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てるてる坊主だよ。
臙脂の童も知らぬかな。
雨は天の恵みだけれども、
ずっと居られては少し困ってしまうから、
この子らに晴れを呼んで来てもらうのさ。
[不思議そうな小兄に]
[きょとん]
[何かおかしなことを言ったろうかと]
ごはん、食べよう?
おらぁ、おなかすいたけ
[膳を見てにっこりと笑ってみせる]
てるてる坊主。
知ってはおるよ!
じゃけん、そんなに立派ではあらんかったんよ。
[あやめねえさまの言葉に、にこと笑み]
晴れるとよかね。
虹もかかるかのぅ?
うむ、今晩和じゃ…よき顔色じゃな。
[烏とねいろの挨拶に頷けば、あやめと風漣も現れて、]
やあ、そなた達もか。
夕餉の匂いに誘われたかの…さても賑やかなことじゃ。
[仔うさぎ待ちかねたよに擦り寄るを、目を細めて見やろうか。
あやめの抱く白き布には、顔押さえるを思い出し。
琥珀はやや揺れつ見上げるも、軽く笑む姿に口は出さぬ。]
お湯にはいってきたんよ。
あつかったんじゃぁ
[えいかねえさまに答えながら]
[大兄をにらみつけるか]
皆、同じ。
きっとそうじゃけど、気になったんじゃも
[むぅっと少しふくれて]
[*自分も席につこうか*]
今……呼び方……。
[今までと違った、と。
しかし、きょとん、とした様にそれを口にして良いものか、わからずに]
うん、お食事、いただこう。
風漣も、お腹すいたし。
[にこ、と笑みつ、こう返すに止め。
仔うさぎを傍らに、*夕餉の膳へ*]
[膳の前に座りかけて、ねいろと風漣の様子に、少し首を傾げる。しかしそのまま何も言わずに箸をつける]
いいお湯でしたよ。こんな日には、御酒より身体が温まりますやねえ。
[えいかの言葉には、そう応じて、笑む]
[烏が御酒を飲まぬを見れば、琥珀はきょとりと驚き示す。
見咎められれば、慌ててふいと逸らさんと。]
[あやめが白き布指し話すを聞けば、琥珀隠すよに瞼伏せ、]
晴れを呼ぶ…か。
我には縁がなかったな……
[嬉しげなねいろを見守りつつ、零すは小さき独り言。
はぐと大きめの茄子噛み付いて、しばし咀嚼し黙り込む。]
おや、可愛らしい小坊主さんだ。確かに虹でも連れてくれれば、空も少しは華やぎましょうかね。
[あやめの手にする、てるてる坊主に目を向けて、次いでえいかの言葉には、首を傾げる]
お天道様は、呼ばずとも、星を呼ぶのは、舞い手の役ではありませなんだかねえ?
やれ、それほど熱くはなかったような…。
[冷え切りすぎて感覚鈍っておったのか、首傾げつつ言葉を返す。
頬膨らませる姿には、心惑うよに眉を寄せ、]
…すまぬ。
[ばつ悪そうに琥珀が逃げた。]
ああ、きっと晴れるだろう。
虹もかかれば好いね、綺麗だろう。
[風漣と音彩とを見遣るも言葉は重ねず]
白の君もお作りになるかな。
なるほど、星を呼ぶか。
伝承曰く天狗が隠したのだったかね。
なれば舞い手の役目は、
天狗を喜ばさんがためかも知れぬね。
白の夜も悪くはないけれども、
黒の夜に煌めく星も懐かしきかな。
[とおに「ねえさま」と呼ばれるを諦めたがゆえか、
風漣への呼びかけ変わるを、さりとて不思議と思わずに。]
…ああ。うむ、そうか。
[御酒より風呂との烏の笑みには、心読まれたかのよに瞬いて。
なんとも言えぬ面返したか。]
[烏の問いには首を振り]
否、我には星は呼べぬじゃろ。
たとい星を呼べたとて…雲の上では呼べぬと同じじゃ。
[舞い手であるは否定せぬも、面に浮かぶ笑みは仄かに苦く。]
…晴れも虹も良いが、我は雨を好きなのじゃ。
童に作るは任せよう。
[あやめに作るかと聞かれれば、ゆると首を横に振る。]
なるほど、左様にて。
[心得たとばかりに頷いて手を進む]
晴れには晴れの、
雨には雨の趣があろうな。
此方は何方も好みはするけれども、
雨に濡れるが好きな御仁ばかりでは困ろうからね。
我よりもほれ、そこな揺藍殿が相応しかろう。
空のよな髪をお持ちじゃ。
[剣舞は見てはおらねども、立ち振る舞いにそう思えたか。]
天狗が星を隠したか。
さてさて神巫がいらしたものを、真か否か訊き損ねたの。
星もそうじゃが、我は夜も懐かしいかな。
[ふいと座敷の外、白き夜を見やり呟く。]
雲もいつかは切れましょうさ。
それに雨もまた、生きるに欠かせぬものですよ。
[えいかに言って、あやめに、視線を戻す]
天狗が隠した星ならば、天狗になれば戻せましょうかね。
[口調は軽く、冗談事のように]
夜と言えば暗きもの、
ゆえに今がその刻と言われても、
慣れぬ身たれば実感湧かぬだろうね。
[眼差しは同じように外へと向かう]
天狗にとりてはこれが夜であろうかな。
雨にばかり…
…ああ、傘売りが困ろうな。
[あやめへ冗談とも本気ともつかぬ声返し、手を進むるを見やる。
赤と白の手は、器用に小坊主作りゆこうか。]
ああ、いつかは雲も切れようか。
されど…否、なんでもない。
[烏にゆると首振れば、ぱさりと髪が乱れて肩に。]
…そなた、天狗になりたいか。
[あやめへの冗談めいた言の葉を、真に受けて問う。]
[外に向かった眼差しを、内に戻して横顔を見る。]
夜といえば暗きものと信じておったでな。
慣れるには時間がかかるであろ。
じゃが…白き夜こそ天狗が夜なら、天狗は鳥目であるや否や。
[いたって真面目に呟くか。]
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