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令嬢 ブリジット に 1人が投票した。
消防士 ダーヴィッド に 7人が投票した。
消防士 ダーヴィッド は村人達の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。何かの介入か、それとも……?
現在の生存者は、植物学者 ライヒアルト、令嬢 ブリジット、シスター ナターリエ、盲目 ベアトリーチェ、写眞家 アーベル、政治家 ヘルムート、星詠み ノーラ の 7 名。
ヘルムートさんと、ダーヴィッドさんは?
[爆発の音が響く。ヘリのドアは開いたまま、城が、揺れていた]
まだ、こないの?
[眩暈と咳。振り払うように、ヘリの中、パソコンを探す]
ぐ。
[ヘリに乗り込んで一息ついた途端、こみ上げた吐き気。必死で堪える。
また右手が変色して動かなくなった。
隣に座るライヒアルトも具合が悪そうで、でもなにもできずに。]
[アーベルが手を退いたのには、
不思議そうな顔をしただろう。
彼は上がってこれるだろうか。]
……ベアトリーチェ、パソコンは、此処だわ。
[その手を取って、導く。]
――まだね。…来ないわ。
まだ、…まだ待てる。まだ…――
[石に、なった あの 感覚。
見据えるは扉。]
[階下から何度も響いて来る爆発音。30分のタイムリミットだと聞いていた。
天井が揺れて、埃が落ちて来る。一階や二階に残っていた石像は、粉々になってしまったかもしれない。
ノロノロと、石像と化した相手に回していた腕を下ろした。]
お前は、
笑って。
[微苦笑と共に、首を横に振った。]
石像の前髪が乱れていてもなおしてやる事は出来ない。
[たどり着いたヘリの中。
ナターリエを座らせた直後に感じたのは、一際強い、眩暈。
それは、痛みをも伴って]
……ちっ……。
[とっさ、手で額と目を押さえる。
刹那、闇に落ちる、視界。
それに阻まれ、ナターリエの様子には気づくにいたらず]
……まだ…………いろ、なくせないんだが、な。
[掠れた呟きが零れる]
―→ヘリ内―
来るわ。
…ヘルムートはきっと、来るわ。
っ、…
[ずしん、と足が――今度は左足だ。
両足首の変色。感覚が麻痺していく。]
…ナターリエ、貴方も――大丈夫。
[下腹部を撫ぜていた姿を思い出す。]
[シャツ一枚の胸を抑え、]
私は、
私の進むべき、道を行く。
皆が待っている方へ。
お前も、一緒に来てくれ。
魂だけで良い。
魂なら、ヘリの重量も関係無いだろう。
[それだけを言い残し、石像には背を向けた。彼が急ぐ先はヘリポート。]
─ 実験室→ヘリポート ─
[ちくり
と、咽喉に違和感。
手を当てて、咳き込むように小さく息をする。]
……、…?
[手にあったのは――いばらのとげだった。]
[伸ばしかけた手はまたジーンズのポケットへ]
[右の手]
[掴んで]
[反動をつけて]
───。
[乗り込む]
[僅かに後ろを振り返り]
アーベル、貴方も…
[彼のベアトリーチェを見る瞳。
少しだけ違和感を覚えてはいた。
すいと顔を向けて 彼を―――視]
―――はや く …
[ 視界に空にあるはずの星空が広がった。 ]
[ブリジットに手を導かれて、たどり着く。カードキーを取り出すと、パソコンの電源ボタンを探し、立ち上げた]
後は、入れるだけなの。
どこ、かな。
[指で探る。カードのサイズと溝のサイズを確かめて、ようやく見つけた。
ヘリの外から聞こえてくる風の音。そして、城の崩れる音]
はや、く。
崩れてるの。
[石像になってしまった人たちの、ことを思い出し、ぎゅっと目を閉じた]
[数度の深呼吸。
呼びかける声と、背を摩る感触が、気を鎮めてくれて。
痛みが鎮まるまで待って、手を、離す]
…………は。
[お世辞にも、いいとは言えない、視界。
それでも、完全に失われているわけではないのは救い]
……ああ。
そう、だな。
[顔を上げて、ナターリエを見る。
上手く見えないけれど、いろは見えた。
それに安堵するも。
右の天鵞絨が、酷く色褪せている事には、自分では気づけない]
車椅子は不要だったか。
アーベル。
[ヘリに乗り込むアーベルの後ろから姿を現した、ヘルムートの顔色も以前より悪くなっている。左脇腹が固まりつつある事で、動作によっては、真っすぐだった背が微妙に左右不均衡に揺れるのが目に付く。
空いている座席に身を沈めながら、]
遅くなって、すまない。
[走って来た所為で、荒い息を吐きながら、声を掛けてくれた皆に礼を言った。]
───。
[ブリジットの言葉]
[目を丸くして]
[右の手を彼女へと伸ばす]
[あまり彼女に負担をかけるつもりはなかったけれど]
[左手は依然ポケットの中]
【RP】
そしてヘリが出発すると同時に
城がどんどん崩壊するのを一同は見るだろう。
やがて、それも遠くに流れ、ヘリは一夜をかけて、ある島に到着する。
明け方の空に生える白いドーム型の研究所。
横にあるのは湖か。
●業務連絡●
研究所はマップなどは設けません。
ドーム内の実験所にいるゼルギウスを探して決着つけましょう、みたいな。
正直、どうなるんだろうね!な状態ですが、最後まで楽しんでいきましょう。
[ノーラの叫び]
───大丈夫だよ。
[首を傾げて]
[わらう]
[わらう]
[後ろからかけられる声]
議員───ダーヴィッドは。
[知っている]
[けれど]
[本当は]
[ヘルムートもやってきたと判る。持っていたカードを、パソコンへと挿そうとして、聞こえたノーラの声]
ノーラさん?
[びく、と震えた指。そのままカードは中へと吸い込まれた]
[色褪せた天鵞絨に気づいて瞳を揺らし、そっとライヒアルトの右目にくちづけようと顔を近づけ。
ヘルムートがヘリにたどり着いたのが先か、ノーラが叫んだのが先か。
慌ててライヒアルトから離れる。唇は触れたか。]
[吸い込まれるカード。
叫んだ時はすでに遅かったのだろう。
ヘリは動きだしてしまったのならベアトリーチェの傍に寄って彼女の体を守るように抱きしめた。]
[アーベルの笑う顔が見えて、僅かに睨んだ。]
……――ノーラ?
[まるで威嚇するようなノーラ。
アーベルは、笑っている。
――ヘリは空へ。
空へ、飛び立つ。白い鳥の風切羽が
視界を横切っていった。
古城は――爆音と炎に包まれ。]
どうしたの? ノーラさん。何が、駄目なの?
[浮かび上がるヘリ。ノーラに抱きしめられると、判らないままその手を握り返した。
アーベルを睨む目には気づかない]
……どう、した?
[揺れる瞳に、困ったように問う。
視界から、異変が起きているのは察していたが。
響く、ノーラの声、ヘルムートの声。
戸惑うところに、掠めた唇。
触れられたのはわかっても、それ以上は確りとは感じ取れなくて。
また、苦笑が浮かんだ]
[怒られた]
[まるで犬のように]
[肩をすくめて]
[ごめんなさい]
───何。
[ノーラがこちらを睨んでいるのが見えた]
[大丈夫だって言ってるのに]
そんな怖い顔して、どうしたの。
[首を]
[緩やかにかしげる]
[ヘリは動き出しどこかへと向かうのだろう。
密室で数も不利ならば彼は何もしないのだろうかと思った。
解らない、ただ、伝えるべき事は伝える。
そこで迷っては、もういけないから。]
皆…気を付けて。
[少女を抱きしめたまま、言う。]
―― アーベルは…ピューリトゥーイ…。
[赤い星がそうだと告げていた。
大丈夫、その意味に気づけてはなくて]
……気を付けて。
[もう一度、伝えた。
傾げる首、彼は――何と答えるのだろう。]
…どうして、…
したかったから。
[ライヒアルトにはそれだけ答え。
飛び立つヘリ、歪な笑い声、崩れ行くお城。
わけもわからずライヒアルトに*身を寄せた*]
[浮上する感覚。
異眸と化した天鵞絨を転じれば、映るのは焔と煙]
……したかったから、ってな。
[返された言葉に呆れつつ。
身を寄せられたなら、護るよに、腕の内へと。
自身の不安もあったが、何より]
……なに?
[ノーラの告げた言葉が。
反射的に、そうさせていた]
[アーベルの言葉に、ノーラがアーベルに向けて言ったのだと知る。
その後に続く、視た結果]
アーベルさんが?
そうなの?
でも。
[大丈夫だといったアーベルの声]
ノーラさん、大丈夫、だよ。
ね。だから、安心して。私、ここにいるから。
[ノーラの背中を緩やかに撫でた]
[ぴしり。と音が近くで聞こえた。
びしびし、と遠くでも音が聞こえてきた。
視すぎた罰か、赤星との反発かは解らない。]
―――、く…
[痛みと同時に右目を手で覆い隠す。]
ッ…――
[足が本当に石のように重い。違う、もう、右足は動かない。
視界に違和感を感じた。ダーヴィッドの時は涙が石に変わっていたけれど、今回は―――瞳そのものが。
痛みからか思わず身を捩る。]
[刹那。]
――ッ は…、… ――!?
[城が崩れる。遠ざかる。
焼けて、 しまう。
左胸に手を当て、身体を折る。
いばらの痛みは、痛み無くした身を
知らず苛む。
――放射状に広がる土気色。
――石化病だけではなく
――歪な共鳴《ガードシーカー》の代償]
───俺が?
[ノーラの言葉]
[こちらが目を丸くする]
[ノーラの腕の中にいた少女の問いかけ]
[こちらを睨んでいたブリジット]
[自分の手をとったままこちらを見ていた]
[ライヒアルト]
[女が出来たら随分腑抜けたツラになったと思う]
[その腕の中の女]
[名前を把握していない気がした]
[ヘルムートはどんな顔をしていたか]
[溜息、一つ]
[眩暈]
───ッ。
[つながったままだったブリジットの手]
[少しだけ、強く握った]
[今になって数値を見る気はない]
心配しなくたって、どうせ───
[右腕もすっかり重い]
もう、動けないよ。
[ブリジットの手を、ゆっくりほどく]
[右の眼も痛い]
[きっとこちらも結晶化が始まっている]
[それぞれの症状が進んでいると、声で気づく。ノーラの右足が硬いと、触れて]
ノーラさん、足が……。
[病気。治るのだろうか。
同じように、動けなくなったアーベルは、回復剤で動けるようになったのだと思いなおす]
早く、着けばいいのに。
ノーラさん、せめて着くまでは、休んでて。ゆっくり眠ってないでしょ?
――みんなも。
たどり着いたら、私が起こしてあげる。
[自分が一番元気だからと]
アーベルさん…もう動けないの?
又、酷くなったの?
[見えない。けど、声色から、疲労が見えただろうか]
……さっきより、酷いの? だって、さっきはまだ、動けてたもの。
[回復薬を打つ前を思い出す。あの時より、酷い気がした]
[少女が変わりに足を撫ぜてくれれば、空に輝く癒しの星。
両足は感覚はないけれど膝ほどでそれが止まった。]
…ありがとう。
[優しくて、強くて、いとおしい。]
――――…
[程無く女は浅い眠りに落ちる。
少女が起こしてくれるまで、ずっと。]
───そう。
[小さく、応える]
[右の視界にまた虹がかかる]
[痛み]
[いたい]
[ベアトリーチェの言葉に返事もできないまま]
[そのまま、その場所にしゃがみこんだ*]
[寝息が聞こえるまで、ノーラの足と背を交互に撫でて。
アーベルの声は短く、様子がおかしいと首を傾げ]
アーベルさん?
[座り込んだ気配に、どうしようかと焦燥感が募る]
はやく、早く着かないかな。
[ヘリは飛ぶ。外の景色は少女には見えない。けれど]
風、強いのね。泣いてる、みたい。
[プロペラの音に混じっては越えてくる風の鳴く声]
[ノーラの寝息が聞こえてくると、起こさないように腕の中から抜け出す。
ヘリの中を探ると、用意された食料に気づいた。においでまだ新しいものだと知る。ゲルダが用意していたものだとは知らずに]
誰かが、積み込んでいたのかな。
少し、食べよう、っと。
[手に当たったものを、封を開けて口に入れる。*素朴な味がした*]
[浅い眠りの淵で――夢を見た。
遠くで城が崩れる音も聞こえない。]
(―――…ノーラ
どうか、あなただけでも…―――)
[何度も見た夢。
数多の星が流れ月が謳う闇夜の中、ヘリは飛ぶ。]
――と、さ ……おかあ、さ――…
[呟く寝言、瞳からは一筋の涙が零れ落ちた。
彼女が目覚めるのは―――もう少し先のこと。**]
[アーベルを告発するノーラの叫び。恐慌を起こしかけるのを、愛しい人の腕に護るように抱かれて一瞬で落ち着く。
子宮が病んでいるからか、この体は触れ合う以上を求めてはいない。メデューサが治っても、恐らくそれは変わらない。
止まっているのが、錆び付いているのが怖くて一度ライヒアルトに求めた。叶わなかったけど。
でも、今は心が求めている。愛する人とひとつに結ばれる事を。心だけなら結ばれていると、錯覚かもしれないけど思うけど。
眠っててと、優しいベアトリーチェの声。]
ありがとう。
[言って、左の肩にライヒアルトの頭が乗るように誘導する。]
寝顔が見えなくて残念だけど、眠って。
[ライヒアルトの黒髪を左手で撫でる。与えられるぬくもりはすべて与えたくて。そうして自分も目を閉じる。起きられるなら途中でベアトリーチェと変わるつもりで。]
[もしライヒアルトが眠れなかったり途中で起きてる時間が重なれば、他の人を起こさないように小さい声でとりとめもないことを話すだろう。]
以前、あたし髪が長かったんだ。あなたがそういうのが好きなら、また伸ばしてもいい。黒髪ほど手触りは良くないけど。
それと、あなたがジャケットのポケットに入れてたピン、あたしのポケットに入ってる。ごめんなさい。返して欲しいならポケット探って取り返して。ワンピースの左のポケット。
[理由を問われれば嫉妬と答える。]
[ほぼ一昼夜。
起きていたのが誰かに起こされたのか。明け始める空の中、白いドームの建物が見える。ドームの屋根が真ん中からパカッと開きヘリは飲み込まれるようにそこのヘリポートへ向けて下降を始める。
ヘリポートはドームの最上階にあり、中へ続く扉がひとつ見えた。]
[ヘリから降りてまたライヒアルトと手を繋ぎ、全員の顔を─アーベルを含め、見る。]
みんな、気をつけて。
[全員で一緒に動くにしろ、別れて探索するにしろ、ライヒアルトと離れずに*移動するつもり*]
……本当に。
時間の猶予はない、な。
[悪化していくそれぞれの症状に、小さく呟く。
右目の視力消失。
それ以外にも、影響は少なからず出ているのは感じられていた。
もっとも、それを理由に立ち止まる気はなかった。
直接聞きに行く、と。
そう、宣したから]
……肝心な時に動けないのは、情けないから、な。
[休息を促す少女の声>>38。強い、と思う。
そしてもう一つの、眠りを促す、声>>46]
……ああ。そうする。
お前も、ちゃんと休め、よ。
[寝顔、という言葉には苦笑するものの、素直に目を閉じた]
[それでも眠りは時折り破られ、交わされるのは、取り留めない言葉>>47]
……短いのも悪くないが、長い方が好みかも知れん。
[呟いて、手を触れる。
金の髪。色が見える内に、覚えておきたい。働くのは、そんな無意識]
……ピン、って……あれか?
[瞬き、ひとつ。
ロッカールームの扉を開けるために壊した古びた薔薇の飾りピンは、形見の品]
……いや、いい。そのまま持ってろ、落ち着いたら、直すから。
……でも、なんで持ってたんだ?
[ふと感じた疑問に返されるのは、『嫉妬』という言葉。
ため息が零れた]
……まったく。
死んだ者に張り合うなど、意味なかろうが。
[浅い眠りと覚醒の交差の後、たどり着いた先。
笑うよに揺れた、銀の髪。
それへと画面越しに叩きつけた言葉を思い返す]
……確かめん、とな。
[『他の目的』。
それが何を意味するのか。
自らのなした事が一端でもここに繋がるというならば、それは知らねばならぬ事だから、と。
零れた呟きに込められるのは、揺るがぬ決意。
それを支えてくれる温もりを離す意思は*欠片もなく*]
…… ―――ましには、なるのよきっと
[アーベルへ鎮痛剤を押し付けた。
効くだろうか。
気休めだ。分かっている。
血塗れの右手は服を汚してしまう。
ベアトリーチェの言葉には小さく頷き
項垂れて俯いた。
――夜を越える。
眠れたかどうかは覚えていない。
片手で握りしめていたのは
自身の断ってしまったバンドとかれのかけら。]
[飛び立ってから、どれだけの時間が過ぎたのか。
聞こえる寝息。うめく声も聞こえただろうか。
助手席に腰掛けて、顔を覆う両手。
いつまでも、聞こえてくる、城の崩れる音。もう、離れているのに]
あ…。
[襲ってくる虚無感。共に来ることが出来なかった寂しさ、絶望にも似て。
生きていて欲しかった。もう、いなくなってしまった人。
顔を覆っていた両手で頭をへおいて、あの温かさを思い出す]
[夜が白み、ヘリが降下を始める。眠り浅くうとうとしていた少女は、助手席から出てくると、糸の先、ノーラの*肩を叩いた*]
[――小さく咳のように詰まる息。
胸元から拡がる土気色。
まるで育ついばらのように伸びてくる。
恐らくクスリの副作用。
はたり
あるはずのない場所に
白い花びらが落ちた。
隣には動けぬ青年。
ピューリトゥーイ。
かれが。
わからない。]
【RP】
研究所につきその玄関を開くと、放送。
「よくきたね。
全員で私のところにおいで、といいたいけど。
この研究所もいろいろと不備が多くてね。」
そう目を凝らすと、研究所のあらゆるところに石像があるだろう。
ただ、今までと違うのは、その背中にぽっかり穴が空いている。
「ところで、ピューリトゥーイはまだいるかい?
私がほしいのは、それだから。
ピューリトゥーイと一緒にくるといい」
そして、放送はプツリと切れた。
●業務連絡●
再度連絡ですが、研究所マップは設けておりません。
ただ、結構広い研究室で、きっとゼルギウスのところにたどり着けるまで半日はかかるでしょう。
[ぽんぽんと肩を叩かれた。
――が、よくこうやって起こしてくれた―――]
…ん
[浅いつもりが思ったよりも深かったらしく僅かに寝ぼけた声。
視界にはぼんやりとこちらの方を見ている少女の姿。]
――…
[嗚呼。現実が見えた。]
[いばらのない場所でも咲く白い花に新緑を広めただろう。
石化の進行する右目は見られない方がいいと思い、長い黒髪を顔前に垂らした。
ブリジットの握る千切れた――千切ったバンドが見えた。]
……
[自分も足でどう動くか悩む。少女がずっと私の身体を支えるのは辛いものがあるだろう。何か長い杖のような物があるといいが――。そこで気がつく。導かれるように手に取った腰のレイピア。これを杖代わりにすればなんとかなるかもしれない。]
[『ゼルギウスを信じるな。』
踊らされている。彼はこちらを観察している。]
…どうするべき、…かしら。
[わからない。けれど手伝えると返れば行くべきかとも思う。
返る頷き。アーベルは、と彼の言葉も待っただろう。]
…そぅ。
[寧ろ、内の痛みを気にしてしまったのは握るバンドが見えてしまったから。
遅すぎるほどの足取り、がり、がり、と地面を削るような音を立てながら施設の方へと歩みを進めていくだろう。]
――進むしか、…道は、なくてよ。
[行けるというなら、行くしかない。
此処まできたのだ、
ゼルギウスに啖呵を切った
ライヒアルトとナターリエは、
裡に矜持を秘めたヘルムートは
生きると決めたノーラと、ベアトリーチェは
――、――]
[引き摺る音を追うように、
それぞれ扉へ向かうだろう。]
―研究所―
[ノーラを手伝いながら、ヘリを降りる。風が、心地よかった。朝だと、わかる]
気持ちいい風が吹くのね。
水の、匂いもする。
[上空から見たら、湖が見えただろう。白い、ドームの屋根も]
アーベルさん、動ける、かな。
[アーベルの体のことを気にしながら、振り返る]
[研究所のドアの中、広い、空間。音が反響しそうな、匂い。ノーラの声に頷く]
どこに、いるのかな。
ゼルギウス……って人。
[耳を澄ます。外からの音以外は、特に聞こえなかった]
[ノーラの驚いた声に首を傾げる]
どうしたの? 何か、あったの?
[歩き出し、杖の先が当たる。その先に、石像が一つ。
手で触れれば、その背には穴が開いていて]
あ、な? なんで、こんな。
―ヘリの近く→扉へ―
――アーベル。 行くのよ。
[鉱石の眸は――何を浮かべたろう。]
…おいては いかないわ
[――もう、たくさん おいてきてしまったから
これ以上は。このまま、石になってしまうのは。
彼の眼には映っているのか。
欠損した指先が見えても手を取って
ヘルムートに、手伝ってくれるよう頼み、
研究所へと向かう。]
…この穴、一体 …――。
[彼らもまた実験されてしまったのだろうかと
そんな嫌な予感が過る。]
おいでなさい…
[腕に感じる重み。そっと左手で抱き寄せる。
まだ動く腕で少女を守るように。]
―研究所―
[聞こえてきた放送>>#1に、苛立たしげな舌打ち一つ]
あくまで、人を……サンプル扱いか。
[命を玩ぶ。
だが、それは、ある意味では自身にも当てはまる事。
新たないろを生み出すために、踏みにじった生命は決して少なくはない。
故に、それ以上は言わず、息を吐くに止める。
ナターリエにその様を案じられたなら、大丈夫だ、と笑んだ]
……っと。
先に、伝えておくべき、か。
[ブリジットがヘルムートに助力を求める声。
ふと、一連の騒動で失念していた事を思い出す]
……議員殿。
今の内に、お話ししておきたい事が。
[扉へ向かいながら、声をかける。
ゼルギウスとの通信で得た情報。
『他の目的』の事。
そして、それに自身の研究の一端が用いられているであろう事を。
彼に、そして先を目指す者たち皆に、*伝えるため*]
[死後に開けられた穴なのかどうか解らない。
がり、と地面に触れる足からは嫌な音がする。]
…?
[皆は来ているかと振り返ると頼まれて渡したタイピン。]
―――。
[そのまま、広間らしきフロアをぐるりと見回した。]
誰か…
誰かいないの!
[声がドーム状の天井のせいかこだました。]
【RP】
その時、ふと、物影からおずおずと、
子供らしき人影が現れる。
二人
ただ、人間ではない。
一人は黄金の髪、一人は白銀の髪
まるで、一輪の薔薇をそれぞれあしらったような頭をして、目はそれぞれエメラルドグリーン。
顔つきは、人間のようであり、でも、猫のようでもあり。
何より、長い長い尻尾……。
まるで妖精(エルフ)のような…。
そして、彼らはこっちをじいっと見ながら、またすっと物影に消えていく…。
【RP】
また、あるものの前には、白い白い馬…。
だけど、火のように赤い目をして、何より、その背中から翼が生えている。
いななきはするけど、音はせず、
なのに、耳の奥に振動だけは伝わってくるだろう。
そして、それも、またしばらくたつと、消える。
!!
[不意に現れた小さな人影にベアトリーチェを守るように
ずず、と音を立てて少しだけ前に出るだろう。]
―――…
[金と銀の星。瞳の色は鮮やかな緑。
ブリジットの瞳の色を思い出す。]
貴方達…ここの人?
[問いは届く前に、ふっと消えた。
長い尾が――揺れるのが見えた。]
―――… Pegasus
[白き羽を持つ馬がどこからともなく現れ思わず呟く。
だけど、赤い、赤い瞳が恐怖を呼ぶ。]
〜〜ッ!!
[鼓膜に伝わる振動に瞳を細めた。]
【RP】
そして、探索を続ければ、
もっと奇怪な、物語や御伽噺にしか出てこないような物体が、現われてはすっと消えていく。
そのうち、誰かがみつけるかもしれない。
それらの物体が、石造の傍に現れることを。
まるで、石像がそれらの住処であるように……。
─ ヘリの中の出来事 ─
ダーヴィッドは、来ない。
アーベル。
[私がこの手で最後の命を奪った。自然に石化病でダーヴィッドが死を迎えるのをギリギリまで待つ、もしくは置いて行くと言う選択が、ヘルムートには無かった。複数ある理由それらは、どれも酷く利己的だ。
だが、敢えて。この手で──殺して、奪ってしまいたかった。
ふと、思う。
宣言した上で、動かない像を作る行為は、平凡な写真を撮る事と似ているか。
像は、切り取られ、静止し、永遠となる。]
わざわざ前髪を整えて、カメラを待つ
人間を撮るようなそんな写真は、記念写真は、
アーベルは、撮らないか?
[奥の座席へ身を運びながら>>16言った。横を通る時、ベアトリーチェには、ダーヴィッドを連れて来られなくてすまない、とも。]
ここは、――…一体、何を研究しているの。
[人ではないもの。
動物ではないもの。]
[投与された薬。]
……人は
[ずっと抱いていた 疑問。
長い眠り、目覚めても治らない伝染病。]
人はまだ――残されているの?
[ぽつりと不安を呟く。]
─ ヘリの中の出来事 ─
[扉が閉まり自動操縦で動き出すヘリ。
ノーラがアーベルをピューリトゥーイだと言う声>>14。
緊張感がヘリ内に走る。
『心配しなくたって、どうせ───
もう、動けないよ。』
告発を受けたアーベルに、ヘルムートにどのような視線を向けただろう。アーベルがピューリトゥーイで有った事には、今は何も言わない。ブリジットの反対側。
ヘリが研究所へ向かう時間、アーベルの隣席で過ごす。
窓の外を飛ぶ、鳥を見付ける事は出来ず。
蓄積している疲労を感じる理由は複数ある。石化が進んだ所為で、全身の循環が悪くなっているのが分かる。脇腹から後腰が重い。腎臓に来ているのなら、二つある分、多少長持ちするだろうか。眠ろうとして、断片的な記憶がフラッシュバックする中、身体を切り刻まれる夢を見る。
ベアトリーチェが起き出して食料を見付けた時>>44、]
それは、ゲルダが用意してくれたものだよ。
頼んで先に積み込んで貰った。
[片目を開け、そう言った。
話すべき事があるはずのヘリの中、あまり口を開かずに*過ごした*。]
―ヘリ―
───そう。
[来ない]
[ヘルムートの伝える結果]
[わかっていたけれど]
[目を伏せた]
[新たなもうひとつの問い掛け]
[記念写真]
[答えようとして]
[ノーラの叫びで掻き消えてしまった]
ごめんね、ブリス。
[微かに呟く]
[何のための謝罪か]
[わからないけれど]
薬はいらない。
[苦笑]
痛みを、忘れたらダメなんだ。
[わらう]
痛い間は、生きてる時間だから。
[目を細めた]
[薬を拒否する理由]
[それだけが理由でもないけれど]
だから、ブリスが使いなよ。
[拒否する言葉]
[───ピューリトゥーイ]
[聞こえた]
[呼ばれた]
[声を出すことはなかったけれど]
[何のために欲するのか]
[細切れの意識]
[思い出したかのように]
[壊れた音盤のように]
───撮ったことあるよ、記念写真。
[ヘルムートの問い掛け]
俺が一番最初に撮った、写真だ。
[答える虚ろな声]
[ヘリを降りる時、ノーラとブリジットの依頼に、自身のこめかみに当てていた手を下ろして頷いた。
アーベルに、]
足はまだ動くのか?
[動かないのなら車椅子に。動くのならば何も言わず、壊れ掛けた人形のような青年の身体を*支える*。]
[招く言葉]
[誘う手]
───行くよ、呼んでるらしいから。
[ぎしぎしと]
[ほとんど動けないに等しいからだ]
[指の欠けた左手]
[よく前が見えないけれど]
[聴覚がどうにか生きているから]
[ゆっくりゆっくり]
[研究所をすすむ]
[ヘルムートの声]
[苦笑]
───楽をしたら、駄目な気がする。
[痛みを忘れたら]
どうにか、ね。
[歩けなくとも歩くと言う]
[痛みがあれば]
[ひどくゆっくりとした動きだったろう]
[あるものは下半身が魚、あるものは人と思えば白鳥へ
まだ石との関連性には気づかないまま広いフロアを進む。
扉はいくつかあったけれどそこにゼルギウスは居ず
居たのは背が空洞の石像だけだった。]
……
[フロアに左右へ弧を描くような2本の上り階段。
2本の階段の間には扉がひとつ。
こちらへおいでと呼んでいる気がした。]
――…2階。
あの、扉の向こう…
[道を示して、導くように上を指さす。]
―研究所―
[ヘリから降りて、金の短髪が風に撫でられるのを感じ、目を閉じる。聞こえたライヒアルトの舌打ちに目を開けて心配そうに見上げる。
サンプル扱い、その言葉に吐く息に万感の思いがこめられているのが分かる。
繋がれた手を強く握る事しかできなくて不甲斐ない。大丈夫と返される言葉に、安心はできなかったけどうんと声を出して頷いて。]
[ライヒアルトが話す事を、傍で支えて聞きながら、いろんな事を考える。
ゼルギウスの事、石化病の事、いつか髪を伸ばす未来まで。
ライヒアルトに知られれば、またつっこみをもらうだろう。けど、これから対峙するものがどれだけつらくても逃げ出さずに戦えるように。]
●業務連絡●
ゼルギウス登場予告時間:22時以降な感じです。反応は即帰ってくるとは限りません。頑張るつもりではあるけれど…。
よろしくお願いします。
―研究所―
[何処から照らされているのか分からない灯り。
幻想生物が現われて消える。
――まるで、不思議の国。
そのくせ、無機質で奇妙に歪んだ
白に満ちた場所だった。
足を引き摺る音。
時折交わす会話。
それだけが静寂を破る。
石像に空いた孔で眠る羽の生えた猫は
互い違いの眼で闖入者たちを、見ていた。
白と黒。
濃い影が落ちる。]
─研究所/扉へと進む前>>74─
……ああ。
それについては、先に聞いてる。
中身の解析を手伝ったからな。
[示されるサファイアのピンを見つつ、一つ、頷く。
それがもたらされた詳細の説明は、任せる事になるだろうが。
解析に関連する事は、可能な限り補足などもして。
結晶多形が描くペルセウスの話は、他の者にも伝わるか]
[続けて話した事。自身の研究の一端>>6:129。
一介の『園芸家』の領域を大きく越えた、研究の話]
……ま。
冷静に考えれば、異常ではある。
道楽のような色彩交配研究への出資……その条件の一端に、精神感応や共鳴に関する研究を進める事があった訳だしな。
あの頃は、先へ進む事にばかり意識をとられて全く気にせんかったが……こんな形で、向き合う事になるとは。
さすがに、考えもできんかった。
[呆れを帯びたため息が零れる。
それから、くぐった扉の向こう。
見えた石像に、未だいろを失わぬ一方の天鵞絨が険しさを帯びた]
─研究所─
[誰か、と呼ぶ声が響く。
答えるように現れた小さな影>>#3]
……な。
[黄金と白銀。
薔薇を思わす二色の髪。
それらは容易に、結局手の届かなかったものを思い起こさせ]
……『天上の主』たちを創り出した、とでも言うつもりかっ……。
[零れ落ちたのは、苛立ちを帯びた、言葉]
[資料を手にし、父の名を見ながら黙していたが
ぽつりと]
……知ってたわ……
[じわじわと染み出すように
少しずつ沈めた記憶を浮かび上がらせる
もういない。もうむかえにはこない。もういみは]
……知ってたの……
[それでもなお、理由があるなら
進む以外に道は在りえなかった。]
[ライヒアルトと一緒に扉をくぐる。
虚ろな穴の空いた石像。]
ゼルギウスの言っていた、不備の結果。
[推測を口にする。
その次は展開される不思議。最初は、城にいた生物みたいなキメラかと思った。だとすれば、金と銀の子供は人間を元に造られたのだろう。
怒りに囚われかけてライヒアルトの手を強く握った時、その姿が消えた。]
……ホログラフ……。
[現実感のなさにそうかと。]
……、……
[ず、がり、がりり、と石を引きずる音が響く。
レイピアを片手に自由のきかない足を必死で動かす。
階段を登る足取りは重く、遅いもの。]
ベアトリーチェ…
[腰に下がる小さな楯が輝く。]
私は、家族というものが…
[エーリッヒを視て、ハインリヒを視て、ブリジットを視て
皆が抱く家族の姿、兄弟の姿がそこにはあった。]
…よく、…解らないの。
[「私」を求めてくれなかった、あの家族しか知らないから。]
[目を伏せる様子>>102に、かける言葉は見つからない。
城で目の当たりにした、いばらの舞。
真白の乱舞。
それをもたらしたのは、過去に縛された自身の妄執で。
そして、それがどこへと至るのかは、見えぬが故に]
……ホログラフ?
[手を、強く握る感触>>105。
意識は現へと引き戻され、天鵞絨は傍らを見やる]
確かに……そういえそうな、現実味のなさではある……な。
ホログラフなら襲って来ないから安心だ。
[明るい調子で楽天的な事を言ってから、ふっと真顔になって明後日の方を見つつ。]
ゼルギウスって、メルヘン大好きなロマンチストなのかな。なんかイメージと違う。
[視界を過ぎり、消える幻想生物。
こちらに近寄るでなく、ただ、消えるその動きには、言語化できない違和感が付きまとう]
……それはそうだが。
警戒はした方がいいだろ。
[楽天的な様子に突っ込みを入れて。
真顔で続けられた言葉に、一つ、瞬く]
……さて、どうだか。
個人的には、あまり趣味はよくない、と思っているが。
どこか、神経を逆撫でされるような感覚があってな。
[もしかすると、ある種の同属嫌悪。かも知れないが、自覚はない]
−研究所−
[転ぶなと]
[少女の弱い声がした]
───努力するよ。
[告げる]
[カメラは自分に引っ掛けたまま]
[もう撮るのはきっと難しいだろうけれど]
[それでも手放せなかった]
[たとえそれがもう意味のないものであったとしても]
[幻想種]
[行き交う不思議なものたち]
[それよりも気になる石像の空洞]
[何故なのか]
[背中にぽかりと]
[ぜルギウス]
[何を求めているのだろう]
[彼は]
[メデューサに]
[ピューリトゥーイに]
[幻想種達に]
───何、なんだろう。
[呟く]
[間近に現れて消える幻獣に、ホログラフと思ってもぎくりとした。]
気をつける。本物が紛れてるかもしれないし。…キメラの、実験もされていたようだし。
[突っ込みにそう返す。]
あたしのイメージだと、目的の為なら手段を選ばない冷血非情なおとこ。
[疲れに足を止め、誤魔化すようにみんなに向かって話しかける。]
あのさ。ゼルギウスはピューリトゥーイが必要だと言った。もし、
[言いづらくて口ごもる。けど、頑張って続けた。]
もし。…………あたし達の治療をする代わりに、ピューリトゥーイを。 置いて去れって言われたら どうする。
[アーベルの方を見ずに、ぎゅっと目を閉じて。]
[ナターリエを見たのは、彼女の身体――内部を心配したから
そして我慢せずに寄り添う2人を見たかったから。]
[屋上で見た時、星空は2人を祝福していた。]
……
[人に甘える事を、頼る事を知っていたら
違う未来があったのだろうか、と――]
…だめね。
[思考を止める言葉。
ふるりと顔を一度横に振ると黒い髪がぱさりと揺れた。]
───いいね、そういうの。
[ナターリエの提案]
[嗤う]
やっぱり───アンタ殺せば、よかったかな。
[微かに唇を釣り上げた]
[嗤う]
[冷たい指先に残る記憶]
[ゲルダの首の輪を引きちぎった記憶]
[でも]
[今更だ]
[きっと]
[どうせ自分に未来は無いも等しいのだから]
───好きに差し出せばいい。
[嗤う]
[アーベルの言葉に目を開ける。]
あたしは、あなたが嫌いよ。
[冷たい目でアーベルを見る。]
ゼルギウスも、だいっ嫌い。だから。あなた達が喜ぶ事に手を貸すのは、いや。
[そう言って微笑を浮かべる。言葉の意味は、他の人に通じただろうか。
そう言った後は黙り、他の人の答えを待つ。]
[気をつける、という言葉>>113。
ああ、と一つ頷いて]
……その可能性。
低くは、ない……のか。
[続けて投げかけられた問いかけ。
しばし、目を伏せて、思案を巡らせる]
……仮にそう、言われたとしても。
ただ、言いなりになるのは御免だな。
[呟きが零れたのは、二人のやり取りの後]
……ま、問題は、その場合の具体策が全く見えていない、という事ではあるが。
[足元で時折支えてくれる少女の強さと優しさを感じる。
私達を守ると言ってくれた優しい男の顔が脳裏を過る。]
そう。
生きると決めたの。
1人でも多くの人と…――
[だから、その為にアーベルを置けと言われたら]
未来へ繋がる道を歩くわ。
[わたしは、彼を――切捨てる。
言いきった後、ナターリエを一度見ただろう。
それが私の結論だと。]
…ただ、…
[ぽつりと続ける。神妙な様子で静かな口調で。]
別に───喜んでるわけじゃないけどね。
[ゆっくりゆっくり]
[息を吐き出すように]
[喉が震えた]
[嗤う声]
喜ばせたくないなら殺せばいい───ほら、殺してみなよ。
[ブリジットの手を離して]
[既に漸死の数字を示す首輪]
[ゆっくりゆっくり]
[殆ど石に等しい手で]
[ナターリエの手をとって、自分の首輪へと]
ね、ライヒ。あなたはゼルギウスを信じられるの。「約束通り石化病は治しましたよ。でも、その後に殺さない約束はしていません。」とか平気で言いそうだと思わない。
[天鵞絨の、両の目を覗き込む。見えないとわかってる方も。]
なんとか、出し抜く方法は。
[ない頭をひねっている時にノーラの決意が聞こえ、神妙に頷く、否定するつもりはなく、続く答えを待つ。]
やめなさい。
[手を伸ばすアーベルの動きを止めるように強い口調で言う。]
……死にたかったのなら貴方は
ヘリコプターに乗らなければ良かった。
言ったはずよ。
生きたい者は屋上へ行けと。
死に急ぐなんて馬鹿げてるわ。
ナターリエの話はあくまでも仮の話よ。
私は――
―……ゼルギウスの言いなりになるために
アーベルを連れてきたのではないわ…
[眉を寄せる。
『みんなで、でるんだ』
もはやかなわない願い。
不意にアーベルが離れた。]
っ、
[カメラを渡され眼を丸くするが、続いた行動に驚きの声が漏れた]
やめなさい、何してるの…!
【RP】
その時、白い羽根をつけた白猫が、彼らの前を通り過ぎていく。
猫が向かう先には厳かな扉。
猫は開かないそこに飛び込み、吸い込まれていく。
やがて、そのうち、古今東西、いろいろな、幻といわれる物体や、想像でしかありえないモノたちが、ぞろぞろと湧き出てきて、同じ扉に飛び込んだ。
そして、めまぐるしい大乱舞のあと、またそこはシーンと静かになった。
……人の研究を横取りした上で好き勝手やるような輩を、信用できる訳なかろうが。
[引っかかり続けているのは、結局そこらしい]
……お前もお前で、自棄になるなっ!
[アーベルの動き。
異眸と化した天鵞絨が険しさを帯び、動きを押し止めようと手を伸ばす]
[アーベルに手を取られる。導かれ、首輪に触れる。さっきまで笑っていたのが、一転無表情に。]
そう、やっぱり楽になりたいんだ。
[つ、と首輪に差し入れた指を、アーベルの首に滑らせる。軋む首輪。]
死にたいともいってないし───生きたいともいってない。
[薬を必要としない理由もまた同じ]
[ただ在るがままに]
[流れという定めのままに]
[生き、そして死ぬために]
[天に与えられた運命という名の時間まで過ごす]
自棄に見える?
[これ以上ない『贅沢な死』への渇望]
生憎と、痛くて苦しいほうが俺は楽しいけどね───
[目の前を駆け抜けていく白]
[鉱石の眸に見えぬはずの者たちが映る]
[消えていく幻たち]
[その部屋に入れば、やがて、声が聞こえてくるだろう…]
やぁ、はるばるごくろうさま、たった7人しかこれなかったんだね。
で、
ピューリトゥーイは無事かい?
……ん?なんだ、一体しかいないのか。
まぁ、いいか、ここまでこれないような弱いピューリトゥーイには用はないよ。
[声は若い男の声に聞こえる。]
やめなさい…!
[幾多の声。咎める手。
視界に飛び込む白い猫。
それに重なるように
後ろから
横から
駈けていく幻想の生き物。
それは清流か濁流か。]
――――ッ…!?
[立ち竦みカメラを落とさぬよう強く抱える。
きこえる(きこえないはずの)
こえなきこえ。
静寂の騒音。
それがやむまで
呆然と扉を見つめていた。]
やめなさい。
…行きましょう。
[アーベルの言葉、眉を寄せて聞いていたが
周囲に現れた猫に、他の全てが―――扉に。]
…な、に?
[ベアトリーチェは見えないけれど何か感じるのだろうかと
視線を下して様子を伺っただろう。]
この先…―― 何が。
[扉まで辿り着くのは誰が先か。
その扉の先には―――]
[そこに見えるのは、
椅子に腰掛けた白衣の銀髪青年と
周りに群がる幻想生物たち……]
[見れば彼がゼルギウスだとわかるだろう。]
……俺には、そう見える。
[自棄に見えるか、という問いかけ。
吐き捨てるよに、答えた]
もっとも、今の俺は、生き意地がはっているからな。
そう、見えやすいだけなのかも知れんが。
[ただ、いろをもとめ邁進していた頃であれば、あるいは。
温もりを得る前であれば。
違う見方をしたかも知れないが]
……っ……。
[不意に、目の前を過ぎる、白。
幻想の乱舞。
それらが扉に消えた後、天鵞絨を瞬いた]
大丈夫、そう簡単には切れないから。
[みんなにはそう言う。]
自棄と言うより、虚無に見える。あたしもそれに囚われた時があった。
[するりと首輪から指を抜いて、アーベルの服の襟首をつかむ。]
ゼルギウスと会うまでは殺せない。全部終わるまでに考えて。目覚めてからあなたが関わった人で、あなたが生きる事を望む人がいなかったか。それでも殺して欲しいなら、あたしが。
[襟首から手を離す。
突然のめまぐるしさにそちらに向かった。]
[自棄]
[虚無]
[くだらない]
[ただ一つのあるべき死を望むだけだったはずなのに]
───めんどくさい宿題だな。
[呟く]
[生きる]
[考えることすら]
それで───『ピューリトゥーイ』に何の用。
[52年]
[思ったよりも短い年月]
[声に問いかける]
[瞳はすでに見えないけれど]
[ナターリエの声には
それでも不安げな眼を向けた。
そうだ、そんな風には作っていないと謂った。
幻想の奔流過ぎ去りしあと
アーベルに歩み寄ると
いつかのように手を振り上げ――止められなければ平手打が飛ぶ。]
私……宣言してましたわよね。
[――打てようと、打てなくとも、
睨むのは変わらない。
いばらの葉色の眼。
カメラを手渡そうとした後、銀の男が待つ部屋へ]
―ゼルギウスの下―
[扉向こうは、
なお現実味の薄い世界だった。
銀の男。幻想生物。白。]
ゼルギウス…。
[52年。
告げられた年月に目眩がする。]
[ナターリエがアーベルに向ける言葉。
ふ、と掠めたのは、笑み。
歩みは、銀の男の待つ部屋へと。
踏み込んだ先、投げられた言葉、三日月の笑み。
は、と一つ息を吐いた]
……呼びつけておいて、何の用、と来るか。
[52年。
長いと取るか、短いと取るか。
いずれにせよ──残してきたものたちは、既にない、と。
それだけは、確たる事実として、認識できた]
あ、そうそう、
ピューリトゥーイの君。
君はもうここからは出られないから、よろしくね。
まずは、測らなくちゃ……
君がどれだけメデューサウィルスと同化したか。
ね。
愉しいな、君からは何が生まれるんだろう。
まずは、数値が50越えるのを楽しみに待ってよう。
[銀髪は笑う]
[アーベルから離した手。不安げにライヒアルトに差し出す。彼の笑みにほっとして手をつなぎ、歩き。
扉をくぐり抜け、ゼルギウスを見つけて睨む。]
少ないって言うなら、ヘリ二台くらい用意しておけばいいのに。
[ムスッとふくれ。52年と聞いてライヒアルトを見る。
父母はすでにこの世の人ではなかった。兄弟はいない。友達も疎遠になり、修道院にはもう帰れないと思っていたから残して来たものはないけど、ライヒアルトは。]
───っ。
[僅かばかりの視界が揺れる]
[緑が滲んで見えて]
[苦笑]
[返されかけたカメラ]
持ってて。
[自分の手ではもう支えるのは難しくて]
[ゆっくりゆっくり、瞬く]
―ゼルギウス部屋―
[「たった7人」。
目覚められた人は一握りでしかなく、目覚めて最初に見たのは赤い無数の星達。思い出して、奥歯を噛む。]
貴方が…ゼルギウス。
[奥に見える銀の髪の男。幻想生物の群。
ぐ、と拳に力が籠った。]
……
[52年。長いようで短い眠り。
52年たっても――病は、――。]
50?
―― 生まれる…?
[アーベルを見る。首の数値の事だろうかと。
まだそこまでは達していなかった。]
…何が、…
[ゼルギウスを見て、周囲の生物を見て]
まさ、か ―――
───生まれる?
[頭をよぎる]
[背に洞のあいた石像]
[指先が、冷たいと感じた]
[とっくに石に等しいはずの指先]
[数値]
[もう自分では、見えない]
―ゼルギウスの下―
なん ですって…?
[ざり、と一歩踏み出した。
ここから出られない?
何が、生まれる?
50を越えるまで待つ?
――ゼルギウスを信じるな。
過るのは名も知らぬ老人の――]
孔の空いた石像は……
――まさか、皆“私たちと同じ”…?
[胸元で手を握りしめた。
白いいばらの花は娘の裡より咲く]
もう一度訊くわ。
―――ゼルギウス。御前は何者なの。
[男は話を続ける。
実はメデューサウィルス感染者から、ある日、ナニカが生まれた。
いや、それまでも、今僕の周りにいるような幻想生物が生まれる症例はあったんだけど、その症例ははじめてだった。
メデューサがその肉体を自分に取り込んで、生命体として小さなヒヨコが石像から生まれたんだから。]
[これは奇跡だった。
そのヒヨコが親鳥になって、卵を産む。
そして、その卵たちが……ワクチンにつながった。
メデューサの環境でも細胞が石にならない。]
[そう今、メデューサは完治する病になったんだ。]
[アーベルの数値があがっていくのを満足そうに見ている。]
そして、今、もう、外にはメデューサ病を持つものはいなくなった。
そう、君たちは最後のメデューサなんだ。
[ナターリエの視線>>141。
ふ、と笑って、握る手に力を込めた。
両親は健在だったが、研究に没頭した時点で縁を切られていた。
弟がいたから、後は任せて。
自身の帰りを待つものは、いない。
強いて言うなら──紫、青、蒼、茜、夜蒼、紫黒の花たちだが。
自ら生み出した原種は、既に失われているだろう]
……同化?
ウィルス……と?
[笑う銀髪が告げる、言葉>>#13。
天鵞絨は、瞬いて。
続けられる話。いろの険しさが、増した]
[ゼルギウスの話を聞きながら、不機嫌絶頂な顔。]
メデューサを治すって、そういう意味なの。背中に穴を開けて死ぬんじゃ、治ったって言わない。
……いなくなった。
ならば、何故、俺たちは。
[取り残されたのか、と。
問う前に、返された、答え>>#16]
……あくまで。
人を、サンプルとして、使う気か、貴様……!
>>146
・・・・・・・僕かい?
僕は、メデューサ育成プログラム……
[そして、その姿が、青年から少女へと、それからまた少年、老人、貴婦人、などかわりはじめる……]
コンニチハ…僕はメデューサ育成プログラム……。
ゼルギウス
───ッ!
[みしり]
[それは体のうちから聞こえた音だ]
[ゆっくりゆっくり]
[緩やかに]
[花が萎れてゆくように]
[膝をつく]
[蹲る]
[左の眼]
[深い色の青灰簾石]
[右の眼]
[淡い色の青灰簾石]
[世界は真っ暗で]
[息が───詰まって]
[まるで胎児のように]
[ワクチン。
完治するのに。
では、では何故彼らは死んだのか。
エーリッヒは、リディは、オトフリートは、ゲルダは、イレーネは、ダーヴィッドは、皆は
―――アルドルフは]
駄目…!
[跳ね上がっていく数値。
止められない。
想起するのはあのどんどんと冷たくなる紺青の]
厭、とまりなさい!
45…、だめ、――よ。
アーベル…ッ、…ぁ、…
[既に50を超えてしまったと聞けるだろうか。]
治療法が見つかったのなら
どうして…どうして―――
[苛立ち、憤りが募るほど手が白む。]
私達はモルモットではない。
今…こうして、生きている。
生きようとしているのよ…。
●業務連絡●
●ゼルギウスコンピュータ●
研究室内に、ゼルギウスメインコンピュータがあります。
それをぶち壊すと、ゼルギウスコンピューターは破壊されます。
●最後のピューリトゥーイ●
最後のピューリトゥーイ・アーベルと対決しましょう。
倒すのか、説得するのか、
それとも?
※アーベルさんは自由にピューリトゥーイを演じてくださって構いません。
[もたれかかるナターリエの肩に腕を回す。
支える。
同時、自身も支えを求める]
……最初から、ない、という事、だろうな。
[育成プログラム、と名乗ったものに向くのは苛立ち。
周囲の叫びから、アーベルの悪化を察したなら、それは更に高まって]
育成…―――?
[『―――信じるな。』老人の言葉が、蘇る。]
ふざけ、ないで。
[エーリッヒは命を救おうと、病を治そうとしていた。
最後まで諦めないで、命をかけて――彼は、彼は。]
【RP】
そして、ゼルギウスは語り続ける。
なんで?どうして完治するのに薬を投与しなかったか?不思議かな?
メデューサウィルスは感情に左右される。
そのメデューサをうまく育てる薬を、開発するのが僕の仕事だったのさ。
ピューリトゥーイはその中で一番うまい育成剤だった。
メデューサは負の感情が大好きでね。
それを食うと、より同調同化するんだ。
[アーベルの変化はその声に反応するかのように。]
>アーベルさん:OKです。でも弱点をひとつ作っておくといいかな。と。
>他のみなさん:倒す際、説得する際にアイテムが必要な場合、捏造していただいても構いません。
イキテルイキテルイキテル
ケタケタケタケタ
ソウ、僕ダッテ生きていた、ケタケタケタ
[やがて、暴走するように、ゼルギウスが笑いはじめる。]
ぁ───っ。
[みしみしと]
[音は続く]
[蹲ったその背中]
[シャツに覆われた背中]
[まるで蕾が開くように]
[石の華が咲くかのように]
[みしりと確かな音を立てて]
[ゆっくりと剥離し]
[捲れ]
[布を裂き]
[その間も数値はただ]
[まるで時計の針が進むかのように]
[上がり続けた]
サァ、ピューリトゥーイを倒したら、
ワクチンをアゲルヨ
きくヨ
だって、一人、キイテタでしょ?
ウソじゃなよ…
[ケタケタケタ]
……なんだ?
[唐突に、笑い出す、銀。
天鵞絨を数度、瞬いた]
……まさか、とは思うが、こいつ。
暴走してるんじゃ……。
[過ぎった可能性は、信憑性を帯びているよに思えた。
そこに聞こえた、ナターリエの言葉]
……ああ。
俺も、やっぱりこいつは好かん。
思いっきり、ぶん殴るか……!
[86まで上がった数値]
[男の背に咲くのは大輪の石の華]
ぁ、め───
[だめだ]
[やがてその数値が100へと更に上がれば]
[首の輪は自然と落ちるだろう]
[白い花]
[くちなしの花に似た]
[石の華]
───はな、れ
[離れて]
[最後まで、声にならない]
うん、イカれてる。
[ライヒアルトに頷いて手を離す。]
ゼルギウスは任せる。あたしは余力を残しておくから。
[変質していくアーベルから目を離さず、息を吸う。]
みんな、彼を説得して。あたしは彼の事、知らない。一番関わりが薄い。だから説得は任せる。
ダメだった時は、あたしが、"アーベル"を、殺す。
[初めてアーベルの名を呼んで、そう宣言した。どうしてもアーベルを殺したい人や、アーベルが殺されたい人がいるなら任せるけど。]
……ッ、――
[「負けないで。」ダーヴィッドに言った言葉を彼にかける事はなかったけれど、それでも祈ってはいたのだ。]
――アーベルッ!!
[あれは まるで華だ。]
…いけない、…
ベアトリーチェ…これを。
[傍の少女に腰に帯びた光沢を持つ楯を手渡そうと
そして女は赤を揺らしながら背筋を正し、腰に手を。]
[最後に確認出来たアーベルの首輪の数値は、45→51の上昇。数値の上がる速度は、すぐに目で追う事が出来なくなり、]
──アーベルッ!
[研究所に入ってからずっと支えていたアーベルの身体から、温もりが消えていく。震えた手が滑り、離れてしまう。踞る、青年の身体。彼の背中が裂け──。]
──アーベルッ!
[その瞬間、名前を呼ぶ以外に、何も出来ない。]
[アーベルの背、開く華。
天鵞絨を細めて、それを見つめ]
……いずれにしろ、唯々諾々と従うつもりはないからな。
暴走したプログラムであれば、それこそ、何をやらかすか、わからん。
[任せる、という言葉。
一つ、頷いた。
アーベルも止めなければならないが、『ゼルギウス』をこのまま稼動させておくのも危険なのは想定できる]
……無理、するなよ。
[離れた手。
一度、取り直して、引き寄せて。
唇に触れてから、再度、離した]
『───』
[髪の長い人のような姿]
[大きさは赤ん坊ほどの]
[髪に黒百合]
[背に白い羽]
[歳のころはちょうどブリジットと同じくらい]
[だが、歳の頃だけではない]
[大まかな顔立ちは転がる男だったものに似ていた]
[青灰簾石の───鉱石の眸]
―回想・ヘリの中―
[食料を探し当てて食べていると、ヘルムートの声が聞こえた。ゲルダが、そう聞いて、手の中の食料を大事そうに、包んで]
―同・研究所―
[>>75ノーラの声が、響く。間をおいて、>>#5鳴き声が耳に響いた]
何の、声? 馬みたい。
[振動だけで、少女にはその音がせずとも理解できた。
ノーラが前に立つのが判る。貴方達、と話しかける声に、誰かいるのだろうかと気配を探る]
誰?
誰か、いるの?
[判らなかった。何も、いない気がした。何かがノーラたちには見えてるのだろうと思っても、鳴き声のほかに音もなく、気配も感じられない。
ただ、ノーラの示す方へと、歩いていく。
階段を上る。杖は左手でついて、右手はノーラを支えるために。
名を呼ばれ、その後の言葉に微笑んで]
私も、自分の家族以外は良く知らないの。
でも、温かかった。パパも、ママも、弟も、大好きだった。
目が見えない私のために、色々してくれたの。ママも、パパも、厳しかったけど、でも、優しかった。
だからね。
この病気になって、ここに来ることが決まったとき、ほんとは嫌だったんだ。
だって、みんなと別れるのは、辛かったんだもの。
でも、ママも同じ病気だって知って、でもママはここには入れなくて、生き残る可能性があるのに、行かないのは、ただのわがままだと、思った。
ママの分まで、生きなくっちゃって。
家族って、知るものじゃなくって、なるものでもなくって、気づいたらきっと家族なのよ。
支え合って、大好きで。みんながみんなを思い合うなら、それはもう家族だわ。
[ナターリエの言葉に、びくりと肩を動かす。その後のアーベルの声。嗤う、声。
殺してみなよ、という声に振り向く]
やめて。
[言葉を続けようとして、ノーラの言葉に頷くだけに留める。同じことを、言おうと思ったから。
上へと急ぐ。
部屋らしきところに入ると、声が聞こえてきた。
そして、つげられる数字]
52、年……。
―回想・了―
[そのあまりの年月に、ノーラを握る手に、力が篭った。
告げられる真実、数値の上がって行くアーベルの体]
アーベルさん!?
[みしり、と音が響いた。そして、何かが転がる音]
何? アーベルさんは……どうなったの?。
[ノーラから楯を渡される。受け取って、両手でもった]
[ライヒアルトに引き寄せられ、触れた唇。
離れるのが怖くて追いかけかけてやめる。]
ライヒも、気をつけて。
[そうしているうちに首輪は千切れ、アーベルは倒れ、生まれ出る悪夢。]
おんなの、ひと
[不思議そうにつぶやく。]
[何が起きているのか、見えない。けれど]
……何か、いる。
アーベルさんみたいだけど、違う。
[そしてアーベルの気配はすでに感じられずに]
生きてて、ほしかったのに。
どうして。
[見えない。けれど感じる]
[離し難いに変わりはないけれど、今は。
気をつけて、という言葉に頷く。
音の方へと転じた視界が捉えたのは、石より生まれし幻想。
その様に、『プログラム』を名乗ったものの笑い声は、高く、響くか]
……どこで、笑ってんのか、が問題か……。
[低く呟く。
そこにいる銀はホログラフだろうから。
本体を探さなくては、と研究室を見回した]
『───お は よう』
[小さな姿は唇をゆっくりと動かす]
[直接脳裏に響く言葉]
[すう、と動く]
[僅かに残る蒼の航跡]
[かつてアーベルと呼ばれた石に]
[口づけて]
[航跡は残る]
[そこにいるそれぞれを見る]
……ずるい。
[石て化したアーベルを見下ろして言う。
妖精に視線を移す。頭の中に直接聞こえる声。]
おはよう、そしてさよなら。
[メイスを握り、妖精に向けて振り下ろす。リーチは大丈夫なはず。]
[ゼルギウスのケタケタと言う笑い声が、室内に響き続けている。
ホログラムは、様々な形に姿を変え続け、ゼルギウスに実体が無い事を示し続けている。ゼルギウスのホログラムと向き合うような形で、壁面には、無数のモニタが埋め込まれている。このモニタで、自分達は監視されていたのだろうか?
冷たい汗が背筋を流れ続け、心臓が脈打つ音が聞こえる。
滑り落ちたアーベルの石像にのばしかけた腕は重く、身体はまるで悪夢に囚われる時のように重い。
──嗚呼、悪夢のようだ。
タマゴ型のあのカプセルで、自分達が眠っていたのは、52年。
52年と言う歳月は、短くも無いが、長過ぎる程の長さでは無い。
平和な世界が続いていたのであれば、あれほど国家予算を注ぎ込み、国民に大々的に公開されていたプロジェクトが中止、研究施設が破棄、世間から忘れ去られる事は無いのでは無いか。]
おは、よう ……
──アーベル?
[その妖精のような生き物に言葉は通じるのだろうかと。]
[聞こえてくる声。違う、けれど同じ響き]
もう、あのアーベルさんじゃ、ないの?
[ノーラの手が、優しく髪を撫でて]
そんな。じゃあ。じゃあ、……。
[本当にもういないのだろうか、と、惑う。
ナターリエの別れの言葉が聞こえた]
だ、め。
どうして、どうして、殺す必要があるの?
だって、倒したってもらえるか判らないのに。
逆に、別の人が又投与されるかもしれないのに。
ゼルギウスさんは、保菌者がほしいんでしょう?
なら、アーベルさんを殺されて、殺した私たちを元に戻すなんてこと。
[直接、意識に響く声は、響く笑い声と重なって眩暈を呼び起こすよな心地。
それを振り払うよに、首を振る]
……どこに、あるっ……。
[壁の無数のモニタ。
これを統括するものがある。
必ずあるはず。
端末の形をしているかどうかはわからない。
否、自律式のプログラムであるなら、端末は不要なのか。
そんな事を考えながら、壁際へと、駆けた]
するわけない。
[ノーラの言葉。けれど、声の響きは似ていて]
ピューリトゥーイは、ただの薬だわ。
薬によって、姿が変わっただけって、ことだってあるかもしれない。
だって。
[そこにいるのに]
一緒だもの。
[体の内側、どこかがピシリと音を立て、狙いはわずかに逸れたが、当たる前に妖精は消えた。]
は、
[聞こえたベアトリーチェの声。]
あれは、アーベルじゃない。アーベルは生きる事を放棄した。もの言わぬ石になって。
[ヘルムートの声]
[響く声は少女の声]
『いいえ───私は』
[瞬く]
[蒼い航跡]
『───カイン』
[もしかしたら]
[石になった男の古い写眞集を見たことがあれば]
[記憶にあるかもしれない]
[妖精と思しきそれ]
[被写体の少女に似ていた]
[息を吐いて座り込んだ。]
あれがアーベルだと思うなら。説得でもキスでもして元に戻して。
[メイスにもたれて呼吸を整える。どこが痛いかわからないくらい痛む体。どうせ動けそうにない。ポケットに鎮痛剤があるけど、水を持っていない。]
……ち。
[見つからない。
苛立ち。
変幻する『ゼルギウス』の、嘲るような笑いはそれをかき立てる]
……根性、悪いんだよっ……。
[吐き捨てるよに言って、壁を殴りつけた。
鈍い、痛み。
衝撃が、身体の奥へと通るよな、心地。
天鵞絨を、渦中へと一度向け。
それから、再度、動き出した]
[少女の背に白い翼。
――あの、屋上で見た空を横切った
――白い風切羽のように見える。
きしり、きしり。
耳奥と左胸、いたくはない。きしんでいる。
いばらがないのに、白い花が落ちる。
《内側からいばらが咲いている》]
[死んでいった人たちのことを思う。殺されてしまった人のことを思う。
死にたい人などいなかったように、思う。
どうして彼は、ここに来たのだろう]
アーベルさん。
私、アーベルさんの、撮った写真、一度でいいから、見たかったの。
見る事は叶わないけど。
ずっと、撮ってたよね、写真。
動けなくなるまで。
どうして、撮ってたのかな。何のために?
もっと、たくさん撮りたいって。一枚でも多く、撮りたいって。
[屋上で、彼に手を引かれて風の音を聞いた。久しぶりの風はとても心地よくて、長くそこに留まりたかったけれど]
……っ!
[風の音。
不意に感じたのは、不安。
振り返り、目に映ったものは]
……何やって……!
[間に合うか、否か。
考える暇などなく、駆け出した]
[カインとなのるそれは、女性らしさを感じられた。]
…ッ
[風が走る―――。
ブリジットが動くのが見えても
重い足の自分は走る事もままならなくて]
え…?
[白い花が見えた。]
[風が、吹いた。ナターリエへと向く音に、持っていた楯で防ごうと、転がるように駆ける]
だ、め。
殺させない。
どうして、殺すの?
あなたに、誰かを殺す必要はないのに。
[此処に来るまでに見て来た、幻想世界住人のような生物達。
くらい、暗い展示室に並べられた背中に空洞のある石像達。
この研究所は、死者が向かうと言う、星の彼方、宇宙の虚無を思わせる場所だった。
目の前の妖精は。
剥製のように飾られ、墓標の側に揺れる彼等と、──同じ成り立ち。]
── カイン ?
誰 だ。
アーベルの、何 。
[顔立ちはアーベルと似ている。
彼の近親者の姿なのだろうか、程度しか推察が出来ないが。
兄弟、と言うベアトリーチェの声が耳に届く。
目を凝らしても妖精の動きを追おうとすると、頭痛が酷くなり目眩がした。
無風の室内に、カインが移動した場所から、風が流れる。最初に裏階段を抜けて、屋上のヘリポートに上がった時のような風。]
[座り込んでいたから、妖精─カインが放った風は肩を容易に切り裂いた。服が裂け、露出した肩は血にまみれる。]
理解、……してるはずもない。あたしはアーベルを知らない。でも、生きたいようには見えなかった。
[妖精を睨み、立ち上がる。再度攻撃が来るなら、避けなければ命に関わる。
駆け寄ってきたブリジットとライヒアルトに笑みを向ける。]
血はちょっとすごいけど、たいした事、ないから。だって、痛くないし。
[体の内側に比べれば。]
『アーベルは───求めていた』
[幻影は続ける]
『見失ってしまったものを』
[白い羽ばたきはゆっくりとアーベルの周りを旋回する]
『なくしてしまった翼を』
[少女の問いかけに]
『アーベルにとって写真は呼吸なの』
『撮るということで”探し続けた”』
『見えなくなってしまった風を』
[ベアトリーチェと、こちらを心配げに見るノーラにも、笑み。]
大丈夫、死なないから。だって、一緒に帰るんだから。それより、固まってたら一網打尽にされかねないよ。
[目の前、散った、いろ。
交差したのは、過去。
風にさらわれるよに、そらへ消えた──]
……ばか、やろっ!
問題が、違うだろうがっ!
[たいした事ない、という言葉に>>210。
口をつくのは、怒鳴るよな、声]
視える事が…
見る事が全てじゃない。
[周囲を旋回するカインに言葉を投げる。
自分はナターリエの方へと歩く事も出来ない。
少しだけ離れた場所。]
例え見えなくても…
風は感じる事が出来る。
揺れる稲穂の写真を見て
空に舞う鳥の写真を見て
風を感じる事は出来るわ。
[ライヒアルトの怒鳴るような声に、笑みは苦笑になる。]
ごめんなさい。でも、あたしが悪いのかな。
[転がるベアトリーチェ。傍にブリジットが行ったからほっとした。]
[恐怖――恐れ。ないわけではない。
それよりも、己を突き動かす
ぎりぎりで立たせるたった一つ。
己に課した責。
いばらは咲く。――いばらは咲く。]
なくした 風…
[“――― なら、 風が 見えるかな”
あの時、彼は何と謂ったのだったか。]
●業務連絡●
村立て遅くなってすみません。
でもほとんどお任せ状態になります。
で、さすがにきつい!であれば、これよりメモ打ち合わせ解禁します。
本当に村立ての無茶ぶり、みなさんありがとうございます。
……ああ。
どうやら、ほっとくのは多大な間違いらしいからな。
[感じた眩暈を振り払うよに、頭を振って。
それから、ブリジットの言葉>>213に、頷く。
鎮静剤は未だ、ジャケットのポケットの内に、ある。
忘れかけていたけれど]
……どっちもどっち、だ。
まったく。
[向けられた苦笑に、零れるのは、嘆息>>216]
……とにかく、少し、下がるぞ。
[嫌だといわれても、抱えて連れて行く気ではあるが]
[風の流れた方向から血の匂い。
妖精の風が、ナターリエを切り裂いたらしい。
ナターリエの生きる事を放棄した、と言う言葉は違うなと思った。
昨日、ヘリの中で鎮静剤を巡るブリジットとアーベルのやり取りを聞いていたから。だが、ヘルムートも、一番最初にアーベルが薬を拒んだ時に同じ事を考えた。
アーベルから聞いた言葉はとても少ない。
彼は無口だった、と改めて思う。]
風を?
[楯を杖代わりに身体を起こす]
なくした翼って、何?
でも。
[なくしたものは戻ってこない]
じゃあアーベルさんは、いつまで探すつもりだったの?
もう、探すことは、やめてしまったの?
写真に風は写らない。風は、心に映るものだから。
風が吹くと、判る。
その風が運ぶものが。
でも、アーベルさんが探してた風は、そういうものじゃないんだよね、たぶん。
[傷ついた右肩より、服が裂けて見える腕の変色の方が痛々しいかもしれない。]
あたしを聞き分けがない子供と思ってる。
[ライヒアルトが眩暈でふらついたから、下がると言うのに素直に頷いた。そうすれば、彼も休めるはずで。]
[少しの間、考え込むような沈黙の後、]
──ライヒアルト。
ナターリエと一緒に、部屋の奥にある機械類を調べてくれないか。ゼルギウスがプログラムなら、何処かに稼働を止められる場所ある。
此の手の施設に一番詳しいのは、
この中だとライヒアルトだ。
[此処までの道のり、書類を見る時、あの施設で実験器具を扱う時、少し視界が悪そうに見えたから、]
ナターリエに手伝ってもらえ。
[風が舞い上がり白い花がひらひらと舞う。]
……
[アーベルから生まれたカイン。
このまま殺して、――ゼルギウスは?]
やっぱり…
私、殴るわ。
[探そうとカインから離れるように足を引く。
がり、がりり、と石を引きずるような音がする。]
鳥……。
そうね。鳥は、風に乗って飛ぶのだって、教えてもらったの。なら、風が見えてもおかしくない。
でも。
[思い出す。風が吹いた日。いつも。どこでも。吹くと風の気持ちが流れ込んできていた]
風が見えても、飛べないの。私は、人だから。
鳥じゃ、ないから。
アーベルさんは、鳥になりたかったの、かな。
『───』
[少女は目をつぶり]
[歌声に耳をすませる]
『そう───探していた』
『荒野の中に安息の地を』
[蒼い航跡]
[ペルセウスを描く]
『ゼルギウス───お前の負けね』
[それは風の囁き]
[《――鳥になったら 風が見えるかな》
屋上の強い風。横切った白い鳥。
響いて消えた、テノールの歌声。]
…――貴方 鳥に なりたかったの アーベル
…――そうして、“永久にやすらう場所”を…
[悲しげに眉を寄せた。
いばらの葉色の眸が揺れる]
……ああ。
同い年とは思えんくらい、子供だと思ってるが。
[さらり、返しつつ。
目に映る、変色した腕に、天鵞絨を細めた。
そこに聞こえた、ヘルムートの、声]
……確かに、この中では俺が一番そちらに明るいでしょうしね。
[不本意だけど、と苦笑して。
先ほどから探していたそれを求め、再度、奥の機器の方へと向かった]
『鳥ではないわ』
『文字通り───望んだのは風化』
『薬に頼らず』
『あるがままの時と』
『死を受け入れて』
[白い羽は羽ばたき]
『咲いて───朽ちる』
[黒百合にぽつぽつと混じる白]
[22%は、(Lv3.) アーベルを支えて歩いた所為だけではなく。腰から背に掛けて腎臓のあるあたりから、石膏の粉が落ちたような匂い。手足は無事だったが、徐々に動きが鈍くなっているのが理解出来た。
風が巻き上がる。
ベアトリーチェが巻き込まれては行けないと、走ろうとしながら、]
ベアトリーチェ。
[ふと気付く。風は自在でも、妖精自身はアーベルの周囲からそれほど離れられない事に。此処に来るまでのフロアに有った石像と幻想生物達のよう。]
[ゆっくり指差した先]
[そこには]
[きっと銀の原本が眠る]
『───行きなさい、生きるを望む人たち』
『時間は、多くは残されていない』
[少女の声は告げる]
『そして───征くといい』
『茨の鳥籠の如きこの世界を』
[ゆっくりと薄れる少女の姿]
『強く、強く───羽ばたく鳥のように』
…あるがままの―――死。
[がり、と地面を削る足から白い粉が生まれて風に運ばれていく。]
[鳥に――風に、なりたい。]
[頭に咲いた黒百合が白く、白く。]
[聞こえた声。風が吹く]
あるがままの死でも、この病気は、残酷だわ。
でも、アーベルさんは、そうしたかったのね。
[ヘルムートに名を呼ばれ、大丈夫、と首を振って]
風に、なりたかったの?
[壁際に寄って、一つ一つ、機器を辿る。
右の光が失われている分、視野は狭い]
……あの性格だと、まず、普通に『わかる』ようにはしないはず。
何か……違う形の、目印があると思うんだが。
[零れる呟き。
届く、妖精の声>>234に振り返る。
霞む視界は、その示す位置を捉えきれない]
……どこ……だ?
[問いは自然、傍らのナターリエへ]
[子供と言われて頬をふくらませかけ。]
ライヒならいいか。せいぜい甘えさせて。
[笑って。奥の機器へついて行った。
問われるまま、妖精の指差す先を示した。]
ここよ。
もしそうなら。私と一緒なの。
今は違うけれど。
風は、自由だもの。
色んな世界を、見てみたかったから、風になれたら、視られるのかなと思ってた。
[幼いころの、夢。理由は違うのだろうけれど。
生き
征きなさいと、声が聞こえた ]
行き
行かなきゃ。生きるために。
[白い花を巻き込んだ風は、盲目の少女へ向けて流れる事は無い様子。ヘルムートは、見開いた両眼をカインに向ける。]
──消えるのは、待て。
アーベルは、
ピューリトゥーイを投与された彼は、
死んでも。
囚われてたまま なのか?
[記念写真が最初の写真だと虚ろな声で言ったアーベル。彼は、ファインダーに切り取られた時間の中に。石像の中に。永遠に?]
『なりたかったんじゃないわ───探していただけ』
[指差した先へ風は流れていく]
[道標を作るかのように]
『───ありがとう、やさしいひと』
[白い花と茨]
[その茨と花を]
[風は求める]
[少女を壊さぬように]
[編み上げる茨の冠]
[これがあればもう]
[風は十分だった]
[薄れていく――消えていく、姿に
いばらの葉色した眼を哀しげに細める。]
……―― …
[うまく、声が出なかった。
いきなさい。
花びらが、はたり はたりとおちた。]
『アーベルはもう───大丈夫よ』
『私が連れていく』
[ヘルムートにこたえる声]
[茨の冠を己の頭上へと戴き]
『アーベルにとって───死は解放』
『この世の痛みと柵から解き放たれること』
『荒野の先にある安息の地』
……まったく。
[甘えさせて、という言葉。
返したのは大げさなため息、一つ。
示された先には、一角獣のエンブレムが刻まれていた。
癒しの象徴。
細められる天鵞絨]
……どこまでも、いい趣味だな。
[呟きながら、エンブレムの周辺を辿る。
指先はやがて、隠された端末を開くスイッチを探し当てる。
開いた端末、小さなモニター。
高速で流れていくのは、記号の如き文字の、羅列]
[瞳を開けば新緑の欠片、まだ見える。
足もちゃんと地面についている。]
アーベル…――
[連れて行くという声。
その主の姿は消えゆくままに。]
[頬を擽る風に髪を耳にかけて]
風が吹く時…
貴方を思い出すわ。
[黒百合の少女から眼を離せないで。
巻き上がる風に亜麻色は揺れ、いばらの冠が編みあがる。
蒼い風は
金の少女の髪を、
誇り高き者の黄金を、
星を詠む者の黒髪を、
天鵞絨の眸の青年の髪を
寄り添う女性の金色を
石と化した写真家の頬を撫で
行く先を指し示す]
[ ――黒百合の少女は頚を横に振る。
それを確かめた、ブリジットは
ふ、っ と
風に髪を揺らし 花びらが舞い散るように
その場に斃れこむと
白い花を胸元に咲かせて
*眼を閉じた*]
……お前が、何のために作られたのかは、知らんが。
[語りかけながら、端末に触れる。
プログラム的な操作は、石と化した少女の方が得意だろうに、と思いながら]
……とめさせてもらう。
先へ、進むために。
……とまった時間を、進めるために……。
[手を動かしてゆく。
知る限りを駆使しての、強制終了操作。
いくつかの抵抗を抜けて。
要求されたパスワードに、しばし、思い悩み。
打ち込む単語は、思いつきの導いたもの。
『Rosa multiflora』]
『旅立つ者に───清浄なる茨の王《ピューリトゥーイ》の祝福を』
[ひとつ][ふたつ]
[ほんのりと輝いて消えていく][幻想種達]
『失われた片方の翼』
[緩やかになった上昇気流に乗って]
『今は、安息の場所へ飛び立つための───翼であり風』
[───わらって]
『ありがとう』
[風は消える*]
[連れて行く、という声。寂しいと思った]
アーベルさんのこと、忘れない。
カ、インさんのことも。
[足はノーラのほうへ。たどり着くと、その身体を支えた]
[風が示す道筋を見た。]
カインが
アーベルを、
連れて行けるのなら、良い。
[随分と重くなった足は、示された道へと一歩進む。
──吹き抜ける風に、黄金の髪が乱れた。]
[不意にカインを見つめ、口の中でだけ、言った。
アーベルとカインの事も忘れないから、と。
カインが消えればライヒアルトの手を見てにこにこしている。]
[ “ありがとう”
そう聞こえたのは、 きっと
幻聴でも、 まぼろしでも なかった。
いばらは咲く。――咲いて、舞い散る。
身体が重い。
重いけれど、でも。
――薄く開いた霞がかった眼に 滲んだのは涙]
[胸に白い花を咲かせて倒れたブリジットの身体を抱え上げる。
ベアトリーチェとノーラが、寄り添いながら前に進む姿を横目に、随分と遅くなった足取りで、ライヒアルト達が居る方へと──。]
[打ち込んだのは、野茨を示す、学名。
直後、感じたのは、風の流れ]
……ん。
[いろを失わぬ天鵞絨は、消えゆくものたちを捉える。
じゃあな、と。
小さな呟きを、心の奥に、落とした]
[再度、向き直るのはモニター。
パスワードは、受け入れられていた。
終了の是非を問う、表示。
選ぶのは──終わりを、ねむりを、導く選択肢。
流れてゆく文字の連なり──それは、やがて、消えて。
銀なるものは。
その動きを、止めた]
……止まった。か。
[空白を経て、零れたのは、小さな呟き]
笑ってるのね。よかった。
よかった、のかな。
[涙がこぼれる。又いなくなってしまったと、思い]
ノーラさん、もう少しで、きっと治るから。
エーリッヒさんも、笑ってるかな。
[身体が浮いた感覚があった。
ぼんやりと、眼を開く。呼びかける声があった。]
……―― 、 ―ッ…、…
[頷き返そうとして咳き込み押さえる手のひらに
花びらと棘が落ちた。それがおさまれば、
手を握り締め小さく頷いて]
…… ――大事 ないの よ
[はたり、と 落ちる。
落ちる、落ちる 落ちる涙。
深く俯けば亜麻色の髪に隠れて見えないだろう。
眼を閉じて、流れるに任せる。
声を殺して、
しずかに。
静かに。]
…えぇ。
[ベアトリーチェの零れ落ちる涙を
そっと掌で拭ってあげようと手を伸ばす。]
きっと、良かったのよ。
[静かに諭すような声色で]
エーリッヒは…
[遅い足取りが、ライヒアルト達の居る場所に辿り着く間に、ゼルギウスの声が小さくなり、各フロアの様子や、ノイズだけが走っていたモニタ画面(あの古城にカメラがあったのだろうか?)が暗闇にかえる。
点滅していた僅かな機械類のランプもオフになり、瞬く星座のような幻想生物達も、姿を消す。]
[間に合わなかった命を思う。
ノーラの方を視た。糸の先、揺らめく、色]
ノー、ラさ……。
[症状が進んで見せたもの。
喉の炎症は進んで、目に。
その過程で見る、初めての、]
ノーラさんは、やっぱり、綺麗な人なの。
[一瞬の奇蹟。色は又、元に戻り、少女の視界を闇に返した]
終わった、ね。
[ライヒアルトの手に左手を重ねて微笑む。
どの顔も疲労の色が見て取れた。
眩暈がして顔を伏せる。]
少しだけ、……休ませて、ね。
うん。エーリッヒさんも、先生も、イレーネさんやダーヴィッドさんや、みんな。――ツヴァイさんも。
笑ってると、いいな。
[支える重さを感じながら、ゆっくりと、笑みを作る。目には、涙]
[え、と声にならない声が出る。
盲目の少女に訪れた一瞬の奇蹟。]
……ベアトリーチェ。
[ふ、と笑う笑顔は――もう見えないのだけれど
優しく彼女を見つめながら]
今度、星座を教えてあげるわ。
…暗闇ほど輝く綺麗な光の話を―――。**
……ん。
そうだな。
[重ねられる手。
小さく、頷いた。
休ませて、という言葉には、一つ瞬いてから、頷く]
……ああ。
起きたら、いう事がいくつかあるから……な。
[腕の中、押し殺した声と僅かな震え。
故に、少女の髪に触れない指が。赤毛の男の前髪を何度も直した事を、指先が思い出す。]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
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