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[ふらりと歩みだす]
[止めるものは在ったか]
[騒ぎに気を取られていたか]
[もしくは、敢えて見送ったか]
[*ただ、彼の姿は何処かへと消えて*]
[左手に右手を重ねて。静かに見続ける。
過剰な干渉は逆に余計な反発を引き起こす。だから直接に関わることはしない。できない。雷撃にも翠樹にも]
……。
[対となる者が、対立する者達が引けばホッと息を吐いた]
……?アーベル?
[歩き出すアーベルに気付いて声を掛ける。
でも、気付いていないのかそのまま歩を進めるアーベルに、
僅かに眉を寄せて。――そのまま、アーベルの背中を見送って。
ふと、その間にとりあえず収束したらしい騒ぎに、一つ溜息を零す。
――すこしだけ、困ったなと思う。
リディが、事を知ってるとは思わなかったけれど
庇うとも思ってなかったから。…どうして、なんだろう。]
…とりあえず、戻ろう。
[オトフリートと、一緒の従魔と。
近くにエーリッヒもいた。…リディに引き離されちゃった?
忘れないように黒猫にも声を掛けて。 ゆっくりと屋敷へと向かう。
両手の掌の中には、リンゴが*一つ*。]
[それから数刻後]
−中央塔外周通路下部・メンテナンスエリア−
[今宵も、彼の姿は其処に在った。]
[置かれた書には新たに加わった頁]
[幾許かの間、宙を彷徨った後、]
[右の手で][そっと] [触れる]
" 174038136 30190: 1201919702018 "
[紡いだコトバ][データの読み取り]
[天青石の睛に燈る無機質な光]
……は、
[大きく息を吐き出して]
[壁を背にして座り込む]
[此処に生命の気配は無く]
[聞こえるのは規則的な機械の音]
[それが心地好いと思うのは可笑しい事か]
[生命を司る魔の紡いだ台詞]
[精神を司る竜の語った言葉]
[何方も理解に至るまでは未だに遠く]
[オトフリート達が戻ってくると、ユリアンがお茶の提案をして。
淹れに行ったオトフリートについて一緒に厨房の中へ。
こっそり自分の分をアイスティーにさせてもらって]
うん、今はこれがいいの。
[何も入れないそれをちびちびと飲みながら*話を聞いたりした*]
―昨夜―
[髭の御仁が引いたのを見、私は震える息を吐く。
「風が教えてくれた」
そう言い切った男が、恐らく私と…灰銀の少年の話を知ったであろう事はたやすく想像が付いて。
彼が護ろうと…しているが故の激昂とは知らぬであったが、少女らに煽られしままに罠に嵌るを助けたかった故に]
……そう、その方がよかろうの…。
[穏やかに見えて反論を許さぬ雷精の言葉に頷き、戻りし者達を迎える。
額の角へと視線が向けられたならば、拒むよに視線を逸らして。
なれど逃げる事なく、振舞われるお茶をいただき。
彼の仔が未だ震えていたならば、細き腕の内に柔らかく抱きて、
心を鎮める――引いては眠りへと誘う事に繋がる――波紋を、静かに紡いだろうか]
―図書室―
[やがて眠りし彼の仔が時の竜と共に去れば、私も静かに場を辞して。独り向かうは、知識の眠る場所。
誰かに見咎められたならば、眠りすぎたが故と応えて消えようか]
……。
[書を閉じ、私は広間にて見せていただいた本と属性について得た知識を照らし合わせ――そして言い争うが二人の『人間』を思い、苦しげな息を吐く。
心の内に刻まれし恐れはたやすく消えず、私は震える肩を抱いて。
愛し仔の為に出来る事は何かを想い……深く沈んでいた]
[やがて――震えが収まりし明け方の頃。
私は細い白金の輪についた、親指ほどの菫青石を撫で――美しき天蓋を開ける。
機鋼が王から賜りしそれは、一見小さな手巻き時計と見えようが、螺子を巻くための部品も穴も何一つなき滑らかにて完璧な品。
澱みを抱きはするものの、己が天聖の属――全てに干渉しつつ、同時に何物にも干渉を受けない存在――そしてこの品を示せば、私が翠樹の少女が『協力者』たるを*見つけたと言うは可能なりやと*]
< なんだか、言い争いのけはい。
猫は昨夜、猫の耳があったらしっかり垂れていたことでしょう。
かわりに、猫は考えていました。
リディの言った、ことばの意味を。 >
< おでこの人(火炎の竜)が廃棄エリアにいるって、猫は…わからなかったし、
消えちゃったときに、リディはそこにいたのだったっけって思いました。
なんにもしらないって言いながら、他の人がきえたっていうのもしらないって。
なんだかおかしなことね >
< 人間とか、精霊とか、魔族とか、竜族とか、なんだろう。人間みたいに、いろいろ考えなきゃいけないって、大変なこと、って猫は思いました。
戻ろうっていわれて、猫も戻ります。黒猫にゃーん。ちょっとつーんってされたかもしれないけど、ぎゅうっとだきしめます。
なんだか、不安で、しかたなかったんです。
それからそのまま、ソファで寝ました。ちょっと雷撃の精をみてたんですけど、まだこんらんしてたから、お話はできなかったみたい。 >
< むかしからの知り合いで、いつもじゃらしてくれたマテウスがいないのを、朝おきて、猫ははっきりとさとりました。不安なかんじはおさまっていません。三対のさいごの一人だからなのかもしれませんけれど、猫にはそれがわかりません。
そして、機鋼竜に協力するとか、そういうことも。ただ――それが、そういう不安をまねいていることは、わかりました。
ちりちり、しるしがいたみます。
――お前が、もし、だれかにさらわれたとしたら、お前のこころはやさしいから、その相手に手助けをしかねないね。
そうやって言った人のことを思い出します。そういうことなんでしょうか?
猫は、そうしないように、決して犯人とかかわらないようにという魔法をつけられているのでした。だけれど、それは猫自身でもちゃんとはわかっていないのです。
もしかして、機鋼竜が自分たちをここにつれてきて、でもなにか、のっぴきならない事情があったからで、それを知った人がてだすけしてるのかなと、猫は*思いました* >
[立てた膝]
[回した腕]
[埋めた顔]
[胎児を思わす姿勢、]
[なれば此処は母胎か]
[低く唸る音は鼓動の如くにも聞こえる]
……ん、……
[上げた頭][頬にかかる青][乱れた髪]
―図書室→広間―
[私は深く…心の奥からの深い息を吐き、緩やかに立ち上がる。
本をそのままに、翠樹が少女を訪ねようと廊下へと出る。
なれど階段を上がる前に、そのほの暗さに気付き脚を止めた]
……。
もう少し日が昇らねば…起きてはおられぬかも知れぬの。
[人を訪ねるには未だ時は早いかと――私は一度広間へと戻りソファーの隅へと腰掛ける。
再び本の頁を捲りながら物思いに耽るうち、疲れた心と身体は、
*まどろみに引きこまれようか*]
―昨夜―
[痛みを隠して、と言う言葉には、曖昧な笑みで返したか。
それでも、信じる、と言う言葉への返事には、微か、安堵したような表情を掠めさせ]
『……イレーネになら……いや、イレーネには。伝えておくべきか……セレスの事』
[青の青年を案ずるよに見つめる従魔を撫でつつ、ふと思う。
同族だからこそ、それは報せねばならぬ事とも言えるから]
『後、話せそうなのは……彼、かな』
[あるいは、『裁定』の領域に属す精霊。
彼らであれば、と。
期せずして、浮かべたのは幼き頃の自身を知る者たちばかりで]
[ともあれ、広間にもどり。
ユリアンにお茶を頼まれれば、従魔をナターリエに預けて準備に向かう。
ブリジットの小さなわがままには、微かに笑みをうかべつつ]
[さすがに和やか、とは言い難い雰囲気のお茶の時間の後、眠り込んだ従魔を伴い、自室に戻る]
……ふう。
[増えた情報。
それぞれの動き。
それらに思い、巡らせつつ]
さて。
どうしたものかな。
どうすれば……誰も……。
[続いた呟きは、*睡魔に飲まれてか、途切れ*]
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