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[掛けられる声に振り向くと、見たことのある顔
えーと、と少し考えていたが]
あーと、ハンスさんでしたっけ
えっと、ですね。ちょっと人探しを
[にこりと微笑を浮かべ、そう答える]
[ぴくり、肩が動いた。
少しの間が空いて、声のした方向を振り返る]
ヴィル?
どうしたんだい、こんなところまで来るなんて。
[小さな驚きは嘘ではない。
今目の前にいる人物が教会を厭う者だとは、昔から知っているのだから。
友人を迎える彼の顔は、果たしてどのように映るのだろう]
……うん。
まだ、終わってない。
[静かな言葉。伏した蒼にも静かな色]
連続で、同じ事ができるかどうかは、わかんないけどね。
でも……決めたから。
[背を向ける姉。構わず、言葉を続ける]
一年前には、逃げるしかできなかった。
でも……なんか、もうやだからさ、それ。
ほっとくのも、逃げるのも。
だから……やんなきゃって。
[そんだけ、と。告げる口調は、いつもと変わらない]
―大通り―
人探しですか。
手伝いはいりますか?
[微笑には微笑を返す]
[噂話からの収穫は当然皆無に等しくて]
[半ば息抜きのように尋ねた]
─教会─
[驚きの表情と声を表に出す友人]
[その様子に一度細めた隻眸を向け]
[ゆっくりと傍へ歩み寄る]
ちょいとな、お前に話があって。
時間良いか?
[友人は普段通りのように見える]
[知らぬなら、普段通りの笑みを浮かべて応対したことだろう]
[けれどこちらが向けるのは、取材対象を見る瞳]
[近付いてくるのに合わせ、席を立った]
ああ。
構わない、けど。
[その目に違和を感じ取ったか、訝しげな顔をして友人を見上げる]
血筋なのかしらねえ。
無鉄砲なところは。
[背は向けたまま、笑う気配]
あんたの口からそうやってちゃんと聞くの、
どれだけ振りかな。
私が避けていたのもあるけど。
[リビングから繋がるキッチンに差し掛かったところで振り返り]
なら、後悔しないようにやんなさい?
胸張って。
[和らいだ翠の眼が、弟を映した]
[通信機が拾う音から状況を把握]
ありゃ、向こうから乗り込んできたって感じ?
……何だったら加勢しに行こうか
[返される言葉はなんとなく想像が付くが、一応提案]
─教会─
[距離は手を伸ばして届くか届かないか]
[立ち上がっても遥かに低い友人を見下ろし]
[承諾に感謝するように口端を持ち上げた]
まどろっこしいのは嫌いなんでな。
単刀直入に聞く。
──お前だろう、失踪事件の犯人は。
[訝しげな顔をするのもお構いなしに]
[探りを入れることなく言い放った]
血筋……なんじゃない?
[笑う気配に、返す言葉は軽口めいたもの]
あは……避けてたのは、お互い様、だけど。
[振り返った翠。
真っ直ぐ見れなくなったのは、いつからだっけ、とふと考えつつ。
決意を秘めた蒼に、姉を映して]
ん。
もう、後悔、積み重ねないって。決めたから。
[返される微笑と提案にんー、と考えていたが]
……そうですね、じゃあお願いしようかな
といっても、ハンスさんも知ってる人物なんですが
……アーベルくん、何処にいるか知りませんか?
[にっこりと満面の笑みを浮かべ、消息を問う]
良い返事ね?
[腰に片手を当てる]
さっきも言ったけど、ちゃんと食べてからね。
お腹がすいて一歩及ばない、なんて馬鹿馬鹿しいにも程があるでしょ。
[それで話は終わりとばかり、片付けを再開する。
が、ふと何かに気づいたように再度視線を向けて]
終わったら色々と洗いざらい聞くから。
[宣告した。]
…。
[単刀直入過ぎる言葉を受け、小さく見開いた眼の中に、僅かに動揺が混じる。
けれど次には目を伏せ、息を吐いた]
…なんだい、それは。
こんな時にそういう冗談は、流石に笑えないよ。
それは、わかってるってば。
[食べてから、という言葉に、素直に食事を始め。
直後の宣告に、ぴしり、と音入りで固まった]
……洗いざらい、って。
[どこからどこまでをさすのか、とか。
ちょっとだけ気になりつつも。
その時までは、考えない事にした。
怖いから]
―大通り―
アーベル?
俺は今日はまだ会っていませんね。
家にいるか練習場……には居られないかな。
普段から閉じこもっていられない方だ。
[言葉の後半は苦笑混じりとなった]
[近くの顔見知りに聞くがまだ見かけていないとの返事]
彼に何か用事でもあるんですか。
[特に深く考えてではなく問いかけた]
─教会─
[隻眸は友人の動きを見つめ続ける]
[動きの全てを見落とさぬために]
[故に瞳に宿った動揺も捉えていた]
こんな時だからこそ。
この俺が冗談を言うと思うか?
…それに俺は『見た』んだ。
お前が人を消す様を。
[正確には記憶を『視た』のではあるが]
[結果的に嘘はついていない]
…何で、お前がんなことしてんだ。
金のためか、それとも何か脅されてるのか。
──……何でお前なんだよ。
[声色は感情が籠らず平坦だった]
[けれど最後だけは、信じられぬとでも言うような音が混じる]
大丈夫よ。
素直に生きていれば、怖い事はないわ?
[裏を返せば、という台詞は置いておくとして。
弟の食事の合間に洗い物や簡単な掃除を終わらせて、
普段と変わらない、ラフな服装に髪を結った姿で戻って来る]
アンハルトさんのところに行くのよね。
……私がついていってもいざというときには足手まといだろうし。
それに、自衛団にも寄りたいから、別行動がいいのかな。
[首を傾げつつの台詞]
……素直に、ね。
[裏側は、考えないようにしつつ。
行く先を確かめる言葉に、一つ、頷いた]
うん、そうなる。
……足手まといっていうか……何かあったら、直接『呼ばれる』だろうから。
そうすると、屋根上走ってく事になるだろうし……そうなると、きついでしょ?
[屋根上を走れるのは、長年の慣れと、風の制御故の事だから、そう言って。
自衛団、という言葉に、きょとり、と瞬いた]
―教会―
…。
[団長と少女の2人に関しては、彼は後始末をしただけだ。
けれどそれ以前には直接手を下したこともある。
何より『消す』という表現が、確かにそれを見たのだということを裏付けるように思えた。
俯いたままで、拳を握り締める]
…そうかい。
[小さく呟く声は抑揚のないもの。
足元から伸びる影が、ぞわりと蠢いた]
そうですか、見てないですかー
[残念そうにそう呟く
続いて投げかけられた質問には、んー、と考えていたが]
ちょっと聞きたいことがあって
[ひどく端的に答えた]
きついっていうか無理よ。
姉さんの歳、考えなさい。
[何故だか威張りさえして言う。
それはともかくと、きょとりとした顔に手を振って]
あの後、どうしたのか、聞いてないもの。
泣き寝入りは性に合わないし。
それに、これの「お礼」も言っていないわ?
[これ、と指すのは自分の腕のこと。
裏の意味を含むにしても、何処まで本気かわからない口調で言った]
─教会─
[何かがざわめく感覚]
[肌でそれを感じ、左手はポケットへ捻じ込んだままだが]
[自然体のまま臨戦態勢へ]
[紫煙が男の周囲を取り巻く]
……取材を希望する。
俺が危険を冒してまでここに来たのはそのためだ。
何故こんなことを始めた?
誰に頼まれた?
人を消し、何をしている?
──……何故、俺を呼んだ。
[最後だけは取材内容ではなく、ただ己が聞きたいこと]
……歳の話は、禁句だと思って言わなかったのに。
[ぽつり、と呟いて]
「お礼」……って。
あんまり、キツイのは、ナシね?
[どこまで本気かわからない口調に、は、と息を吐く。
自分が言えた義理でない、という自覚があるせいか。
それ以上は突っ込めないらしい]
……何にしても。
気をつけて、ね?
[気をつける対象は、複数。
自衛団の方もそうだが、昨夜の状況は、どこにいても危険がある、という事を思い知らせたから]
……さて。
だいぶマシになったし、そろそろ行くか、な。
事実を指摘されて怒る程狭い心はしてないし、
そんな暴力に訴えたりもしないから大丈夫。
誰かさんと違って、か弱いし。
[後の台詞にも危機感を覚える様子も見せず、
行き先も違うのだから先に行くと、家を出て行った]
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