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……。
[ケイジの飄々とした様子にも動じず、ただ黙って煙を吐き出す。
肩の上の小猿には一瞬だけ視線が動き、すぐにケイジへと戻る]
……どうだろうな。
[質問の答えには、やはり、肯定とも否定とも取れない言葉。
非常に話我意の無い男ではあったが、それは逆に感情も内なる想いも、全て自身の中に仕舞ったまま、誰にも悟らせることが無いということでもある。
下手すれば、死んでも何も語らぬまま、何もかも全て闇へと消し去るのかも知れない───そう、男への投げかける全ては闇に消えていく故に、男は闇の象徴でもあった]
ひはっ!!
[放たれた鋼針はリディアの左肩を抉る。
しかし、向こうもやられてばかりではなし。
数は少ないが、的確に顔面目掛けて飛来する鏃に眼を見開く。
急所をガードした左腕にざくざくと鏃が刺さり、血が噴き出し、頬からも、かすったのか血の線がじわりと浮かぶ。
右手で地を叩き、後ろに跳んで着地。
そうして、ガードしていた左腕を下ろした下にあったのは、]
……………きひ、きひひ、きひひひひひひひひひひひひひひひ
[その口元を今までにないほどに歪めた狂笑。
だが、ぴたりとその笑いが止まると]
おーけー、本気出してやんよ
これに勝てたら、喋ってやってもいいかもな
[そう呟く左腕からはポタポタと血が流れ続ける。]
……んむ。
なんも語らず、なんも表さず、けぇ。
無駄ばなか。
それが依頼成功率ほぼ100%ば秘訣かのぅ。
余計なもんば首突っ込まなば、そん分成功率ば上がるけぇ。
面白かことばなーんも言わんに、なかなか面白か男じゃのぅ。
[かかか、と楽しげに笑う。雰囲気は崩さないが、標的を定めるかのような言葉。面白いと言う感情こそが、男の原動力]
……。
[笑うケイジを、今までと同様無表情に見つめ、煙草を口にくわえたまま、くるりと振り返って、歩き出した]
……もう用件は無いようだな。
[今までとは違い、標的を見つめるような表情になっても、男は何も変わらない。
今までにも何度もあったことだ。それと何も変わらない。
そして、このような人間が、いきなり仕掛けてくることは、ほぼ有り得ない。
もっと、それっぽい場所を仕立て上げてから仕掛けてくるのが、このタイプの人間だ。
そう考えると、警戒は解かぬまま、男はゆっくりとした動作で、それでいて、今までとは違う経路で最初に休息していたビルへと*帰っていった*]
そうじゃのぅ、今んところはなか。
……今んところは、のぅ。
[声の調子はそのままに、歩き出すスティーヴの背中に言葉を投げた。男の闇色と、小猿の視線がその背中を見やる]
じゃけぇ、もちっと人生ば楽しんでもよかろーもんにのぅ。
[男のように楽しみ過ぎるのも問題な気がしないでもない。スティーヴの姿が見えなくなるまで視線を向けていたが、それから別の方へと動かして]
結局まぁたやりおうたらんかったのぅ。
まぁ楽しかったけぇ、良しとするき。
[左腕の血は止まることなく流れるが、痛そうな様子も頓着する様子もない。]
ゼロ。コード・ワン
[その宣告と同時、左手のゼロは元の鋼鳥となり肩へ。そして、]
さあ、『魔術師』の登場だぜぇ
『未元の手(ダークマター・タイプ・アーム)』展開
[その宣告と同時。鋼鳥が弾け飛ぶ──否、コアになっている『魔術師』のカードを中心に、鋼の外殻と彼の血で形作られたのは肩から生える『第三の手』。]
…んむ、ひとぉつば終わっとるのぅ。
もう『向こう』ば行ったかね。
[懐に手を伸ばし、カードの情報から二枚のカードが移っているのを確認する。その移ったカードを知り、仮面の奥で口端を持ち上げた]
なんじゃあ、結局愛おしくてちゃっちゃと向かいおうたか?
顔ば見るんが楽しみじゃ。
[以前の会話を思い出し、可笑しげに笑いを漏らす。懐から手を離すと、再び当て所なく廃墟を彷徨い始めた]
[血を媒介としている。ソレは赤黒くむしろ悪魔の手と言った方が的確かもしれないもの。
そして、使っているものがものだけにグラリと立ち眩みを起こし、頭を押さえつつ、]
…………ああ、先に言っとくけど
これを下手なモンで受けようとしないほうがいいぜ
『食っちまう』からな
[正確には、並のモノなら接触・解析・溶融を一瞬でこなすというのがコレの仕組みなのだが、そこまで説明する義理はなし。
その腕は大きく撓り]
じゃあ、頑張って耐えてくれよぉ
[リディアを押し潰さんと上から襲い掛かる。]
負けるわけにはいかない。
あの子のためにも。
[紅の広がる左肩を押さえながら呟いた。
目の前の男に問うのは個人的な話だ。
最初にカードを手に取った目的とは異なる]
……二言はありませんね。
[痛みと狂ったような哄笑に顔を顰めていたが、ぴたりと止まり変化する空気に身構える。
鋼鳥が変化し巨大な腕となってゆくのを無言のまま見つめて意識を張り詰める]
悪食。
[忠告に短く吐き捨てるよに応え]
――Eismauer.
[剣を横に構えて生み出したのは盾より数倍の規模となる氷壁。
受けた攻撃を同じく返して弾くためのものだが、わざわざの忠告をよこされるほどのものに耐えられるかは怪しい。
自由には動かなくなっている左手を懐に差し入れた]
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