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[使用人に聞けばとハーヴェイが言っているのを耳にし、居合わせた使用人に目配せ。
マンジローの方を視線で示せば、後ほど都合がよい時に申し付けてくださいと名乗りでるだろうか]
……
[しばらく皆の会話に耳を傾けながらも視線は窓の外。
今ならまだなんとか家の周りくらいなら大丈夫だろうか、立ち上がり使用人に外にいくと窓の外を指差して示す。
すぐに止められるが首を横に振りじっと使用人を見つめる。
あきらめたように使用人が厚手の外套を用意してくれたので受け取る。]
[少年の言う「すごい」の意味をしばし考え。
それからようやく、ひとつのことに思い至る]
……もしかして、私の仕事の事かしらね?
もしそうなら、そういってもらえるのは、嬉しい事だわ。
[この年頃の少年であれば、舞そのものよりも興行の派生効果の方が印象に残るのだろうけれど、と思いつつ。
向けるのは、やわらかい笑み]
……あら。
[幾度目かの扉の開閉。
声なく入ってくるラッセルの姿に気づくと、視線を軽くそちらに向けて]
……落ち着いた?
[向けるのは、短い言葉]
雨だと気が滅入るからな。
毛皮もぬれて身体も冷える。
[そういえばあの日―シャーロットと出会った日―も雨だったろうか。
そんな事を思いながら、シャーロットに応えた。
表では無口で言葉に不自由する彼女も、こちらでは自由で少し明るい印象だった。]
[ラッセルが広間に入ってくると会釈をする。
部屋の隅にすぐ座る様子には少し困ったように、周りの皆に自分が頭を下げておいた]
……
[向ける言葉はなかったけども。
ハーヴェイがマンジローに紹介をしてくれたことには感謝をしながら、再度マンジローに会釈をする。]
─広間の隅─
[キャロルからかけられる声。
落ち着いたかと訊ねられ、少しだけ視線を返す。
先のことについては落ち着いたと言えるかも知れないが、今この状況を考えるならば人が多すぎて落ち着かない]
……………。
[故に視線を外した後に首を横に振った]
―自室―
[ベッドに飛び乗りシーツを被って丸くなる。
自宅で使っていたベッドより随分質が良いもので、沈み込む体にすこし驚いた]
[自分が女らしくなった姿は想像できない。
キャロルはならばやってみればいいと言ったけれど、どうにもおこがましいような気がしてしまう。
柔らかいベッドが心地良い。
父の消息を、父の著作を追って故郷を出なければ知ることのなかった感触。
いずれここを去るのだ、それも数日のうちに。
ならば少しだけ、知ることのなかったはずの事を楽しんでもいいのだろうか?]
……踏み込んで見るの、も、いいのかも……。
[どうしてもダメだと思ったら、止めてしまえばいい]
うん、雨は…でもハーヴに会えたのも…。
[そのことは少しばかり複雑な思いでもある。
あの時ハーヴェイと出会えたのは事件があったからとも言えなくもないから。それでも雨は嫌な思い出、赤い、血の思い出]
私、ちょっと外行ってくる。
[本気で驚いているらしい、マンジローの様子に、笑みは多少、様相を返る。
どこか、悪戯めいたものへと]
あら、お上手です事。
……生憎、一箇所に落ち着ける気質ではありませんの。
それに、見た目艶やかでも、その枝に毒持つ花を好んで手折る者など、そうはおりませんでしょう?
ですから、落ち着き先が数多、などという事もありませんわ。
[カタカタと窓が音を立てる。
先ほどよりもさらに風が強くなっているらしい。
シーツから頭を出して窓の外を見ると想像通りに空が暗さを増していた。嵐になりそうだ。
ふと来るとき通ったつり橋が頭をよぎる。]
つり橋、落ちたりしないよね…?
[その時小さく間の抜けた音がなり、セシリアは自分が食事をしていないことを思い出した。
広間に行けば何かもらえるだろうか?]
…よし、キャロルさんに、お返事もしよう…!
[セシリアはベッドを軽く整えてから部屋を出た]
気に入ったなら、食後にもう一つ二つあげるよ。持って帰ればいい。
[トビーが自慢してやると、嬉しそうに言う様にそう告げた。
困惑した表情には、気づいたが理由に思い至る事はなく、気のせいかな、に留まる。
名前を言い直し、礼を言う様には笑みを深めた。]
いつも、じゃないけどな。
それはけっこう好きなものだから、持ち歩いてるんだ。
すぐ溶けるから、夏場は食べれないしな。困惑した表情には、気づいたが理由に思い至る事はなく、気のせいかな、に留まる。
[ハーヴェイの言葉には困ったように苦笑いを返し]
武者修行といっても、我もそこまで腕が立つわけでもなく。
我の国ではしばらく前に長く続いていた乱世が終わり、もう剣の時代ではなくなって食っていけなくなったというのが本音でござるよ。
[彼の紹介でもう一度シャーロットの方を見て深く一礼する]
なんと、言葉が・・・。それは何とも気の毒な話であるな・・・。
[シャーロットが外を出ようとしている様子には、大丈夫か?とハーヴェイに目で聞いておく]
―広間―
[広間につくと、人が増えていることに気づいた。
さっき広間に居た時に訪れた人たちだろうか?
会釈をし、自分の名前を告げる。]
こんにちは、セシリアといいます。
よろしくおねがいします。
―広間―
[からかうような言葉に苦笑しながら、どこか明後日の方を向いてぽそぽそと]
そういう方面はなぁ…あんま得意じゃねぇんだよなぁ…
[むー、とどこか考え込みそうになって、キャロルの視線に釣られるように外へと気を向けて]
ったー、降って来やがった。
明日が大変だな、こりゃ…
[ぬかるんだ山道を下りることを思って、頭を掻いて溜息を吐く]
[短い時間、視線を向けた後、首を振るラッセルの様子。
この状況では仕方ないかしら、と息を吐いて]
そう。
……あまり、張り詰めないように、ね?
[向ける言葉は、やはり、短めのもの。
気にかけすぎても逆効果な辺り、厄介ねぇ、と思っているのは口には出す事無く]
[荒れ始めた空を気に掛けていると、聞き覚えのある声がかけられて振り返る]
やぁ、ハーヴェイさんも来てたのかい?
久しぶり。
[あまり顔をあわせる機会はないが、この家と浅からぬ縁のある人物にそう返して。
帰りの足を気遣うのには軽く笑い]
あぁ、それなら…今夜はここに泊まって行っていいって事になったんで、お言葉に甘えるつもり。
この天気であの吊り橋を渡りたくもねぇし…流石に、この雨の中帰ってこいとは親父も言わんだろ。
[最後の一言は半分は冗談のつもり。
そうしているうちに、新たに広間に入ってきた人物を見て、物珍しげに目を瞬かせてみたり]
[マンジローからかけられる言葉には微かな笑みを浮かべて、気にしないでくださいというように微かに首を傾ける。]
……
[そして厚手の外套を着て広間からでようとしたところで、
マンジローがハーヴェイに目配せをしていたがそれには気づかない。]
[少年が威勢良く入ってくるのと、その後で窘めながら異国風の男が名乗るのとに、少なからず驚いて。
幾つかのやり取りの後でようやく挨拶をすることを思い出す]
え…と、初めまして。
トビー君と…シラヌイ、さん?マンジローさん?
…どっちで呼ぶのがいいんだ?東国の人の場合?
[誰にともなく助けを求めてみたり。
他が話すのを見ながら、それとなく真似ていくつもりではあるけれど]
[雨降る最中、あんなに濃い血の匂いを嗅ぎ取ったのは初めてで。
興味を惹かれ、訪れた先の血溜まりの中に、彼女は居た。
その時のことは、驚きと、歓喜に近い想いと共に記憶に残っている。
思い出すと口元に笑みが浮かんだ。
シャーロットにとって忌まわしい思い出でも、自分にとっては喜ばしく、楽しげな思い出だった。
尤もそれを彼女に告げる気はないが。]
外に?雨降ってるぞ?
何か用があるのか?
[ふいに外に出ると言うシャーロットに、そう問いかけ首をかしげた。]
[広間の出入り口でセシリアとばったりあい少し驚いたように後ずさる。
すぐに会釈を返し、向こうの反応はどうだったか。]
……
[広間の出入り口でセシリアが皆に挨拶をする様子を眺めてから、
皆に再度お辞儀をして広間の外にでていった。]
[ギルバートの言葉に、窓の外を見やる。
本降りになるまでそう時間はかからないだろう。
早く天候が回復すればいいのだが……]
[部屋の隅のラッセルに気づき、少し体が固くなった。
会釈をして、視線をそらす。
きっと彼にとってもこの位のほうが良いのだろうと、そのままキャロルたちのテーブルに歩み寄った]
[広間に入るや、誰とも目を合わせずに部屋の隅に行って縮こまるラッセルに怪訝な顔をする。]
おや、彼は確か玄関脇の廊下にいた・・・?
具合で悪いのであろうか?
[キャロルの笑みが変わるのを見て、少し気圧されたように]
ほう・・・毒、でござるか?
いやいやそれはまるで、我の国にいると言う“くのいち”のようでござるのう。
[勿論彼はそんなものに出会ったことは無いのだが。何とも言えぬその迫力に背中に少し汗をかいたとかかかないとか]
っと、人の事訊く前に自分が名前言わなくちゃどうにもならねぇな。
遅くなったが…俺はギルバート・フェイバーって言う。
その、よろしくな?
[いくら驚いたとはいえ、普段はしない失態に照れくさそうに]
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