[アーベルの手にある武器に小さく笑う。
御伽噺に伝わるように銀を持ってくるかと思っていたのに
料理をするための煌きに厨房に立つひとを思い出してしまった。]
――…ん。
[仕方ないひと、と。
そんな風に思いながら、謝罪の言葉にゆると首を振る。
蒼花を抱く導き手としてもひとりのひとに違いない。
酷なことをさせると思えば申し訳ない気持ちになった。
彼の狙いがそれぬようにじっと動かず見詰める。]
終わらせよう。
[死にたくなんてないけれど。
これ以上誰かをころすのも
それで誰かをかなしませるのも苦しい。
そんな思いを汲むかのようなアーベルの声に小さく頷く。]