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別に───喜んでるわけじゃないけどね。
[ゆっくりゆっくり]
[息を吐き出すように]
[喉が震えた]
[嗤う声]
喜ばせたくないなら殺せばいい───ほら、殺してみなよ。
[ブリジットの手を離して]
[既に漸死の数字を示す首輪]
[ゆっくりゆっくり]
[殆ど石に等しい手で]
[ナターリエの手をとって、自分の首輪へと]
ね、ライヒ。あなたはゼルギウスを信じられるの。「約束通り石化病は治しましたよ。でも、その後に殺さない約束はしていません。」とか平気で言いそうだと思わない。
[天鵞絨の、両の目を覗き込む。見えないとわかってる方も。]
なんとか、出し抜く方法は。
[ない頭をひねっている時にノーラの決意が聞こえ、神妙に頷く、否定するつもりはなく、続く答えを待つ。]
やめなさい。
[手を伸ばすアーベルの動きを止めるように強い口調で言う。]
……死にたかったのなら貴方は
ヘリコプターに乗らなければ良かった。
言ったはずよ。
生きたい者は屋上へ行けと。
死に急ぐなんて馬鹿げてるわ。
ナターリエの話はあくまでも仮の話よ。
私は――
―……ゼルギウスの言いなりになるために
アーベルを連れてきたのではないわ…
[眉を寄せる。
『みんなで、でるんだ』
もはやかなわない願い。
不意にアーベルが離れた。]
っ、
[カメラを渡され眼を丸くするが、続いた行動に驚きの声が漏れた]
やめなさい、何してるの…!
【RP】
その時、白い羽根をつけた白猫が、彼らの前を通り過ぎていく。
猫が向かう先には厳かな扉。
猫は開かないそこに飛び込み、吸い込まれていく。
やがて、そのうち、古今東西、いろいろな、幻といわれる物体や、想像でしかありえないモノたちが、ぞろぞろと湧き出てきて、同じ扉に飛び込んだ。
そして、めまぐるしい大乱舞のあと、またそこはシーンと静かになった。
……人の研究を横取りした上で好き勝手やるような輩を、信用できる訳なかろうが。
[引っかかり続けているのは、結局そこらしい]
……お前もお前で、自棄になるなっ!
[アーベルの動き。
異眸と化した天鵞絨が険しさを帯び、動きを押し止めようと手を伸ばす]
[アーベルに手を取られる。導かれ、首輪に触れる。さっきまで笑っていたのが、一転無表情に。]
そう、やっぱり楽になりたいんだ。
[つ、と首輪に差し入れた指を、アーベルの首に滑らせる。軋む首輪。]
死にたいともいってないし───生きたいともいってない。
[薬を必要としない理由もまた同じ]
[ただ在るがままに]
[流れという定めのままに]
[生き、そして死ぬために]
[天に与えられた運命という名の時間まで過ごす]
自棄に見える?
[これ以上ない『贅沢な死』への渇望]
生憎と、痛くて苦しいほうが俺は楽しいけどね───
[目の前を駆け抜けていく白]
[鉱石の眸に見えぬはずの者たちが映る]
[消えていく幻たち]
[その部屋に入れば、やがて、声が聞こえてくるだろう…]
やぁ、はるばるごくろうさま、たった7人しかこれなかったんだね。
で、
ピューリトゥーイは無事かい?
……ん?なんだ、一体しかいないのか。
まぁ、いいか、ここまでこれないような弱いピューリトゥーイには用はないよ。
[声は若い男の声に聞こえる。]
やめなさい…!
[幾多の声。咎める手。
視界に飛び込む白い猫。
それに重なるように
後ろから
横から
駈けていく幻想の生き物。
それは清流か濁流か。]
――――ッ…!?
[立ち竦みカメラを落とさぬよう強く抱える。
きこえる(きこえないはずの)
こえなきこえ。
静寂の騒音。
それがやむまで
呆然と扉を見つめていた。]
やめなさい。
…行きましょう。
[アーベルの言葉、眉を寄せて聞いていたが
周囲に現れた猫に、他の全てが―――扉に。]
…な、に?
[ベアトリーチェは見えないけれど何か感じるのだろうかと
視線を下して様子を伺っただろう。]
この先…―― 何が。
[扉まで辿り着くのは誰が先か。
その扉の先には―――]
[そこに見えるのは、
椅子に腰掛けた白衣の銀髪青年と
周りに群がる幻想生物たち……]
[見れば彼がゼルギウスだとわかるだろう。]
……俺には、そう見える。
[自棄に見えるか、という問いかけ。
吐き捨てるよに、答えた]
もっとも、今の俺は、生き意地がはっているからな。
そう、見えやすいだけなのかも知れんが。
[ただ、いろをもとめ邁進していた頃であれば、あるいは。
温もりを得る前であれば。
違う見方をしたかも知れないが]
……っ……。
[不意に、目の前を過ぎる、白。
幻想の乱舞。
それらが扉に消えた後、天鵞絨を瞬いた]
大丈夫、そう簡単には切れないから。
[みんなにはそう言う。]
自棄と言うより、虚無に見える。あたしもそれに囚われた時があった。
[するりと首輪から指を抜いて、アーベルの服の襟首をつかむ。]
ゼルギウスと会うまでは殺せない。全部終わるまでに考えて。目覚めてからあなたが関わった人で、あなたが生きる事を望む人がいなかったか。それでも殺して欲しいなら、あたしが。
[襟首から手を離す。
突然のめまぐるしさにそちらに向かった。]
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