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私は、残ってる、ね。
琉璃の、傍、居たい、し。
[それに共に行っても足手まといになる可能性が大きい。未だ眠る琉璃に視線をやってから、史人や確認へ行く者達に視線を向けた]
皆、気を付けて、ね。
[心配げに見やり、旅籠を出る者達を*見送った*]
[榛名のほうを見る。]
あァ。
・・・晴ちぃは、違うと思う。
[桜が咲いた日に腕に滲んだ血と、桜の紋章。
詳しく聞いたわけではなかったから、妙に確信めいた言葉を何故かと問われれば、共にいた史人へと視線を投げただろうか。]
何でか、までは知らないッスケド。
・・・早くしねェと、またどやされそーだな。
[頭を示しながら苦笑を浮かべる。
誰かに引き止められなければ、そのまま数人と共に*現場に向かおうと。*]
まぁそうなんだけど。
だったら何故?っていうのもあるからねー。
辻褄合わせるなら、向こうで何かあって、西行院さんが涼ちゃんを処すべき者として殺そうとして、逆に涼ちゃんに殺された…かしら。
[もっとも、何があったのかは分からない。見ていなかったことを想像するのは、思った以上に難しい。]
ああなるほど、『誘われる者』って、別に誰でもなれるわけじゃないのね。
呪いの類なら強制的に…とか思ったんだけど。
[同調したり取り憑かれたり、そういうものだろうかと納得しながら。]
[史人に続いて、涼の祖母の家だろうと思われる家に向かう。
雨足はまだ強く、これなら外にある屍の血は流れきってしまうだろうかとか、そんな余計な事を考えながら。
ようやくついたブルーベリーのある家。
中に入れば、晴美と涼の祖母と思われる女性の遺体が見つかったろうか。
晴美は史人と孝博に任せ、自身は老女の方へ。
表情は険しい。
うつ伏せだった死体を仰向けにすると、微かに息を呑む。]
…この人も、おなかの辺りが何もない。
[呟き、千切れそうな遺体を無理やり抱え上げ、台所から居間の方へと移し、横たえらせて毛布をかけておいた。]
[人であると自分を決めた少女は、それでも決して、二人を裏切るつもりはありませんでした。
悪いことは、悪い。でも、処罰されるなら人の法で。
意識を落としたのは、血のにおいに、もっとと望むのをこらえるために。
より明瞭に――もう普通に話しているのと同じように聞こえる言葉は、じわりじわりと少女の身体に染み出ていきました。]
[ふと気づく。聡の姿が見当たらない。]
…さっちゃん?あれ、何処言ったんだろ。
[知らない?と誰かに尋ねても、おそらく良い返事は返って来ないだろう。
しぶしぶついてきたから、途中でさぼり宜しく抜け出して旅籠に戻ったのだろうかなどと*考える。*]
仲間、って、言ってくれて、ありがとう。
[かすかに目を開け、また閉じました。気づかれることは、ついぞありませんでした。]
なかま、だよ。
…だから、孝博も、琉璃も、ころさせたくない。
しなないで。
死なねェさ。
[クツとわらった。]
・・・あァ、そーだったな。
話、出来ッかねェ。
[かれらに囁き、力を与えた者。
それへの興味すら既に失せ始めていることは、コエには出さない。]
生きてる人探すなら、俺も行く。
それに…、まだ外の状態もいまいち分かってないしな。
[緩く頭を振り、立ち上がる。
殺さないと、などの言葉はできる限り聞かないふりを]
眠ってる人たちを、よろしく頼む。
[誰に向けてか、そう言って他の数人とともに旅籠を出る]
[道中、生存者に出会うことはなく、ただ時折強く香る鉄の匂いに、眉を寄せた。
夏の雨の香りに似て、けれど、もっと異質な。
ついた先の家に入れば、さらにその香りは強まって、思わず口元を押さえた]
…酷い、な。
[そう呟く事が精一杯で。
晴美の遺体の傍に落ちていた包丁の、濡れた鈍い輝き]
他の人たちより、身体は傷ついてない、な。
[何の慰めにもならないだろう言葉をぽつりと漏らし、見知らぬ自分が何かをするよりは、と二人に任せる]
[小百合と共に、老女の方へ向かい。
小百合が老女を運ぶ間に毛布を持ってきて、手渡す。
それを、もう一枚、今度は史人たちの方へと。
別の場所から聞こえた小百合の言葉に首を傾げ]
聡が、どうか…そう言えばいないな。
しょうがない。探しにいくか。
俺と小百合でこのあたりを探すから、史人と孝博は旅籠までの道を頼む。
サボって戻ってるだけなら、教えに来てくれ。
[それで良いか尋ねるように、皆を*見回した*]
[目を覚ませば榛名によりかかる形で、あわてて体をおこす]
ごめん、榛名。
[だいぶ疲れはとれたらしく]
でもありがとう、おかげでだいぶ楽になったよ。
[笑いかけて、榛名の服に自分の服の汚れがうつってしまったのに気づけば、再び謝り]
着替えもってこないと、このままでいるのも…。
一旦家に戻ってとってくる。大丈夫、すぐに戻るから。
[安心させるように心配そうにした他の人に笑いかけて、そのまま一度自宅へと*向かった。*]
じゃぁそっちお願い。
ついでに他の生存者も探してみるわ。
大丈夫よ、二人なんだし。
[尚何か言われればそう二人に笑って答え、裕樹と近くを探す。
さっちゃんと声をかけながら探すも返事は無く。
帰ってくるのは酷い雨音ばかりで。
涼の家の周囲をぐるりと回ってみたが、聡も、他の生存者の姿もなかった。]
ねぇ裕樹…こういう場合、生存者ってやっぱり家の中でじっとしてるわよね?
本格的に探すとしたら、一軒一軒チャイム鳴らしてまわるしかないかしら。
[尤も、余所者の自分たちの声に応えてくれるかは怪しいが。]
[暫く声をかけたり探し続けたり。
雨の中動き回ったが、聡はおろか、生存者の姿も見なかった。]
…さっちゃん、やっぱり旅籠かしら。
この辺には居ない―
[みたい、と言いかけてふと、少し離れた板壁の上から見える、人の頭に気づいた。
髪の色は探していた人を連想させるもので。]
あれ?さっちゃんかしら。
さっちゃん、ほら何してるの、行くわよ。
[声をかけながら近づいて。
角を曲がり顔を覗こうとして。]
[上半身が板壁に縫い止められていた。
下半身が道端に転がっているた。
雨が綺麗に血を洗い流してくれていたおかげで、内臓のいくつかが丁寧に垂れ下がり。
*まるで標本のように。*]
ハイ。
[裕樹や小百合は老女を弔うと言う。
短く返事をして、もう何度目かの遺体を見下ろした。]
・・・晴ちぃ。
[他と比べて身体の損傷は少ないのに、その名で呼んでも、彼が怒り出すことはなく。
そう言えば、それがどうして嫌なのかを聞いたことは無かったし、機会はもう訪れない。
それ以上何も言うことはなく、王の傍に跪いて、目を伏せさせた。]
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