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[幼馴染の内心は知らず、ボクは頷く。
ひとまず、否定以外の言葉が返ってきたことにホッとした。
続く言葉に一度瞬く]
カチューシャのサンドイッチで、花見する?
[カチューシャに言った言葉を、きっと彼も聞いたのだろう。
こんな風にして彼女はずっと、それとなく間を繋いでくれる。
14年前のあの時だって、カチューシャの存在がどれだけ大きかったか]
それもいいな。
[笑う。料理にコメントがないのは、気付きそびれた]
熱冷ましね、分かった。
兄貴にロランの分、用意するように言っておく。
[兄貴の薬はとても良く効く。
うんと請合って踵を返しかける、その先に柔らかな髪が揺れていた]
あ、カチューシャだ。
[向かおうと思っていた、もう一人の幼馴染の名を呟く]
[幼馴染たちを見ていればロランと視線が合う。
笑みを浮かべて手を振った。
話しおわったのかキリルもこちらに気づいた様子に]
ミハイルさんとこにいくのー。
[口元に手を当てて叫ぶ]
たぶんそろそろイヴァンさんがお野菜持ってきてくれるから、
キリル受け取っといてー。
[つまり家で待っていてと。
ちょっと離れた位置のまま叫ぶ横着をしていれば、広場で手伝い中の兄がため息をつく様子が見えた]
[カチューシャの大きな声に、眉と口角が少しだけあがった。
口元に手を当てなくても聞こえるよ、とは返す事無く
手を振られるに膝の上で手を振り返して。
両手を両側に下ろして車輪を掴み、ぐいと力を籠めた]
俺、ちょっとその辺。
[キィ、と高い悲鳴のような音を立てて車椅子を操ろうとして、
振り返られるのに、手を止めた]
――別に、
[礼を言われる事なんてしていない。
むしろ不安を煽っただけだ。
そう思うから、どういたしまして、とはとても言えず。
不機嫌そうに小さく呟くだけで。
離れて行くキリルの背を暫く見送ってから、
車椅子の音はまた、木組む音へと重なった]
―― 畑 ⇒ カチューシャの家 ――
あぁ、いけない。
頼まれごとをしたんだった
[自分の畑で遺体が見つかってから、正確に言えばそこが奇妙になっていると連絡を受け、見つけた誰かと一緒にそこを掘り返してから、こうしてぼうっと何かを考える]
[首を振って意識をこちらに引き戻す。
カチューシャに頼まれた材料をそろえにいった]
―― カチューシャの家 ――
おや
[ついた先はもぬけの空だった。
どうやら入れ違ってしまったらしい。
両手に抱えていた野菜類を見下ろす。
頼まれていたよりも量を増やし、ついでにおまけとしてあの花を使った自家製の瓶詰めピクルスなどもつけていた]
……………。
[せつな、動きを止めて家の中を覗く。
周囲を窺って何かの匂いを探す風]
まあ、大丈夫だろう。
[ことり、と頼まれればいつも届ける冷暗所に走り書きのメモと共にそれらを残しておくことにした]
―― 広場 with マクシーム ――
おう。篝火?
見つかるまで警戒なんかしやしなかったのに?
[そのまま作業に戻ろうかと思っていたら、幼馴染に捕まった。力仕事だ、人手が欲しいらしい。嬉々として作業に引きずり込まれた]
………………
あぁ、なるほど。そうか明日は満月だっけ。
[友人の答えに苦笑する。忘れてた。まだ月の出てない空を見上げる]
なんだかなあ。結局お前は噂を信じてるのか、信じてないのか、よく分からない。
[広場を見たときにミハイルは居なかったから、きっと家に戻っているのだろうと歩いている。
その途中で墓地からやってきた人とかと会ったのなら会釈をしたりもする。
留守を頼んだキリルとイヴァンがすれ違ったことは知らぬまま、ミハイルの家につき]
ミハイルさーん。
[大きな声で呼びながら向かうのは、いつも獲物を捌く庭のほう]
――広場近く――
[キィ、と高い音は、どんなにゆっくり車輪を動かしてもなってしまう。
広場を去る前にカチューシャの声には、ん、と頷きだけ見せて、
ロランはうろりと辺りを巡った後、結局広場へと戻ってきた。
家もまたそこに面しているから、でもあるのだけれど]
…――
[篝火が炊かれる。灰色の煙がもくもくとあがる。
烏色の眸にパチパチと弾ける火の粉を写し、
いつしか誘われるように、その近くへとやってきていた]
―― 広場 篝火近く ――
[マクシームと二人。ちょっといい汗かいた。
人狼の話題になると、信じてないけど疑ってしまう彼と、遺体を埋葬した自分。少し尖って喧嘩みたいな口調になるから、お互い途中から黙々とやっていた]
………お疲れ
[それでも火がつけられれば、彼と一言そう交わしてパンと手を打ち合った。そのまま汗を流すのかどこかに去ろうとする友人を見送ると、ふと近くに車椅子]
こうしてみると、豪勢な話だよね。
夏祭りみたいだ。まあ、それようの道具もひっぱってきたんだけど。
[袖でぐいと汗をぬぐいながら彼の隣へ歩み寄ってみる]
[歩み寄るイヴァンに気づき、ゆっくり視線を向けた。
汗が炎に煌めき、少し眩しくて、目を眇める]
お疲れ様。
…夏祭り?
[少ない人数ながらも、村人が年々楽しもうとしてきた歴史。
甘い膨らんだお菓子やアルコール、串に刺した肉。
少し、ほんの少しだが、表情が綻ぶを止められなかった]
――弔い、酒?
[あの旅人の。
言いわけのように言葉を紡ぎ、首を傾けて見せた]
―― 広場 篝火近く ――
そう。まだ夜通しはしゃぐには少し肌寒いかな
[頷いて視線を落とすと少しばかり綻んだ彼の表情が目に入った。少しだけ肩の力が抜ける]
[視線をぱちぱちとはじける篝火にもどした。
片足に体重をかけ、腕を組む]
何が手向けになるかわからないからなあ。
挨拶くらいしかしなかった。
ああ、でもそれもそれで良さそうだ。
呑むなら何か持ってこようか。
去年漬けた果実酒なら少しある。
酒、良く飲んでた。
何処かの国では20まで駄目だって言われて…
――良く、喋ってたな。
[旅人語りつ腕を組むイヴァンの二の腕に、視線が向く。
自分のよりずっと太い、筋感じさせる腕に目を細めてから
視線はまた、炎へと向けた]
果実酒、いいな。
ミハイルの鹿はどうなったかな…
――本当に、夏祭りみたいになるな。
[暗い噂も立ちこめて不安が染み込む夕の空気だったから。
それもいいのじゃないかと、思えてくる]
[メーフィエという男が村に来たのは、丁度僕が薬師の真似事を初めて間もない頃だった。
今だって大したことはないけれど、当時はもっと簡単な塗薬であるとか、滋養薬のようなものを作っては提供していた。街で学ぶ金などないから全て独学だ。
そんな僕の元に毎日のように訪ねてきていたのが彼だ。
無数の傷をつけてきたこともあったし、足を挫いていたこともあった。
どうしたらそんなに怪我ができるのか不思議なくらいだった。
常連であった彼とは、いつしか仕事でない時にも顔を合わせるようになっていた。
一度酒を勧めたらすぐに酔い潰れてしまったから、以後はなるべく飲ませないようにはしたが。
彼の素性を尋ねたことはそう言えばなかったが、妻や娘の話になると分かりやすいくらいに表情が綻んでいた。相当愛しているのだろうことが伺えた。
だからこそ、己の腕の未熟さをあれ程に悔やんだことは無い。]
―― 広場 篝火前 ――
[彼が自分に向ける視線にはあまり気がつかない。
学生時代は放蕩もあってかなり細くなったが、こちらにもどって畑を継いでから自然と筋量は増えた]
そりゃ不便な国もあるもんだ。
そんな制限かけられたらロランも酒が飲めないね。
ここはここの流儀でいこう。
何か楽しい話はしてた?
色々な国に行ってたんだろか。
故郷が分かれば何か形見の一つでも送ってあげたいね。
[炎の奥に何かそれらの手がかりを探すみたいに、目を凝らす。ぱちぱちとはじける炎が塵をまわせれば、すっと手を動かしてそれを追う]
あの鹿はカチューシャとキリルが頑張るって行ってたから、楽しみだ。早めの夏祭りってのもいいんじゃないか。
頭の固い年寄り連中が軒並み村を下りてるんだし。
俺たちの特権だ。
―― よし、そうと決まれば少し取ってこよう。
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