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[皺がれた手が前掛けから取り出すのは、薄い青を帯びた石。魔力を帯びた石は細工師なら価値のあるなしはわかるだろう]
硝子とはちィと違うが磨くならお手のもんだろゥ?
ツィムトが煩いんで、ぴかぴかにしてやっとくれさね。
[薄茶色の猫はユリアンの足元をぐるぐると回り、目付き悪く見上げている]
―通り―
[近寄る人の気配に気付いて歌は止まり、目を開けた。
老女を見留め、小さく頭を下げ。
目を細めて、石と猫を交互に見る。
少し待て、と手で示し、一度店の中へ引っ込んだ]
磨くだけなら、朝までには。
[戻って来て、言葉少なにそう告げた。
足許に纏わりつく猫をちらと見たが]
…で。
[今度は代金の話らしく、指を2本立てて見せた]
……う〜ん。
[気をつけなさいね、とか。
戸締りは忘れずに、とか。
先生が戻られるまで実家にいたら、とか。
そんな話がされるのは何故なのか]
……まぁ、ほとんどの人はブルーメの事は知らないから、仕方ないのかもですねぇ。
[知ってる相手からも、心配されている可能性は高そうだが]
でも、大丈夫なのに……ねぇ、リーリエ?
[素の問いかけに、鳥はつい、と目をそらした]
朝までにかね、そりゃぁいい。よろしくお願いするよ。
[無口なのは知ってるので機嫌を損なう事もなく頷く。だが値段交渉になると目つきが変わった。指を一本立てて振る]
…うゥん、猫相手にソイツはちィと高くつくねェ。
コイツと焼き立てのシュトゥルーデルでどうだい?
[1本の指に眉を寄せる。
すぐには首を縦に振らなかった。
が、シュトゥルーデルと言われ、考える素振りを見せ。
暫し沈黙。
やがて、仕方ないと言うかのように肩を竦めた]
よォし、交渉成立さね!
[にんまり笑って竦められた見習いの肩を叩く。気が変わらない内にと石を渡しながら]
焼くのは明日のつもりだから、引き取る時に引き換えようかねェ。
さすがに朝一にゃ間に合わないし、ついでに首輪に加工しといてくれても構わないよ。
あァ心配しなくても首輪分はちゃァんと色乗せするさ。
[肩が少し痛かったらしく、一瞬眉を顰めた。
受け取った石を透かすように見。
言われたことには一つ、二つ頷く。
上乗せの件については気付いていたのか、分かっていて指摘しなかったのかは定かでない。
ついでに首回りでも目測しようと思ったか、屈んで猫を見た]
うんうん、素直なもんさねェ。
ツィムトにも見習って欲しいもんだなァ。
[つい力が入りすぎたのは笑い飛ばして、素直に頷く様子に楽しげに目を細めた。猫は交渉が纏まったのに気付いたのか、なんだよ?みたいな目付きで屈んで来るユリアンを見上げ一声鳴いた]
こら、ツィムト。
ちゃァんときれいにして欲しかったら大人しくしなよゥ。
─森─
[何故か会う人会う人に心配されまくり。
そんな状況にちょっと疲れたのか、森の中へと踏み込んで]
……はい、いってらっしゃい。
[忙しなく羽ばたく白い鳥を、空の散歩へ送り出し、自分はのんびり小道を歩く]
撤去作業始まったら、のんびりできそうにないですしねぇ。
[そんな呟きをもらしつつ、ふわり、スカートの裾を翻す]
[受け取った石は右手の内に。
見上げてくるのをこちらも見返すような形になる。
傍から見れば睨み合いのようでもある。
暫く経った後、不意に左手を猫に伸ばす。
猫が避けないなら、その頭をわしわしと撫でようか]
―森・林檎の木のそば―
こんなもんかな。
どれくらい出来るかな。
ヨハナおばあちゃんの料理は楽しみだな。
美味しく頂くね
[樹に話しかける怪しい姿。]
エーリ君は放っておこう。
ヨハナおばあちゃんはどこにいるかな。
まだ、戻ってきてないかな。
どうしようね。
一応ピアスを取りに戻るかなぁ……。
一気に減っちゃったし、やっぱりあのペンほしいし、どうしよ。
ま、いっか。
[悩んだのは何なのか、森の中をふらりふらり。]
[三歩進んでは立ち止まり、足元に咲く花をしばらく眺め。
そこから三歩行ったら、今度は木に絡みつく蔦の実を眺め。
取り立てて珍しいものはないように見えるのに、何故かその様子は楽しげで]
いつもの秋……ですよねぇ?
落ち着かないのは、なんででしょ?
[木の根元に生えた赤いカサのキノコをつつきつつ、小さくぽつり]
[目を逸らしたら負けと思った猫は、見返す視線を真っ向から受けた。傍どころか猫からは睨み合いのつもりらしい。だんだん尻尾が膨らんでくる。
不意に伸びてきた手にも逃げる事なく睨み続け、結果として大人しく撫でられた。「ミ゛ァーヴー!」と抗議の声付きなのがとっても可愛くない態度]
おやおや、珍しいねェ。ツィムトが撫でさせるなんて。
明日雪が降らなきゃいいけど。
[一通り撫でた後立ち上がる。
猫が大人しく撫でられたことにか、実はひっそり張り合って居たのか、その顔は何処となく満足気であった。
右手の石を一度宙に放り、手中に収め、ポケットにしまった]
じゃあ。
[何も無ければすぐにでも作業を始めようかと、背を向ける]
[満足気な顔を見て猫は敗北感を味わったらしく、尻尾を垂れた。覚えてろよ、みたいな目でユリアンの背を睨んだ後、さっさと通りを歩き出す]
あァ、お願いするさね。
ちょィとお待ち、ツィムト!
[挨拶もそこそこに婆も足を自宅へと向けた]
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