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[髪の一本も挟まぬように、シーツを敷く表情は真剣そのもの。
丁寧に、それでいて、手早く済まし、頭を下ろす許可をユリアンに出す]
んー?
きっと多分分かってるってー。
[曖昧な言葉をユリアンに投げ、自分は床の鞄を漁る]
そうか?
俺は自然の摂理より、人間の摂理の方が――…っ、と、有った有った。
[よいせと、煎じ薬の包み紙を取り出し、カップの横へ置いた]
─広間─
[自分が言った言葉に驚きが返ったことには首を傾げるばかり。
何かおかしいことを言っただろうかと言う表情。
戸惑いを含んだ否定を聞くと、「ふぅん」と声を漏らした。
その後はただ、階上へ向かうゲルダの足音を聞くだけに]
…じん、ろー。
わるいこ、だぁれ?
[呟いた言葉だけでなく、雰囲気すら危機感は無かった]
冴。
不思議な、名前。
[知らない響きがした]
わたし?
わたし は、 …… わからない。
ひとではないのなら、
わたしは、 …… ゲルダでは、ない?
[鸚鵡から向けられた視線を、今度は避けない。
俯きがちになった上目遣いの眼差しには、常の覇気はなかった。
猫被りは何処かへ消えてしまっている。
それでも、「なに」、と不満げに唇は動いたけれど]
そうかそうか。っと。ありがと。ローザ。まあそれは後ででいいや。
痛みもないし、それにすぐ死ぬだとか。ぶっ倒れるだとかでもなければ治療手段もわかってることだからな
って、いや、血が出たのはナイフで試すためにまず腕に刺したからで
[まあさきほど針刺し間違えて血が噴き出たけど。]
痛みだとか和らげる場所的確にやれば治療になんだって
[と説明]
[シーツが敷かれたなら、そーっと、丁寧に、頭を戻して]
……多分ってなんだ、多分、って。
[一応突っ込みを入れながら、ベッドサイドから距離を取る]
俺的には、どっちもどっちだけどなぁ……。
[呟きながら、薬を出す様子を眺め。
鸚鵡は鸚鵡で、ゲルダを見つめつつ反対側にこきゅりと首を傾げた後]
「だいじょうぶー?」
[何故か、疑問系で言葉を紡いだ]
ゲルダで居られるうちはゲルダで居ればいい。
[聞こえてきたコエにひとつ思い出して]
オレの「人の名前」はハインリヒ。
『冴』はオレの意識の中にあった名前だ。
好きなほうで呼べばいい。
―広間―
[ゲルダの謝罪には「このまま向かうから」と返し]
カル、おまたせ。
後のことは頼んでも大丈夫そうだから。
[傍に近寄り手を触れる]
ねえ、カルが嫌じゃなかったら、暫く一緒に居てもいいかな。
一人でいると何だか頭が痛くなってきそうで。
[深刻ではない声音でそう*尋ねた*]
やだなぁ、俺は可愛い女の子には、滅多に嘘をつかない事にしてるんだ。
嫌われたくないからね。
[へら、と笑ってロミの頭を撫でる。
その場に留まることを決して咎めはしない]
でも落ち着いたなら…いいかな?
安定したなら必要ないんだが…一応様子見に行くか
[いいながらも新たに沸いた湯をカップにいれて立ち上がり、二階ブリジットの部屋へと向かった]
…やめてよね、やっと会えたのに死ぬだのなんだの。
って…試すにしろ加減ってもんがあるでしょ!?
あたしだから良いようなもんの、ほかの人が見たら正気疑われるわよ!?
[ほんのり涙目になりながら怒鳴りつけるも、ゼルの説明を聞くと少し落ち着いて]
…まぁ、やるにしてもブリジットさんの了承を得てからよね。
正直見た目怖いもん、黙ってやられたらあたしなら泣いちゃう。
……このトリめ。
[極々小さな悪態は、疑問系の捉え方故のもの。
掻き消すように息を吐いて、扉の傍から離れて、中へと入る]
ええと、クロイゼルングさん。
[バツの悪そうに視線を彷徨わせた挙句、作業を終えた青年に呼びかけた]
……うん。
ありが とう。
[拙く感謝の意を伝えて]
ハインリヒ。
冴。
好きな方。
―― あなたは どっちが 好き ?
[部屋の中へと入る折、視線を彼へと向け、尋ねた]
クーリェ。
ブージェ、だいじょ、ぶ、なら、よかった。
[少し事実を勘違いしつつ、クロエが戻って来たことに安堵の色を見せて。
手が触れ、告げられた言葉に応ずるように手を握り返した]
うん、いーよ。
カーラ、クーリェ、の、そばに、いる。
[ほわりとした微笑みは、やはりその場には*そぐわなかった*]
[不意に上がった鸚鵡の声に、きょと、としながらそちらを見やり。
それから、呼びかけてくる声にえ? と言いつつ視線を入ってきたゲルダへと動かす]
……なに? どーかした?
あ、あたしはここでお湯冷まし作ってから行くわ。
なんか必要なもん出来てたらまた声かけて。
[クロエに頼まれていた事を思い出し。
医者がまったく来ないことに不安を抱きながらも、すぐに来るだろうから大丈夫、と*信じていた*]
そ?手際良く見えた?
それなら、盛大に褒めると良い。
[に、とハインリヒに笑み掛ける]
医術関連は、旅する上で損にならないからなぁ。
後は、宿代わりに泊まらせてくれた家の人が妊婦さんでね。
それがでかいかな。
[感想らしき言葉には言葉を返さず、ただ曖昧に笑う]
どうやら作業の方は落ち着いたかい?
[シーツを敷く二人に伺うように声をかけ]
手が足りてるようなら俺は戻るけど。
あまり大勢居てもしょうがないだろうし。
いや…すまん。ただこれはもののたとえだから。縁起悪いのは認めるが
[涙ぐみ怒鳴るローザに気圧されるが]
…だってよ。あの人あんだけのろけてて。
聞いてて鬱陶しいぐらい夫と赤ん坊に愛情注いでて…だ。そのどれかが失われるとかは見るに耐えんしな。
それに…やれることやらずに終わるのはあまり好きじゃないんだ
[と、そこはきっぱりと答えて]
了承かぁ…それは…見てから決めるか
ああ。任せた
[とローザにいって二階へといった]
[どっちが、と問われて少しだけ迷う。
願うなら人のままで。だけど]
…出来れば『冴』の方で頼む。
[もう、自分は人ではなくなってしまったから]
よう…どうかな?
[と部屋の面々に聞く。
そもそも己が左腕が血まみれだとかお前のほうが容態を聞かれそうな気がするが、気にしない]
……。
[ユリアンを見上げる眼差しは、普段の「大人しいゲルダ」とは違って。
かといって、先程、怒鳴ったときのような厳しさを帯びているわけでもなく]
その。
なんていうか。
……さっきは、すみませんでした。
[謝罪の前に一拍を置いてから、頭を下げる]
あんなこと言っておいて、結局、私の方が何にもしていなくて。
八つ当たりでした。
[そこから、声量を落として]
後、あれは、忘れて下さい。
つい、口から出ちゃったことなんで、普段は、思ってないんで!
[なかったことにして猫被りを取り戻そうとしたが、それにしては、口調は強かった]
[そこまで言い切ると、はぁ、っと大きく息を吐いて、容態を伝えてくれたダーヴィッドに向き直る]
そうですか……
落ち着いたのなら、良かったです。
……お医者様が来るかどうか、わからないから。
[その事を告げるときには、落ち込んだ声色で]
ダーヴィッドさんも、すみません。
頼まれたのに、ロミルダちゃんに任せる形になってしまって。
[作業を見守る少女にも、ありがとう、と感謝の言葉を投げた]
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