたいは呟いて、壊れちまった『自由』を見ていたんだ。**]
─館内二階・ベッティの部屋─
[扉を頭でごんごんしてたら、鍵が空いてると言うような声が聞こえて。
犬の姿じゃ開けられなかったため、一旦人の姿へと。
金の髪に暗緑色の瞳をした青年に変わると、ベッティの部屋の扉を開けた]
ベッティ! だいじょーぶ!?
[開けた瞬間、誰?って顔をされたかもしれない。
だから、またぽんっと犬型に戻ってベッティの傍へと駆け寄った。
傍によるとベッティが抱き付いて来る。
もふもふでベッティを受け止めると、くぅん、と鳴きながら顔を擦り寄せた]
良かったぁ、無事だったみたいだねぇ…。
うん、ベッティのところに力送っておいたのー。
そしたら、パンッ!って力が弾けるのを感じたのー。
だからびっくりして見に来たんだぁ。
[そうベッティに答えたら、思い切りぎゅーっとされて背を撫でられ。
礼を言われると、へら、と柔らかい笑みの気配を向けた。
他の者達が現れたなら何が合ったかの説明をして。
余計な事を言いそうになるとしっかりベッティに縦皺の刑に処されたり。
ふと、ベッティが何かに気を取られているのに気付くと]
ベッティどうしたのー?
[何かの残骸を見詰めているベッティに首を傾げて*訊ねた*]
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