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気が張り詰めてたか……
慣れない事したんで疲れたんじゃねぇか。
大丈夫、寝てるだけだよ。
[人として紡いだ言葉を聲にかえて]
ほら、ちゃんと寝かせたいなら
部屋まで運んでやっから……
[大丈夫だ、と繰り返し語りかける]
──っく、ひっく…。
だ、って…そう、しないと…ひっく…自分を、護れない…。
周りに、味方なんて……っく…居なかったんだ…。
本当は、寂しくて、悲しくて、独りなのは、嫌だった。
でも、そうしないと、僕は居場所を無くすから───!
Мама…!
[十字架を握る腕の袖で目元を覆いながら嗚咽を零す。
泣いているところ見られたくないなどと考える余裕は無かった]
―湖畔―
まぁ、私にはわかんねぇけど、ミハエルはミハエルで苦労はしてるんだろうな。
[ミハエルの返す反応や言葉から、自分とは違う世界が彼にはあるのだろうと、
けれども悲しげな様子に、それをよしとしている風にも見えず]
なんだろな、私はそんな頭言い訳じゃないからうまく言葉にできねけど、
うちらは別にミハエル心配したってたいした得はねぇし、打算もなにもないとは思わないか?
[その身にはゲルダとクロエが触れようとしていたので自分はその場に立ったままに]
私のこと完全に信用しろとはいわねぇけどもさ、
全部突っぱねるんじゃなくて、それを見極めるのも必要なんじゃないか?
―宿屋 食堂―
そう、なの?
ゼル、急に倒れるから……
[幼馴染に宥められれば、硬かった表情はゆっくりとだが解けてゆき
おなかの子供にと言われれば、ぴくりと一度身を張り、それから緩く目を伏せた。]
……うん、そうするわ。
[叱ってやれとの言葉には、まだ動揺は見えたものの、素直にそうする旨を伝えて。
運んでくれるとの申し出には、小さくだが頷いた。]
お願い……
アル、お部屋一つ借りていい?何処でもいいわ。
[もう一人の幼馴染が一仕事終えて戻ってくるようなら、
自分たちも部屋を一つ借りる旨を告げ。
ユリアンにも頼んで、そこへ夫を運んでもらった。]
―宿屋―
[ゼルギウスから少しだけ眠そうな気配を感じていたけれど
イレーネが気づかなかったならそれは言わずに置いた。
たまには盛大に叱れてみれば良いと思ってしまうのは
きっとからかわれていたような錯覚があったからだろう]
我慢してたけど耐え切れなくなったんだろうな。
眠いなら眠いと言えば良いのに。
[子供みたいだと思ったけれど小さく笑うのみで。
アーベルに部屋を借りるのを待ち
ユリアンと共にゼルギウスを部屋へと運ぶ]
─ 湖畔 ─
うん
[相槌一つ打ち、娘は静かに少年の言葉を待つ。繋いだ手は暖かく彼の温度が伝う。]
解るよ…だって――――…
独りは、寂しいものね
[孤独を埋めたいが為に娘は人を求めた。其れが今の自分である事は変わりない事実。少年の翡翠に浮かぶ涙を見詰めながら、娘は流された涙を、とても美しいものだと感じていた。独りが厭だと想うのは、きっと誰しも厭な筈で。]
泣いても好いのだよ
是は恥ずかしい事じゃないからさ
[嗚咽を零す少年を優しく諭し。彼の本当の想いに触れながら、娘は少年に淡い抱擁をした後耳元で、]
僕は―――…君を信じたいよ
[そう告げて娘は背中をひと撫でした後、ゆっくりと身体を離した。]
……うん、お願い。
[語りかけてくれた同胞に感謝しながら、同じようにこちら側でも頼んだ。
一度ぶれた心は、部屋に戻る最中ゆっくりと落ち着きを取り戻す。
気が張り詰めていたという同胞の声を聞けば、
気を配れなかった事に少ししょげた。]
……もっとしっかり様子、見ておけばよかったわ…。
――…さて、と。
困った子供らを迎えに行くとするか。
流石に、遅すぎるだろ。
[やれやれと肩を竦めて
寝かしつけた大きな子供を見下ろしながら呟いた]
イレーネも疲れただろ?
ま、誰のせいとは言わねぇけどさ。
[微かな笑みをイレーネへと向けて]
何なら少し休むと良いさ。
こいつも隣にお前さんがいねぇと
起きた時におろおろしちまうんだろうし。
[ずっと見てきたから何となく光景が浮かぶのか
そんな提案をしてから二人の部屋を辞した]
ベッティの云うとおりだよ
直ぐに結論を出さなくて好い
少しずつでいいから、今まで目を背けてきた物を
もう一度見詰めなおしても好いと思うんだ
[クロエの言葉も聴きながら少年が想われている事を識る。
彼を案じて呉れるものの存在は確かに居るのだと。]
……心配かけたくねぇから我慢してたんだろうよ。
ま、余計に心配かける事になっちまったみたいだが。
お前さんに知られないように頑張ってたんだろ。
あいつにとっては本望だろうから気にすんな。
[しょげる気配が伝わったから
いつもの調子でからりと笑って]
ほら、そんな顔するなって。
腹の子も、ヴァイスも心配しちまうぜ。
―湖畔―
[泣き出したミハエルの様子に頭をがしがしとかきながら]
思いっきり泣いて、一旦ゆっくり休めば、まぁすっきりするさ。
[ゲルダとクロエが慰める様子に自分もミハエルに近寄り、
2,3回ミハエルの頭を撫でてから笑いかけて]
私もミハエルのこと、信じてやりてぇな。
[青年は外に出る。
既に辺りは暗くなってきているか。
何処に行ったか目星がつかず僅かに彷徨った後
少年の家がある湖畔へと向かう。
漸くミハエル達を見つければ安堵の息を吐き]
――…はぁ。
漸くみつけた。
[ゆっくりと歩み寄る]
─湖畔─
[泣いても良いと言われ、しばらくの間は言葉も紡げないくらいに泣き続ける。
身を包む温もりと囁かれた言葉はゆっくりと身体へと沁み渡った]
──ひっく……。
………こんなに泣いたのは、久しぶりだ。
[一頻り泣いた後、鼻を啜りながら小さく呟く。
ベッティにも撫でられ、ゲルダに諭すように言われて。
それらはすんなりと心に落ちて行く。
自分を探しに来た3人を順繰りに見遣ると]
……みっともないところを見せた、ね。
…でも、その。
ぁ、ありがとう。
心配、してくれて。
[どこか恥ずかしそうにしながら礼を述べた。
口調も普段一人で居る時のものに近くなっている]
―宿屋 個室―
[暫く眠る夫の顔を見ながら、
その顔に白い髪が掛かっていたので、それを払った。]
……ごめんなさい。
もっと貴方にも気を配らなきゃいけないのに。
[深く眠ってしまった為に、おそらく届かないだろうが、それでも呟いて。
流石に子の事を考えて寝ずに座り続けることはせずに、
常のように夫の隣に潜り込むと、
おやすみなさいと囁き、頬を寄せ*目を閉じた。*]
[落ち着きを取り戻したミハエルに娘は安堵を覚えた。後からやって来たらしきライヒアルトに気が付くと、緩く笑ってまた少年へ視線を移した。]
ン―――…すっきりしたかい?
[翡翠の眸を覗き込みながら様子を伺う。
大丈夫そうなら、にっこり笑んで。]
みっともなくなんてないよ
教えて呉れて嬉しかったのだよ
[年相応の口調になった事に気が付くと、矢張り背伸びをしていたのだろうと知れた。休むという言葉には了解し、見送る心算で。]
今日は疲れたのだろうしね
ゆっくり休んで、また明日元気な顔を見せて欲しいよ
―湖畔―
こんな時間に一人で帰る気か?
あー…、ランタンでも借りてくりゃ良かった。
夜道を女子供が一人で歩くな。
あぶねぇって教わらなかったか?
[一人で歩き出すミハエルを追う。
翡翠が此方を向けば、一旦足を止めて]
……っと、私が怖いなら離れて歩く、から。
[無事少年が自宅まで帰るのを見届ける心算で
チラとゲルダやベッティ、クロエにも視線を向け]
うん……。
[夫と子を引き合いに出されて同胞に励まされれば、
流石に沈んでいるばかりもいられずに。
夫の隣に暫くの間大人しく居れば、心もようやく落ち着いてきたか。]
……色々ありがとう、リヒト。
[こちらでも、ぽつと礼を述べて返したその次には、
意識は今夜の狩りの事へと切り替わった。]
私、狩りまで少し休むわ。
時間になったら呼んで頂戴。抜け出すから…。
そうだな、そうするといい。
[家に戻るとの言葉、ライヒアルトが来たのはちょうどその頃か]
ライヒアルトも来たのか。
[片手をあげてふりふりと手を振ってから]
そうだな、近いとは言っても危ないか?
んーー、ライヒアルトと二人が心細いなら私が一緒に行くぞ?
[ミハエルにそう確認するように、もしそうなるならばクロエとゲルダには二人で帰ってもらうことになるだろうか]
大した事はしてねぇよ。
[同胞の礼の言葉に若干照れたような聲]
嗚呼、今のうちに休んでおくと良いさ。
その時は、ちゃんと呼ぶから。
おやすみ、グラォシルヴ。
[未だ気の抜けぬ状況の青年は
少年を見詰めながら眠りに誘う言葉を紡ぐ]
ま、その方が良いだろうよ。
ってか一人でうろうろすんなよ。
分かってんのか?
[信用されていない事など青年は重々承知している。
ベッティの言葉にも傷ついた様子はなく]
いくら待っても帰ってこねぇから
さすがに心配になったんだよ!
ベッティがいくら御転婆だっていっても
仮にも年頃の娘さんだしな。
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