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[眠る者、おきている者、その様子を見ながら立ち上がる。]
ユリアンはいるのだっけ。
ちょっと、探してくるよ。
あんまり別々にいるより、まとまっていたほうが良いでしょう?
[だけれど、歌をうたう麒麟の方に、まずはそっと近付いて、]
思い出した。君はエーリッヒを知っている? 白い猫。
色々話してくれた中に、君の話があったよ。
今も幸せに暮らしてると思うって、言ってた。そういう顔をしていると、悲しむんじゃないかな。
無理をしてはいけないよ?
[白猫の居場所をいう事はなく、それだけ言うと、広間を出てゆく。
ユリアンの居場所を探しながら、幾つか扉を開いた後、]
……ユリアン
[思わずくすくすと笑ってしまった。良く眠っているようだ。]
ごめんね。
……謝らなきゃいけないのに、言いたくないんだ。
[そっと呟いて、起こさぬように手を伸ばす。
髪に触れ、頭を撫でる。]
悲しまないでほしいなんていうのは我侭だろうにね。
でも、君が元気そうで、良かった。
[前の苗床の感情なのか、それとも自分のものなのか。
リックにそれは判断できなかった。
そっと手を外し、書庫を眺めると、其処を出る。
向かう先は、矢張り森の方であった。*]
それ、時空王様とか楽しみそ…。
[クレメンスの言葉に小さく呟いて。
隣の人の気配がちょっと剣呑になったのでそれ以上は言いませんでしたけれど。いい加減その名前呼ぶことの危険性も覚えましょう]
中枢になった人?
…ええと、ここと同化しちゃった人、だっけ。
[フッと目を落とし、自分の手を見た。
それから顔を上げて視線を巡らし、対たる精霊の所で暫しそれを止めて。悩むような声が聞こえれば目を逸らした]
……ほら、やっぱり無茶してたぁ。
[意識を手放すようにして眠る時空竜に溜息一つ。麒麟の様子を窺う。時空竜は多分、本人もまだ大丈夫と考えた範囲内だろうけれど、それで心痛めるのは優しき麒麟だろうから]
無茶させないためには。
うーん、でも。分かんないよ。
[どうしよう、と最後に覘きこむは隣の氷精。不安そうにその服の端を掴んだ。自分の手は随分と熱くなっていたから。
やがて聞こえてくる麒麟の歌に瞼を伏せた。眠ってはいないのだけれど、傍から見ると寝てる*かのように*]
[歌が紡がれるのを機にしたかの如く]
[創られた空間の“端”を求めて外へ]
[惑わす白霧]
[廻り廻って]
[元の場所へ]
[其れを証明するのは要所に残した目印]
[霧の中なれど心なしか空気は乾いている]
何処まで真似たやら。
[大気に混ざり込む機鋼のちから]
[館から持ち出したパンに齧り付く]
[味は解らずとも感触は『本物』に似て、]
[されど其れより糧として得やすい。]
[右手を口許に当てる][左の裾が風に翻った]
……………、?
[――飛び出す影、]
[彼の動きが止まる]
君は、
[飛び付かれてバランスを崩し座り込む]
[見覚えのある魔獣の姿に目を見開いた]
[首根っこを引っ掴む、][きゅぅと鳴き声]
……、本物か、紛い物か、似ているだけか。
[ちたぱた、][暴れる獣を離して]
[腹に乗せると喉に指を這わせた]
[真偽は定かならず][されど][生けるものの感触]
[全てに干渉せし、天聖が力。
その特性は旋律が紡がれるに従い波紋と成りて、心穏やかになるよう働きかけてゆく。ただ独り―― 己だけを除いて]
[やがて、そっと近づく気配と声。
翠樹の少年が語る言葉に、歌は掠れて。私は両の手で口を覆う。
彼の言う通りであろう。エィリ殿はとても優しい猫であったから]
そう…ですの。心に留めておきまする。
エィリ殿はお元気ですか――…?
[問う声に答えは返らず。広間を出て行く姿を見送る。
昔話をしていたのなれば息災であられようと、微かに表情を緩め。私は幾分か穏やかになりし心地で、再び旋律を*紡ぎ始めた*]
−森上空−
[いつの間にやら屋敷を抜け出し、ふよふよと浮遊]
ふーん。意図せずとはいえ、『原因』が帰っちゃったか
となると、まあ向こうの苦労人が文句言いつつ動き出す、わな
まあ、泡沫の夢として楽しませていただくとしますか
[外にも微かに声が届く。
頬を緩ませ、腰を下ろす。]
こういうことかな。
[創られたもの。
そっと種を落とせど、それは常より遅く成長を進める。
ここは、本来の場所ではない。そう言うように。]
……。
おいで。
[呼ぶと、芽が苗床の腕へと伸び、消える。
空を見た目は、紅色をしていた。]
[ミハエルは、オトフリートの報告からはじまった一連の会話の間も、じーっとクレメンスを睨みつけ、もとい監視していたようだ。]
……まあ、事態がこのようになったとあれば、この空間の核扱いされている奴もおいそれと名乗り出にくくはあるだろうな。
それ以前に、当人へその自覚があるのかが私には疑問なのだが。
愉快犯という言葉もある。
つまり、お前たちが慌てふためく様子を”核”とやらが楽しんで居る可能性もあるだろうな。
[ブリジットに袖を引かれ、彼女の手を握る。]
お前が気負って何とかなるものなのか?
そうでは無いのなら何かと張り切りたがる奴にでも任せておくがいい。
[握った手に特に強く力を籠める訳ではないが、ブリジットの帯びる過剰な熱を冷ますように仄かな冷気が漂う。
そういえば、ハインリヒあたりには人間だとでも思われているかも知れない、とぼんやりと思う。]
……しかし、昔から思っているのだが竜族というのは衆目の前に間抜けな寝姿を晒すことが好きなのか?
ダーヴィッドも適当な場所で堂々と眠っていた記憶がある。オトフリートといい、理解したいとも思わないが、私にはとても不可解だ。
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