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[片手でぎこちなくチョコパフェをつつく。
うっかり苺とかころんと落ちたりとか。]
あぁ、一緒に帰ろう。
きっと君も気に入ってくれると思うから。
[ころんと落ちた苺を、ひょいと口に入れた。甘い。
ダーヴィッドの言葉には、もうひとつ頷いて。]
…よろしく。
[ぺこりとお辞儀をした。]
[よろしく、と頭を下げた彼女に、ほっとしたような笑みを。
…ふと目を上げると、窓の向こうにちらりと見えた影。
かちり、と…そのまんま暫く硬直。]
[そこにオトフリートを認め、彼女は微笑む。
そしてふと、不安になってダーヴィットを振り返り]
あっちでは、みんな竜の形?
いや、普段はわりと人型かな?
デカくなってると狭いし、喰ったり寝たりするのにはこの姿の方が何かと便利なんでね。
…俺はこの格好のまま鱗生えたりするけど。
ま、こっちと違って、向こうでなら竜の姿になっても負荷あんまりかかんないし、自由になれるから…移動のときとかは飛んだ方が早いしね。
…そっか。よかった。
負荷は、確かに…すごかった。びっくりした。
[安堵の表情と、つい最近のことを思い出して、ぽつりと。]
…でも貴方ほど食べる量が多いなら
口の大きな竜の方が楽、かも。
…俺はまだまだ成長期だしねぇ…。
[チョコパフェ食べ終わって、苺パフェに手をつける。]
歳を経た竜なら、気の流れを食らうことができるけど、俺はまだそれ出来ないから…。
本来の姿だと…多分もっと喰うとおもう。
[苦笑。]
歳を経た…(ちょっと遠い目
大変だっただろうから。
たくさん食べて、回復するといい。
[その後は、よろしく、と2度は言わなかったけれど。
にこりと笑って、席を立つ。]
[暫くすれば、つれていってもらえるだろう魂の故郷に思いを馳せつつ、少し表情の変わった彼女は窓を開けた。
もうゆるゆる葉がでようかという桜の樹木の花びらが、少し入ってきて頬をなでた。]
…楽しみ。
[ドラゴンズランド。そこで彼女は何を見、何を知るのだろう。
竜の寿命がどれくらいかはわからないが、彼女はここから始まる気がしていた。
…そう、終わって、始まる、のだ。]
[薄紅色のやわらかな雪の向う、一人の影は見えるだろか。
太陽のある反対側の、桜並木の向う側。
ミルクティの色した髪はフードの下。
すこしの苛立ち含む、黒に近い緑の目もまた、かくれがちで見えなかろか]
「おそいです」
[呟き浮いて、その樹にもたれる。
今は他のどれより小さく、花をつける様子のない……
以前は綺麗に花つけた、桜の大樹がそこにあった。]
[長く生きてきたこの樹が切られることを、町にやってきたばかりのかの女は知った。
本当に長い間いきていたのに、ついにと皆は口を揃えた。
くちてしまった枝の先には、蕾のひとつも見当たらない。
とても強く大きな樹だったらしいけれど、今は小さく弱々しい。]
「ずっと……」
[知らずに口からこぼれた言の葉。
続きは細い指の下、声になることはなかったけれど。
かの女は困惑を隠すことなく、一度、視線をはずす。
とらえるのは待ち人の姿。
ためらいなく、かの女はかけた。]
「待ち合わせ、遅刻ですよ」
「ごめん」
[文句をいいながらもかの女の顔はほころぶ。
それを喜ぶように、ふわり、花びら。
ひとつ色付いたそれに、ひかれるよに振り返ったかの女は――]
[それは一瞬の幻だったか。
かの女の視線にかれがそちらを向いた時には既になく]
「リナ?」
[かの女は声をかけられ、手をのばされ……
ようやく気付く。]
「あ、れ?」
[それでも溢れてくるそれを、止めることはできなかった。
ただただそのあたたかな胸にだきとめられて、
うれしいのか
かなしいのか
わからぬままに涙を流す]
[やがてかの女とかれがそこから離れ、
ふわり 一枚の花が舞う。
それはどの樹の花より色付いていて、
風もないのにふわ、ふわり。
ふるい樹の枝から離れて――
そらに溶けるよに、消えた。]
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