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[一瞬だけ――
目の前の少女の瞳の色が変化し――]
あぁ…やっぱり――
[少女は確信したように溜め息を吐く。
形は違えど、同じような力は何処でも息衝いている――
少女は僅か記憶に残っている言葉を思い出す]
[そして呟かれた言葉に――]
[瞳は潤むけれども…
涙として見せないのは――]
聖書を…私に…。
そうですか…神父様はそのような言葉を…。
神父様の声を聴いてくれて…ありがとう――
[にっこりと笑顔を浮かべて礼を言い]
――悲しい?
[投げ掛けられた言葉には、同じように問い掛けて――]
今はまだ…悲しむ時期では無いわ?そう…思わない?
[口角をきゅっと上げて微笑む。――誰かを挑発するように]
ああ、成程。
流石、異端審問官を名乗られるだけのことは。
[観念した、とでもいうように表情を緩める。
そういえば今日は彼の姿を見ないと、そう思うも]
……それで。如何なさるおつもりですか?
[開き直ったのか、それともあの時短刀を持ち出した時点で、罪の意識など消えてしまっていたのか。
視線だけはずっと、男性の姿を捉えたまま]
-庭園-
[名も知らぬ花を乱暴に手折り、花束を作る。
茎が、葉が、指を傷つけたが、花鋏など、少女は持っていなかったから。
花束は、同じ緑の髪をした二人と、束の間父と呼んだ男に。
銀の髪の青年には用意しない。
そんなものを彼は望んでいないだろうから。
殺された三人が、それを望んでいるかもわからないけれど、少なくとも拒否はしないだろう。
とりどりの花束を抱え、少女は館へ。]
そう。
[返ってきた言葉に対するそれは、妙に簡素で]
ボクは、悲しい。
ちっちゃい時に、憧れてたお兄ちゃん。
元気が良くてからかいがいのある、弟みたいな子。
どっちも、死んじゃった。
人の手で。
だから、悲しい。
[独り言のように、呟いて。
その手は緩やかに、旋律を織り成して行く]
―二階・客室 夕刻―
[ 寝台に腰を下ろし壁に背を凭れ掛けさせ、青年は何処か遠くを見詰める。]
平穏な村に住まうのは何処にでも居る様な平凡な人間の女。
そんな女の、憐れなる物語。
[ 昔話を語る母の如く、詩を吟ずる詩人が如く、或いは過去を懐古するが如く、唯静かに聲は紡がれて。]
有り触れた毎日、退屈な日々。何も変わる事の無く流れる時間。
其れでも優しい父母と愛しい恋人に囲まれた女は、幸せだった。
[ 落日に色を変える天と同じくして、其の物憂げな横顔も朱を帯びて僅かに揺らぐのは眸の黒曜石。]
然し、或る月夜の晩の事。
結婚を目前に控えた其の日、女は名も知らぬ旅人に襲われた。
物云わぬ骸と成り果てた、嘗て恋人であったモノの傍らで。
[ あくまで其れは物語だと事も無げに彼は謂う。]
事が終わった後なれど男は直ぐに捕えられ、獄中で死す。
女に外傷は在らねど心には癒えぬ傷痕、周囲の人間は女を慰め気遣うも、其れも死した男が人狼であり女が子を孕んだと解るまでの事。
……結局、女は生誕の地を追われ流れ流れて寂れた崖の麓の村へと辿り着けば、事情を知らぬ人間は妊婦である女に優しく、彼等の助けを借りて貧しいながらも新たな生を歩んでいく事と成った。希望の光は未だ絶えていないと、然う思った。
然し。
女の産んだ子に、愛する者の面影はなかった。
女は神に祈り希望に縋り続けるも、軈て生きるのにも疲れ果てた。
そうして選んだのは残酷な途。我が子に真実を告げ、己が命を絶つ途を。
[ 朱のは地平線の彼方へと沈み、宵の影が迫れば世界は色を失っていく。]
其れが獣を覚醒めさせ世に放つ事に成るのだと、無知な女は識らずに――
[ 其処で言葉は途切れ、聲は深い闇の底へと沈んだ。]
-玄関〜広間前-
[花束を抱え、広間へと向かう。
そこにはまだ、少年の遺体が安置されているはずだ。
玄関の肖像に少しだけ歪んだ笑顔をみせて、通り過ぎる。
広間の戸はわずかに開き、そこから零れるのは、甘い南瓜の匂いと、二つの声。]
人が人を殺すのならば、其れは狼の脅威と何が違うのかな。
[ クツと嗤う聲は何処か愉しげに、僅か哀しげにも聴こえたか。]
そうですか。
[目を閉じて、息を一つ吐き出した。
後の問いには]
――いいえ。何も。
[嘘を吐いたのは、目の前の彼を信用しているわけではないからか。
尤も――入っておいて何も手にしていない、など通用するかは別ではあったが]
[返された言葉に、少女は自嘲気味に微笑を浮かべて――]
素直に悲しめることは――幸せだと思うわ…。
私は――その感情すら…二年前に失くしてしまったの。
父も母も、雑貨屋のお姉さんも、小さい頃から可愛がってくれていたおばあちゃんさえ――全て失ってしまったから…。
[少女は薄紅色の唇で呟き。聞こえてくる旋律にはくるりと踵を返し――]
もし、神父様に伝えられるなら…伝えて?
あなたの死は…事が全て終わったら…一人で嘆くからと――
今はただ…残された時間で、出来る限りの事をしたいからと…
[それだけを口にすると、何事も無かったかのように歩みを進め――]
[ぱたり――]
[ドアを開け――]
[少女は部屋を*後にした*]
[ふ、と。手が止まる]
……そう。
[既にいない背に、小さく呟いて。
ふ、と瞳を伏せる]
……仇を討つのが先、ってことか。
キミの仇は、異形。
なら。
ボクの仇は?
[呟く刹那、瞳は冥く]
…そう?
[持ち出したか、との問いに否を返され意外そうに]
何も持ち出さなかった…でも、気にはなった、と言う事なんだ?
で、鍵は元に戻した、と…
いやね、もし人狼なら自分を殺す為の物を放置しとくかな?って。
鍵を返さずに武器を使えなくして。
奴らは武器を必要としないだろうし、ね。
でも、あんたは鍵を返した。
ついでにそれを持ち出したことも認めた。
全てを信じるわけじゃないけど…
でも、俺にはそれだけで良い。
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