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―宿屋/ブリジットの部屋―
[冷静に考えるも何も、唯、第一発見者は疑われるの法則を持ち出しただけ。
ゼルギウスとしては、心配を向けた心算であったが……―――。
隠すことをしないベッティの疑惑の目に、苦笑は深まる。]
――……私が慌てふためいたら、イレーネが不安がるから。
[それは真実ではあったが、それにしても冷静であると見えるのは間違いないかもしれない。
さて、アーベルの答えはどうであったろうか。
その答えを聴き、おそらくはどんな答えでも頷いて見せ、ポツリと呟く。]
こんな時に、いうことじゃないかもしれないけど。
ううん、こんな時だからこそ、かな。
ベッティさんのこと、ちゃんと考えた方が佳いよ。
アーベル君がどんな答えを出すにせよ。
私が言うのも可笑しなことだけれど、
一つを強く想うことは、強くもあるけど酷く脆いことでもあるから。
[既に姿の見えないベッティについて、相変わらず判っているのかいないのかの言葉を紡ぐ。
去り際の彼女の言葉には淡い笑みを向けただけ。
一先ずは今朝、妻の生存は確認できているけれど……それを謂ったとて、彼女の心には届かないだろうと思う。今の保障はないと謂われてしまえばそれまでで。それを謂うだろう心境だと判るから。]
[こふっと一つ咳きつく。
刹那眉間に皺を寄せ、直ぐに何事もなかったかのように常の表情を取り繕った。]
じゃあ、私は自衛団に報告に行って来るよ。
嗚呼、もし、イレーネが起きてきたら、
私は自衛団に報告に行ったと伝えてくれないかな?
[一般的に第一発見者だから疑われるよ?と謂ったにも関わらず、けれど、ゼルギウス本人は疑っていないと暗に告げるかのように、大事な妻への伝言をアーベルに頼む。
そのまま引き止められないのならば、銀の影は詰所に向かい、そしてそこで赤い髪の青年の死を識るのだろう*]
ん。ちょっと失敗しちゃったかなぁ。
ベッティさんに疑われてしまったみたい……―――。
[ポソッとまるで懺悔をするように、告げる言葉。
リヒトはグラォシルヴは起きていただろうか。
どちらかの声が返れば、ことのあらましを説明する。
アーベルの返答次第ではあるが、ベッティかアーベルどちらかに何かがありそうな気がすると推測を付け足しながら*]
―宿屋 個室―
[昨晩は騒ぎがある前に部屋に戻ってきていた。
部屋で喧騒に微かに気づいたものの、夫のことと自身の事を考えて
結局様子見には行かなかった。
そして暫くの後、夫の横に潜り込み、いつもの様に眠りに落ちまた朝を迎える。]
―宿屋 個室―
……ゼル?
[目を開けてまた夫がいないことを不安に思い
――今日はメモも無いこともそれに拍車をかけたか。
不安気に部屋の外に出ると、血の匂いを嗅ぎ取った。
妊娠中は嗅覚が上がっているらしく、微かな鉄の匂いにも鼻は過敏に反応する。
おそるおそるゆっくりと、血の匂いのする方へと向かい
ぴたりと足は、その元の部屋には入らず外で止まった。]
……ね、何があったの……?
[中に入らない、入れないのは
その先にあるものに見当がついてしまっているから。
目にせずにいれば、表情は怯えを含みながらも、狼狽する事はなく。]
―昨夜―
え……ゼル、食べてないの?
[言い訳に目を丸くして>>*22、次には眉根を寄せた。]
駄目よもう、そんな不精して……!
……気づかなかった私も悪いのだけど……。
[ベッティが進んで食事を出していたせいで、
夫も食事を取っているものだろうと思い込んでいたが甘かったか。
自身が気づかなかった事に逆にしょげてみせれば、
夫も少しは狼狽してくれるだろうか。]
もう今日は遅いから用意できないけど……
明日は朝食、必ず食べてね?
[子供に叱るように指をさして、念押すように言ってから
ミハエルとユリアンの事を聞かされれば、分ったと一つ頷いた。]
―現在軸―
[夫からのコエが届き、どこかで無事なのだというのが分れば
ホッとしたように内心で息を付いた。
懺悔のような言葉には、どうしたのとその経緯を尋ね聞いてから]
ううん、仕方がないわ。
誰にも疑われないなんて、こんな状況じゃ難しいでしょうし……。
[些細な事が疑いの種になりかねない今は、
全員が身奇麗なままではいられないだろう。]
─昨夜/宿屋・食堂─
[赤毛の男性についてアーベルから言われれば、そうだね、と遠慮がちに頷いて。
ゲルダがお茶を淹れるのなら、自分も一緒にその準備を手伝った。
カルメンとイレーネが読んでいる本の内容について話しているのは、丁度席を外していたので聞いておらず。
ライヒアルトがゲルダを気遣うのには、ふわり微笑むだけで口を挟むことはしなかった。
ユリアンやミハエルたちとも一緒にお茶をして、しばらく過ごしたものの。]
…ベッティ、遅いな。
[そう呟き宿の方に視線を向け、彼女を呼んでこようと立ち上がり。
ゲルダ達も共に来るなら、一緒にベッティを呼びに部屋へと向かうも、自室で眠っている彼女を見つければ無理に起こさない方が良いかと、声はかけぬまま食堂へと戻った。]
ゲルダ、私ちょっとお風呂もらってくるね。
[お茶会も終わり、片付けを済ませた後。
椅子に座って休んでいる幼馴染に声をかけ、アーベルに頼んでお風呂を借りたのだがなにやら外が騒がしくなり。]
…何か、あったのかな。
[何が起きたのかが気がかりで、手早く入浴を済ませ。
体はきちんと拭いたものの髪はまだ濡れたまま食堂へと戻った。
丁度外から戻ってきたユリアンの姿がみえて。]
ユリアンさん、なにかあっ…
[そう声をかけようとした所に、自衛団員が入ってきて、自分の名を呼んだ。
それが意味することは、一つ。]
あなたたち、誰か、殺したの?
[その問いに答えはなく、腕をつかまれ引かれるままに宿を出た。
誰かが引きとめようとしてくれるなら、心配しないでと無理に笑顔を作ってそれを留め。
蒼鷹がついてきてくれるならば知らず安堵の表情を浮かべるが、ついてこなくても、大丈夫だから待ってて、と微笑んだ。
そのまま詰め所へと連れていかれ、ダーヴィッドの骸と引き合わせられるも。]
……っ…!!!!!!
[命を奪われたばかりの骸と向き合うのは初めてで。
そこから流れ込む感情の強さに意識が一瞬遠くなった。]
[ぐい、と自衛団員に肩を引かれ遠くなった意識が戻り。
ダーヴィッドの正体について問われると、いまだ押し寄せる波に抗いながら、かろうじて声を発した。]
この、人は……人狼、じゃ、ない…
人、間……です。
[彼の体を包む光は、ただ白く。
けれど押し寄せる感情は、滅裂なものだった。
恐らくは正気ではなかっただろう彼の、全ての感情が死によって解放されたせいで。
それでも根底にあるのは、人狼を許さぬという強い正義だった。]
[ダーヴィッドは人狼ではないとだけ聞けば自衛団員はもう帰って良いと言われたが、しばらく立ち上がることもできずその場で目を閉じて情報を遮断した。
蒼鷹がついてきていたなら、そばに居てくれただろうか。
その様子を自衛団員達は薄気味悪いものを見るように遠巻きにしていただろう。
しばらく休み、ようやく動けるようになった時。
ゆっくりと瞳を開き、横たわる赤毛の男性の顔を見つめて。]
…ベッティのこと助けてくれたのに。
お礼、言わずじまいで、ごめんなさい。
貴方のこと、よく知らないままに、怖がってごめんなさい。
─…どうか、安らかに。
[思えば、結局名前すら知らずじまいだった男性にそう囁くと、立ち上がり。
詰め所を*後にした。*]
―前夜・宿の食堂―
[イレーネの礼の言葉>>104に微かに頷く。
ラベンダーに関しては気にする風でもなく]
ま、必要ないならそれに越した事はねぇさ。
[ゲルダの向ける眼差し>>106に照れた方に頬を掻き]
香草の類……そうさな、パセリなんかも良くねぇって聞いた事がある。
毒素を消す効果がある反面、宿る命まで消しちまいかねねぇとか。
紅茶も好きだろうが、一日一杯か二杯くらいに抑えとくのが安心かね。
レバーを食い過ぎるのも良くねぇな。
ま、何でも多すぎると毒になる事があるって話だ。
あー…、カモミールやオレンジピールならまだ安心か。
今度持ってくっかねぇ。
[つらつらと本の中に記されていた知識を口にする。
無論独学であるから必ずしもそうであるとは言い切れはしないが
ラベンダーの代わりになりそうなものをあげて
ゲルダとイレーネの双方を見遣るのは二人に向けた言葉ゆえ]
―前夜・宿の食堂―
相談する相手にゃ困らねぇだろ。
お前さんの場合そこそこ顔に出るみてぇだから
あいつらがほおっておかねぇだろうしな。
[ゲルダ>>107にそう紡ぐのは
彼女の幼馴染達が互いに気遣う様子をみているから。
言葉の意味に気付き染まる頬の朱に目を細め]
修道士と言えど私も一応男性なのだと言う事をお忘れなく。
[品行方正な修道士らしく
人の良い微笑を浮かべ柔らかな物腰と言の葉。
自衛団長の話には]
それはあるかもしれんな。
だが、ある程度覚悟してるようにも見えたが……
[彼の心の内など知る由もなく僅かに首を傾いで見せた]
―前夜・宿の食堂―
[ミハエルの見解>>122に微かに頷く]
そう考えるのが妥当かね。
あー…、銀の剣、貰ってくれば良かったか。
こっちに短剣が置かれてるのは知ってるが……
一振りじゃ心許ねぇかな、ってな。
ま、お前さんにゃ危なっかしくて
任せられねぇかもな。
何もなさそうな所で怪我するし生傷が絶えねぇし。
[後の言葉はゲルダを見遣り呟かれ
ミハエルには同意を求めるような眼差しが送られた]
―前夜・宿の食堂―
[ユリアンの返事>>115に快く頷く。
元より飲む量は付き合い程度と考えていたのだろう]
今夜はそこそこの所で休ませて貰うか。
手に入れた本もまだ読みきれてねぇし。
[荷車の事はすっかり忘れていたのか瞬きして]
あー…、返してきてくれるのは助かる。
大きな荷物を移動するって話は聞いてねぇから
ま、急がずともいいんだけどな。
[予備もあるだろうから、と付け足して
アーベル>>109の用意した摘みに感嘆の声をあげ
どれも美味しそうな顔をしてワインの飲みつつ頬張った。
騒ぎ>>113>>114が聞こえ立ち上がろうとすれば
ユリアンの制止>>115がありその場に留まる事を選ぶ。
自衛団での出来事を彼>>116から聞けば目を伏せる。
其れが合図か、和やかな場はお開きとなり青年も部屋に戻った]
―翌朝―
[朝の祈りの最中、廊下の方から聞こえる足音と声。
ピクと睫毛が震えるが青年は祈りを優先した。
其れが終わる頃に扉を叩く音>>130
目を向ければシャラ、と首に掛けていた十字架が揺れる]
――…今、開けるよ。
[扉を開ければベッティの口から語られる経緯。
青年は驚いたように目を瞠る。
柳眉を寄せ彼女に微かに頷くとブリジットの部屋へと向かう。
既にブリジットの躯はシーツに包まれたいたから傷は見えない。
白に染み込んだ赤と床を濡らす其れが惨状を語る]
……くっ、惨いことをしやがる。
[青年は十字をきり祈りを捧ぐと部屋を出た**]
―深夜―
[ヴァイスルヴの思い>>*21は知れない。
知れば獲物と彼らの子は違うとでも返すのだろうが。
食事をしていない>>*22等と聞かされれば眉を吊り上げる。
グラォシルヴ>>*24に同意するように頷き]
グラォシルヴの言う通りだ。
ちゃんと食って体力つけておかねぇとな。
食欲がねぇってんなら食欲がわくように
薬草でも煎じてやるよ。
ミハエルはゲルダに告げたか。
知る者が増えれば効果も高まるか。
ユリアンを、占う、って……?
それなら、次は奴を狙うのも悪くねぇかな。
[ミハエルの名を出しながらも襲う事を選ばぬのは
修道院にいる少年達と彼が何処か重なるからか]
―朝―
[ヴァイスルヴの聲>>*23はしっかり青年に届いていた。
グラォシルヴ>>*25の聲の後紡がれた説明に耳を傾ける]
ベッティねぇ……。
現場を見てねぇんで加勢は難しい、か。
[思案げに紡いだ後]
そうさな。
ミハエルとユリアンの潔白を証明する為とでも言って
お前さんが大っぴらに占い師だと名乗り出るか?
ベッティもそれ聞きゃ多少は揺らぐかも知れねぇ。
[嘘が苦手と知っているから案を述べるだけ。
強くは言わずにいるのは其れが賭けであると承知しているから**]
―昨夜・宿屋食堂―
[クロエ>>137に名を呼ばれてまずそちらを見たけれど、彼女は自衛団員達が連れて行ってしまって。
一度は止めようかと思ったが、抵抗する気もなさそうなのを見て彼女の主張する能力を思い出して首を振った]
ダーヴィッドってのが処刑された。
そう、あいつだよ。
[名前を聞いたのは自分のためだったけれど、他の者にも教えておこうと思って短く報告した。ミハエル>>124に頷く]
狂っているから、だそうで。
人狼の話にもそういうのがいるだろうってのが自衛団側の主張だ。
さっきカルメンさん達の言ってた「狼に組する者」だろう。
[必ずしも間違った判断とは言い切れない。
けれど何か違うような気がするのは自分も同じだった。
そのまま部屋に戻る者が多かったように思う。
けれど少しだけ残ってクロエの帰りを待つ]
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