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─2階・客間/昨夜─
[渡された白い花とその理由。
戸惑いは束の間、返したのは、お上手ですこと、という軽口]
[その後に語られる、能力者についての話。
碧は、険しさを帯びる]
……能力者、か。
それについては、人伝で聞いた程度の事しか知らないわね。
深く調べるような時間も、必要もなかったから。
……できれば、深くは関わりたくなかったけれど。
[呟いて。
深く息を吐いた後の長い沈黙に、僅かに眉を寄せる]
ハーヴ殿?
[どうしたのか、と問うより先に語られた事。
ラッセルも力持つという可能性。
そして、偽り言う者の存在の示唆。
碧の瞳が、やや、細められた]
……そう。
ありがとう、色々と教えてくれて。
[立ち上がるハーヴェイに向けるのは、短い言葉。
そして、立ち去り際に向けられた問い]
……誰を?
あら、わざわざ聞かなければわからないかしら?
[はきと言葉にはせず、はぐらかすよに、笑む。
碧の瞳には、笑みの気配は見えぬやも知れないが]
―回想―
[疲れ果てていた前回とは違い今回は襲撃の空気がコエを通じて確りと伝わって来た。
興奮は伝播し眠れぬ侭に寝台の中で胸を躍らせた]
本当の人間の価値を知っているのはアグレアス達だけ。
[同じ様に食べたいとは思わなかったが其の言葉は深く刻み込まれていった。深く狂気と混じり合い生き残るべきは真の価値を知る者達であると変化してゆく]
―ラッセルの部屋の前―
[首を振るのも、続く言葉も、表情も。見て、聞いて、不思議そうな顔をする。
ひつじ、というものが何か、トビーは知らない。おおかみ、というものも、トビーは知らない。
ただ、強いものがおおかみで、弱いものがひつじだというのはわかった。]
ギルバートさん、強い人だと思ってたけど、違ったのかなぁ。
それとも、殺した人が、すごく強かったのかな。
でも、信じたら死ぬって、おかしいよ。死ぬのにそんなことは必要ないよ。
信じなくたって、信じたって、死ぬよ。嘘ついたって、死んじゃうし。
生きるのってとてもむずかしいよ。
綺麗な人は、ちがうのかもしれないけど。
[少し首を傾げて、ラッセルのふるえに、またグラスへと手を伸ばす。持っていたほうが安全かなと思って。]
誰のせいで死ぬなんてないんだよ、ラッセルさん。
あにきが言ったんだから本当だよ。
死んだら、それは自分の責任。ギルバートさんがラッセルさんを護るって言ったなら、ギルバートさんはそうしたかったんだから、ラッセルさんがラッセルさんのせいだって言ってたら、きっと悔しいと思うよ。
[ハーヴェイが出て行き、ひとりになった女はひとつ、息を吐く]
……何が真実で何が偽りか。
それは、人のものの見方、考え方と同じ。
あるものの真実は、あるものの偽り。
全てが重なり、同じになるなど、稀有なこと。
[歌うよな呟きの後、手にした白の花弁に唇を軽く、触れる]
……私は、私の思うままに。
[呟きを聞くものは室内にはなく。
やがて舞い降りる眠りという紗に包まれた女を呼び起こしたのは、叫び声]
……何が?
[訝るように呟いて。
身支度を整えると、廊下へと出る。
白の花は、小さなコップに生けられ、窓辺にひっそりと置かれていた]
―廊下―
[ふらふらと歩いているとハーヴェイから声をかけられる。
声より先に肩に手を触れられていれば驚いていたかもしれない。
けれどもかけられた声はよく知った、慕う相手のものだったから驚かない。
振り向いて向けた表情は不安げで、けれども体の微かな震えはとまっていた]
……こわい……
[小さい声で応えて、きゅっとハーヴェイに抱きついた]
―二階・廊下―
[悲鳴の起きた場所から、墓守の使う部屋までは距離がある。
その為墓守がそれを目にしたのは、既に幾人かがその場所を訪れ、或いは立ち去った後だった]
フェイバーさん、ですか。
[青年の縋る亡骸を見て、確認するように呟く。
彼等が此処まで親しくなった経緯を墓守は知らない。
けれど仕事の為に彼を引き剥がすようなことは無く、少し離れた場所から、少年と話す様を見た。
少し前に来ていたらしい令嬢が二人に近付くのもまた、視界の端に収める]
─自室前廊下─
だって、前も……!
[トビーの言葉を否定する材料は持ち合わせていない。
けれどそう思ってしまう状況が揃っている。
泣きながら言い返そうとして、言葉に詰まった。
その間にトビーの手がグラスへと伸び、ラッセルの手から抜き取ってしまった]
うっ……ぅぅ……。
[空になった手で目元を拭う。
何度拭っても涙は止まらなかった]
―二階廊下―
何が有りましたの。
[錆の匂いが強くなり息を飲む。
下唇を軽く噛み締めて足は止めずに進む]
フェイバー様が亡くなられたのですね。
[近づけば会話の内容も届いて来る。
確認する様に部屋を覗き込もうとした]
―ラッセルの部屋の前の廊下―
[ラッセルに言っていたら、ドアの音でようやく気付く。
声の方を見る。
昨夜もなんだか、へんな目で見られた気がする。]
おはよう、ヘンリエッタさん。
ここは危なくないよ。たぶん。
[ギルバートの死体のそばだというのに、大丈夫だよと言う。
その先に、黒い影があって、そちらにはまた片手を振る。]
―廊下―
怖い?どうした、大丈夫だよ。今は俺がいるから。
一人じゃないから、大丈夫。
[そう子供をあやすように背を撫で、シャーロットをなだめた。
そうして少しした後。]
……向こうで何があったか見てきたかい?
[そう遠まわしに、怯える原因だろう事を尋ねた。]
─2階・廊下─
[部屋を出て最初に感じたのは、昨夜も間近に接したにおい。
眉をひそめ、周囲を見回したなら、その源には容易に気づける]
あれは……ギルバート殿?
[小さく呟く。
亡骸の側には、青年と少年。そして、近づく少女の姿を認め。
歩き出そうとした時、ふと、もうひとつの気配に気づく]
……墓守殿。
―二階廊下―
お早う御座います。
[トビーに危なくないと言われ頷き足を進めた。
露になった光景からは即座に顔を背けてしまう。
近くに居るトビーを見て。
ラッセルを見ると動きが止まった]
………。
[凝視する様に見詰める]
[ハーヴェイから宥めるように背中をなでられる。
一人じゃない、しかもハーヴェイが一緒。もうそれだけで安心ができる。]
…あり…がと…
[小さな声を返しハーヴェイを見上げる。まだ少し硬さは残るがおびえてる様子はだいぶ消えた]
…(ふるふる
[見てないと。首を振って答える。そこに一人で行くのは怖くてとても無理だったから。]
―ラッセルの部屋の前―
一度でも、二度でも、三度でも、四度でも、何度あっても偶然だよ。
そういう風に、誰かがしてるのだったら、別だけどね。
ラッセルさんが信じたら、信じた人を殺す、とか。
して、楽しい人いるのかなぁ。
[首を傾げて。
コップを取った手は、体の前。ちゃんと握っている。
泣いているのをみて、拒絶されないなら手を、涙をぬぐうように伸ばそうとするけれど。]
水、もっともってくるね。
でも、その前におりてきてくれたらいいなぁ。って思うよ。
ずっと座ってると歩けなくなっちゃうから。
ええと、広間?に行ってるね。
[涙に触れるにしても一瞬だ。
そのままくるりと向きをかえて、広間の方に*降りていく*]
邪魔なの。
二人を視られたら困るの。
[昨夜「踊り子の君に」と囁かれた事を思い出す。
此の場で口に出すのは賢明では無いだろうか]
―二階廊下―
[視線がこちらに向いた者には、静かに深く頭を下げる]
人狼ですか。
[そう尋ねたのは片手を上げた少年にか、涙する青年にか。
漏れ聞こえる会話の内容に口は挟まないものの、時折目を細めていた]
御早うございます。
[背後からの女の声にも、常と変わらぬ表情で、常通りの挨拶を返す]
ピュエリア?ピュエリアは今ラッセルの傍にいるの?
[尋ねるコエ、そちらの様子はここからでは確認できなかったのでどうなってるのかはわからない。
ギルバートが死んでいることと、それに泣き叫ぶラッセルの姿は想像がついたが]
うん、困るけど、ピュエリアも無理はしないでね?
キャロルさんはちゃんと傍にいてくれる?
[そうかけたコエをピュエリアはどうとっただろうか?]
─自室前廊下─
[ヘンリエッタに気付くのはかなり遅れた。
トビーが声をかけたことで傍まで来ていることを知る。
声をかけることなぞあるはずもなかったが]
……そんなの、僕には分からない……。
[自分の信じる者を殺して楽しい人が居るのか。
そう疑問を口にするトビーには一言だけ紡いだ。
その後はただ嗚咽ばかりが口を出て、涙を拭って行くトビーの手を拒絶することも出来なかった。
広間へと降りて行く背中すら見ることが出来ない]
─2階・廊下─
[常と変わらぬ、墓守の挨拶。
苦笑がこぼれた]
おはよう。
……本当に、あなたは、こんな時でも変わらないのね。
[返す言葉にこもるのは、呆れかそれとも感心か。
それから、碧の瞳は倒れたギルバートへと]
……アーヴ殿と同じ……かしら、ね。
―廊下―
そうか……シャロ、俺は向こうに行こうと思う。
部屋に戻っているかい?それとも、俺と一緒に行くか?
[そう怯える娘に告げた。
私的には向かいたいという思いはあれど、彼女に無理をさせる事はしたくない。
ゆっくりと、考える時間を与えるように彼女に告げた。]
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