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学生 リディ に 5人が投票した。
奏者 ミハエル に 1人が投票した。
学生 リディ は村人達の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。何かの介入か、それとも……?
現在の生存者は、白練の歌子 エルザ、職人見習い ユリアン、青年 アーベル、奏者 ミハエル、司書 オトフリート の 5 名。
[エルザに無事でないならば休んで待っているように言って]
ちょっと俺も、行ってくる
[どうせ、リディが行く先は、海であろう。見失っても関係なく]
…ってか、ユリアン泳げたっけ
[いつも外で動いている分、二人よりも速く人ごみを避けながら走った]
[駆け出す若者達を、黙って見送り、エルザに近づいていくアーベルのこともただ見ている。そして、そのまま何も言わず、図書館の中へと戻っていった]
[道行く人にも構わず。
驚く見張りのすぐ横を通り抜け、アトリエに飛び込む。
息を整える間もなく。
置かれていた絵筆を手に取り。
やや乱暴に、白いキャンバスを引き出した]
[描き出されて行く、アンバー色の少女。
技術も知らぬというのに、そこに躊躇いなどはなく。
ただ一時の感情に衝き動かされて、白に筆を滑らせ]
[ぺたりと座り込んだまま
かがみこんでくれたアーベルを見上げる。
そして走り去るリディとユリアン、
後を追うアーベルの背中を見て、地面を俯いた。]
― 図書館 ―
[人気のない、読書室の中、白い布に包まれた絵師の肖像の前に、椅子を置いて、その背に腕と顎を乗せ、見えない姿に声をかける]
悪いな、エーリッヒ。
俺は・・・
[言葉は、誰にも届かない**]
─海水通路─
[海と通路の境目。ぜえぜえと肩で息をしつつ、辺りを見回すと、水面に顔を出しぷかぷかと浮かぶリディを見つける。
慌てて濡れる事も厭わず海中に入って行き、その身体を引き上げる。
その呼吸は浅く、触れた身体は海中にあったことを除いても冷たい。]
……どう、して。どうして、言ってくんなかったんだよ。
俺に出来ることがあるならいくらでも手伝ってやるって言ったじゃんか。
なのに、何があったか知らんけど夢を諦めて、しかも絵筆まで盗んで。
…………ばか、やろう。
[傍らで跪き、そう呟く。]
[ワンピースの胸元をきゅっと握り締め
鞄を腰に跳ねさせながら、別の方向へと、駆けた。
自分の家へと駆け込み、棚をガサゴソと探し。
大きなものを引っ張り出して、胸元へと手を突っ込んだ。]
[青色と、蒼色。
ヒカリコケを溶かした金色と、綿毛のふわふわ。
手にとって、キャンパスへとかがみこめば、ぽたりと。
一粒の、水滴が落ちた。]
[だが、はっとあることに気がつくと、リディの服を探る。
そこには絵筆はなく、周りも見渡しても隠しておけるような場所もない。]
…………ま、さか。リディ一人じゃない?
[呆然とそう呟くと、次に思考が行き着いたのは]
!? ミハエルがあぶねぇ!!
はんぶん、なのに。
[一緒に手をとって走ればよかった?
それとも、突き飛ばして裏切ればよかった?
どちらも出来ない中途半端な自分は
やっぱり、何か、足りないんじゃないかと、おもう。]
……ふ。
[口元から、息が零れる。]
先に、行っただけ、だよね。
みんなで飛んでいけば、また、会えるよね。
[ふふふ、と。
零れたのは、高い笑い声。]
じゃあ、また「心の力」を満たさないと。
満月夜は、何時なんだろ…――?
[言いながら、絵筆を取り。
染料をつけて、ぺたり、キャンパスに落とした。]
―海水通路―
[駆け抜けて、海が見えるところにつけば、ユリアンが海の中でリディを抱えている。
ミハエルがアトリエのほうに走っていったのは見ていたから事を成した。ということだろうか。
かける足を止めて、息をつく。とにかく絵筆。絵筆が戻れば、思っていたところに、ユリアンの叫び声が届く]
[色を落とす。
ヒカリコケを流す。
水晶花を砕いて、はりつける。
絵は、着々と、ゆっくり、できあがっていく――]
どうしたんだ!?ミハエルがどうだとか聞こえたが、絵筆は?
[こちらへとやってきたユリアンに聞くも、リディを頼むと言われて]
わっかんねーけど、わかった。診療所のほうにつれてっとくからな
[と何かわからないまでもその雰囲気から察してリディを受け取り承諾した声は、ユリアンに届いたか否か]
なん、だ。
[描かれたばかりの絵に、力なく拳を当て。
絵具は既に乾いていた]
…これじゃ、
なんにも、変わらないじゃないか。
[酷く掠れた声が、己を厭う。
この絵は街の為ではなく、己の為に描いたようなもの]
─アトリエ─
[ノックなどお構いなしにドアを蹴破るように開けて中に転がり込むと、そこには絵に向かい何事か呟くミハエル。
…………そして、その背後からミハエルの『ココロのチカラ』を引きずり出さんとする絵筆のチカラの『視覚イメージ』。]
っ!! ミハエル、危ない!!
[まさに絵筆のチカラがミハエルの身体からチカラを抜き出さんとするところで、ミハエルを押し倒し、狙いから外させる。]
[息を落ち着けてからリディを背負い来た道を歩いて戻る]
怖かったのは、溺れたのがか?外に出れないと思ったのがか?
…どっちもかが?…ま、この先ずっとここにいなきゃならないと思うのは結構怖いよな
[一月後、一年後、十年後。それも今までと変わらぬ生活であると想像すると
酷く投げ遣りな喪失感を覚えるが]
自分で試してみてからじゃねえと止まれないだろうけどよ
[昔、父に言われたが、試しきるまで止まれなかった自分。挙句溺れて死にかけたり、それで怒られたり等などあった過去を思い出して苦笑する。
リディを捕まえたことで終わるのだろうか。ただ、絵筆が、絵師が戻っても]
俺らの代で、登れるのかなぁ
…え、
[俄かに騒がしくなる外と。
乱暴な音をたてて開かれた扉]
ユリ…ッ!?
[振り返った先、その名を呼ぶ間もなく。
アトリエがぐるりと回った]
[否、傾いたのは自分のほうだった。
と認識した時には、地面に叩き付けられた後]
…痛、
[ぶつけた頭を擦りつつ、半身を起こし。
困惑の入り混じる目で、ユリアンを見た]
いっ……――
[腕に、何かが弾かれて駆け上った。
ピリピリして、熱くて、痛いもの。
それでも、熱さと痛みより、驚きが勝って、
声が出なかった。]
[どんがらがっしゃーんと、傍らに置かれた画材をばら撒きつつも、キッと絵筆のチカラの方に視線を向ける(とはいえ見えてるのはユリアンだけなのだが)と、そちらに右手を翳す。]
……古よりの盟約に従い、抑止の血脈の末裔たるユリアン=エルデミッテが命じる。
心の力を蓄えし絵筆の力よ。今はその力の矛を収めよ!!
[そう叫ぶと、絵筆のチカラはびくんと反応し、ユリアンの右手に吸い込まれていく。
そうしてチカラを吸い取ったその手の平から腕に掛けて、黒い模様が浮かび上がる。]
[それからは何一つ呟くこともなく。歩く。
途中図書館の前を通ったがエルザは既に居ないため帰ったのだろうと思いつつ診療所へいって]
―診療所―
やっほ、ブリジット。って、今回は患者だよ。俺じゃないけど
[いってリディを示せば既に前例があるからブリジットも心得たもの。
ベッドに運ぶ。海で濡れた身体を拭くためにということで、ブリジットに部屋から追い出されたりした後、それらがすんで]
ああ、そうそう、ミリィ先生だけど、助かる…っぽいのかな。オトフリート先生がいうにはだけど
[内容は知らないまでもそれを伝えればブリジットもほっとした様子。絵で封じられた。などがない分不可解だったしな。と同じように安堵して]
…あ、ぁ…っ!
[熱く、痛みを持つ腕から
熱がまるで吸い取られるかのように、キャンパスへと向う。
ぽう、とキャンパスが光り、表面が焦げるかのように黒くなっていった。]
や、だ、せっかく…かいた、のに…!!
[慌ててとめようと手で叩くと
更にそこは熱くて、瞬時に手を胸元へと引き寄せる。]
んじゃ俺はこれで…ぇ?また手伝うの?
[人手が足りないんです。私が倒れていいんですか。とかブリジットにいわれる。
一人になったことで腹が据わったのだろうか。
とりあえず妙に仁王立ちが似合うようになったのは気のせいだと嬉しい]
いや、まあいいけどね。少しぐらいなら
[結局昨日同様手伝うことに。ただやっぱり女性は強いと*思ったのであった*]
[勿論、己の目には力の動きは見えないから、ただ瞬くだけだったが。
右腕の黒い紋様には、流石に目を見開き]
それ、
大丈夫、なんですか…?
[安堵の息を吐くユリアンの、その腕に手を伸ばし]
[ミハエルの言葉に、ん?と黒い模様を浮かべたままの右手を見やるが、笑顔を浮かべ]
ああ、大丈夫大丈b
【──どくん。】
うぐっ!?
[言葉の途中で突如胸を押さえ、苦しそうに蹲るが、直に意識を失いぐったりと倒れ臥す。
……そして、右手に刻まれた模様がじわり、と肩へ向かって僅かばかり伸びたのに、その場にいたミハエルは気づいた*だろうか*。]
ちょっ、
[頽れるユリアンを止める手は間に合わず。
慌てて両肩を引き寄せ、仰向けにする。
と、]
…え?
[黒が僅かに伸びた気がした。
困惑した顔で見つめた]
[暫く見つめたが、それ以上の変化はない。
ふ、と緑の目を伏せて]
…ごめんなさい。
僕は、守られてばかりだ。
昔から、何も変わってない。
[小声で謝罪を落とした。
気を失ったユリアンに、その声が届くとは思わなかったけれど]
[やがて表の者達が入ってくるのに、はっと顔を上げる]
済みません、手を貸してもらえませんか。
彼を、診療所に。
[そう告げて。
アトリエは残る見張りに任せて、己もその後に*続いた*]
[中庭には、群生する桃色の花。
良いとは言えない変わった香を放つそれらの中、
くるくると回る。
壁に生えたヒカリコケが、ふわふわと、舞う。
彼女は存在を知らないけれど
それはまるで、蛍という虫のようだった。]
ふふふ。
ふふふふふ。
[笑い声は、高く、響く。
そのまま花に抱かれるようにして、目を閉じると
ゆっくりとふわふわした眠りへと、落ちて行った。]
[夢を見る事は、無かった。
しくしくとした手の痛みに目を覚まし体を起すと
中庭の花の中だった。
ゆっくりと起きて立ち上がり、
握り締めていたものをきちんと包み鞄に入れて
家を、出た。
噂は、広まっていた。]
[主婦たちが道端で話しているのを盗み聞いて、
診療所へと足を向ける。
ひょいと外から窓の中をのぞくと、
ユリアンとリディがベッドに寝かされているのが見えた。
その向こう、ミハエルとアーベルも居るかもしれない。
そうっとその様子を窓の外から伺っていたけれど、
暫くして人が離れるのを待ち、窓の枠に手をかけた。]
ぃ、よ…いしょ!
[小さな掛け声と共に体を引き上げ、そうっと窓から中へと入る。]
[近寄るのは、眠るリディ。
そっとその頬に手を伸ばして触れるけれど
目を覚ます様子は無く、冷たい。]
…これ、渡せなかったの。
貼っておいてあげるね。
[鞄から、昨日ブリジットに貰ったミント草の湿布を取り出し
そうっと、リディの足に貼り付けた。
どっちの足が痛いのかは知らなかったから、
どちらの足にもいちまいずつ。]
だいじょうぶ、ひとりでも出来るわ。
だから、まってて。
集めた「心の力」は、ゆめを、叶えてくれるんだから。
[触れたからだは冷たくて 冷たくて
なんだか、また胸がきゅうっと痛くなった。]
[それから、顔を隣のベッドへと移す。
昨日から眠り続けるベアトリーチェは冷たかったけれど、
ユリアンのむき出しになった腕の黒い模様にそうっと、
手を伸ばして触れると、暖かかった。]
…――。
[その手をきゅ、と胸元で握り締め。
窓からまた飛び降りると、診療所を走って後にした。]
やだ…
[まるで焦げたように黒くなった掌をユリアンの腕に近づけると、
また、腕にピリと熱が走った。
その熱は、絵筆の方まで届くようで、
近くにいると絵筆を壊されてしまう気がして、怖かった。]
あと、何人分?
あと、何日くらい?
[呟きながら、走る。]
[走って行った先は、図書館。
一度中で歌って両親に怒られてからは、
自分から来る事はあまり無かった場所。
そうっと大きな扉を開けて中に入るも、
司書は書庫に居るのか姿が見えなかった。
扉が開き、読書室から子供が出てきた。
入れ違うように読書室に入ると今の子が見ていたのだろうか、
絵の入った本が開かれて居た。
近づいて見下ろし手に取って、じいいっと、見入る。]
[描かれているのは、白く大きな鳥。
みにくい白い鳥の子供、のお話らしい。
じい、と見つめる目にはうっすらと笑みが浮かび
口の中には、小さく歌が転がり始めた。]
[耳に届く微かな物音]
…ん。
[幾人かが眠る部屋を覗き]
あれ。
窓、開いてたっけ。
[少し考えて。
蒼い少女が出て入ったばかりの窓を、そうとは知らずに閉め直した。
自身が“眠らせた”少女のほうから、微かにミントが香るのには気がつかず]
じゃあ、僕はそろそろ。
アトリエの片付けもありますので。
[丁度、慌ただしさも一段落した頃。
ブリジットにそう申し出れば、案外すんなりと許可をもらえた。
ちなみにその日診療所に訪れた人々が、『絵師』の後継者の働く姿にどのような思いを抱いたかは己の知るところではない]
[アトリエの惨状はそのままで。
やや苦笑を浮かべながら、床に散らばる画材を纏めた。
漆黒の絵筆だけはその手に握って。
それから]
…ああ。
絵、取りに行かないと。
[兄の姿が見えて、そう呟きながらも。
アンバーの少女の絵の前に立つ]
ごめんなさい。
[小さく呟いてから、イーゼルから絵を降ろし、隅に立てた]
[手を青く染めた彼女を絵に捕らえ。
それでもつがいは見つからなかったと聞いた。
手の中の絵筆に一つ、溜息を吐いて。
立ち上がって、新たなキャンバスをイーゼルに載せた。
そこに加わるのは、赤い色]
― 図書館 ―
[リディが封じられ、ユリアンが倒れた事を、伝令ではなく図書館の客の噂から知ると、絵師の肖像を書庫に一旦収め、そのまま、そこで一夜を明かした。まともな眠りは訪れはしなかったが]
・・・・・・・
[図書館を開けた後しばらくの間、記録の続きを記す事に費やした。見聞きした全てを正確に、主観を交えず書き加えていく。それは、自分が居なくなった後も残るはずのものだったから]
[書庫を出たのは、その作業が一段落してからのこと。読書室に見つけた少女の姿に、静かに声をかける]
エルザ。大丈夫か?
[ミハエルが無事である事は聞いていたから、そう問いかけた]
[目は呆っと本を見つめたまま立ち尽くしていて、
誰かが近づくのにも気づかなかった。
肩からかけた鞄からは、
鼻がよければ僅かなミントの香に気づくだろう。
声をかけられて、はっとしたように振り向く。
オトフリートの姿を認めて]
ぁ、ごきげんよぅ!
あたしは大丈夫、大丈夫よ?
あのね、あなたに聞きたい事があって、此処に来たの。
[にこりと笑い、正面に立ってじいっと見た。
両手はそっと、後ろへと隠される。]
質問なら、いつでも受け付けるぞ。
[勉強を教えている子供に言うのと同じように答えながら、近づいて来るエルザを見る]
何が聞きたい?
うん、あのね。
どうして、「知っている」の?
[端的に、それでも全てを篭めて。
じいっとオトフリートを見上げる目は外さない。]
[素直な問いかけに目を細めて、傍にある自分のデスクに軽く寄りかかるようにして答えた]
匂いがした。お前とリディから、絵師と同じ絵の具の匂いがな。
[彼が直前に描き上げた絵に使われたのと、同じ絵の具の匂い。絵筆に微かに残ったそれを感じることは、キノコを使った自分でなければ出来なかったろう]
におい?
[びっくりして目を見開いて、
くんくんと自分の腕を上げて匂いを嗅ぐ。
それからはたと黒く汚れた掌を見て、そこも匂いだ。]
…わかんない。
鼻、利くのね?
[目線を手や腕からオトフリートへと戻し、笑う。
にこにこと笑みを浮かべたまま]
どうして黙ってて、くれるの?
[彼女とも話していた疑問を、口にした。]
・・・・・一人か二人くらい、望みを叶える者がいてもいいと思ったからだ。
[他の者の望みは叶わない、叶ったとしても、その先に待つものが絶望としか自分には思えない、だから、海を見たいと言ったリディの願いだけは叶えばいいと]
俺からも聞いていいか?エルザ。
リディは、海を見たいと言った。
お前の願いは、何だ?ただ、外に出たいだけか?
[オトフリートの言葉に、口は笑んだままじっと見つめ。
満面の笑みを浮かべて両手を広げ、その場でくるりと回った。
白いワンピースが膨らみ、裾をたなびかせる。]
ね、ほら、判らない?
あたし、空に戻りたいの。
ん、戻らなきゃいけないの。
そこにはパパもママも、居るのよ?
[周りながら、手を上下に少し動かした。
それは、知識があれば鳥のようだと、判るかもしれない。]
[翻る白い羽のようなワンピース。子供の頃、綿毛草の畑から遠く見つめて憧れた鳥のように。その時は、隣に太陽の髪の少年も、少し年上の赤毛の少女もいただろう。絵師でも薬師でも司書でもなく、ただ綿毛草の伝説に夢を乗せていた頃]
そうか。
[悲しみはその目に浮かんだろうか。自身にもそれは判らない]
リディや、アーベルと、もう会えなくても構わないか?
[続いた言葉には、きょとん、と驚いた表情。
オトフリートの顔に浮かんだ表情が読めなくて、首を傾げる。]
どうして?
だって、心の力が溜まったら、皆で此処を出られるんでしょう?
なら何時だって会えるわ?
みんなの夢が、ねがいが、叶うんでしょう?
[そのまま、にこりと。
満面の笑みを浮かべた。]
皆を空に送るには、心の力はまだ足りない。
[少女の笑みに静かに首を振り、自分の知識から判る事実を話す]
つがいの二本の絵筆が揃ったら、お前一人なら、行けるかもしれない。だがその後はもう誰も空へは行けないだろう。
だから、お前が空に還る時は、皆とは別れる時だ。
[──夢。夢を見ていた。それは断片的な記憶。]
[最初の記憶は2歳の頃。
病床に伏せる母親。手を握る自分。
頭に触れる母の冷たい手。向けられる笑顔。
紡がれる言葉。遺された言葉。
しかし、まだ小さい頭ではその意味は理解に及ばず。]
[次の記憶は5歳の頃。
絵師のアトリエ。描かれる絵。
そこに描かれるは先日亡くなった翁。首を傾げる自分。
なんだろう。あの、うねうねと蠢く透き通った黒いモノは。
……ああ、そうか。あれが母さんが言ってた絵筆のチカラか。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
何かあった時、ボクが身を以って封じるチカラ。]
[オトフリートの言葉には、ぱちぱちと目を瞬いて]
そろったら?
揃うと、ひとりなの?
[んんん、と、口元に手を当てて暫し考える。
そして、にこりと笑い]
危なかったわ、もう一本も盗っちゃおうって言ってたから。
じゃあまた家に帰ったら、絵を描くの。
心の力が満ちるまで。
満月夜は――何時なのか、知ってるかしら?
いいや、エルザ。何人を描いても、俺やお前が生きている間に満月夜は来ないだろう。
だから、お前が本当に外へ行きたいなら、一人で行くしかないんだ。
お前が一人でも、行きたいと、本当に望むなら俺が手伝ってやる。
もしも、一人になることを望まないなら・・・・
―診療所―
つっかれた…
[ミハエルにまた後で。といって別れ。そして手伝いを終えて、今やっと椅子に座った。
材料を取りにいったりや、力仕事が主であったが、やはり緊張するものがあったりして余計な疲労感があった。…なんか治療以外の雑用もさせられた気がかなりあったりしたが
その途中ユリアンがつれてかれたときには驚いたが、絵によるものでもなく。ただの疲労らしきものであったのでほっとしたが]
絵筆…まだ戻ってなかったんか
[そういえば、リディのこと。ミハエルが封じたということ。町ではどのように噂が伝わってるのだろうか。]
ほんとうに、あぶなかった。
ひとりだけじゃ…困るもの、ね。
一緒に居たときに、どっちかだけじゃ。
[リディに聞こえていた心の声を、
届く相手はもう居ないけれど、紡ぐ。]
[オトフリートの言葉には、また驚いて。
一度ふる、と頭を横にふる。
きゅ、と鞄を手で握るように抑えた時
頭の中、昨日まで聞こえていた声が届いた気が、した。]
あたしだけでも、…――って。
あたしは、やっぱり…戻りたい。
…――そらに。
[言葉を紡ぐ表情は
ほんの僅かに眉を下げてから、笑みを戻す。]
[ことり。
絵筆を置く]
…ん。
[描き上がったのは、頼まれたもの。
赤い髪の薬師の絵。
昨日激情に任せて描いたものとは違って、なるべく丁寧に描いたつもりだったけれど]
[望まぬなら、やめろ、と、言いかけた言葉は、少女の笑みに押しとどめられた]
そうか、わかった。
では、エルザ。次に描くなら・・・・
[ユリアンを、と言おうとしてやめた]
描くなら・・・俺を。俺ならきっと、お前を空に送ってやれる。
あなたを?
[きょとん、としてオトフリートを見上げる。
単眼鏡のその奥の、瞳の更に奥まで見るように]
あなたを描いたら、終わるの?
ほんとうに?
[じいいいいっと、覗き込む。]
ああ、本当だ。
[覗き込む少女に微笑みを見せて]
全て、終わる。
だが、もうしばらく待て。
解放には、もう一本の絵筆が本当に必要だ。俺が、取って来てやる。
[言って、傍らに置かれた絵師の肖像を抱え上げた]
うん、わかったわ!
ありがとう。
あなた、とっても良いひとね。
[にっこりと満面の笑みを浮かべ深く、頷いた時には、もうオトフリートは歩き出して居た。
少し駆け足で彼が図書館を出るのを玄関で背中に手を振って見送り。
図書館の入り口の脇に、しゃがんで頬杖をついた格好で上機嫌に歌を歌い始めた**]
─診療所─
……ん。んう。
[ゆっくりと気だるげに眼を開く。]
んあ。…………ここ、は?
[灯りに手を翳し……自身の黒く染まった手が目に入り、思い出す。]
……ああ、そっか。アトリエでぶっ倒れて。
てことは、ここは診療所。かな?
[歩き出す背に、エルザの歌が聞こえる。ざくざくと岩を砕いて均された道を踏み、その歌から遠ざかる。アトリエに着くと「絵師」の護衛なのか見張りに立っていた一人にキャンバスを見せて]
ミハエルに、これを届けに来た。
[そう告げた]
[若干の迷いはあっただろうが「絵師」と幼なじみであることは知れていたし、何より手にした肖像の効果は絶大で、そのまま道は開かれる]
ミハエル、絵を持ってきたぞ。
[アトリエの戸口で幼なじみの弟を呼ぶ。彼が、自分が勧めた通り、薬師の絵を描いたなら、絵筆はここにあるはずだった]
[表で話す声が聞こえる。
やがてそれは、己を呼ぶ声へと変わった]
え…あ。
はい。
[扉のほうを振り向き。
瞬いた後、急いでそちらへと向かった。
漆黒の絵筆は、描いたばかりのキャンバスの前に]
ん?よっ。起きたか
[椅子から立ちあがりユリアンの下までいき]
何があったか聞きたいとこだが、動けるか?
[と聞きつつも。ブリジットにユリアンが起きたことを伝える]
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