[『彼』が、リディヤの前から消えたのは、本当は、名を尋ねられたからではなく、>>+33リディヤという人間に、一瞬なりと「個」としての思いを抱いた事への戸惑いのせいだった]ごめんなさい、なんて…[ゆらり、再び影が形を得るのは、地下深く、無数の墓標の立ち並ぶ闇の中]言わなくていいのに。[リディヤには返せなかった言葉を、ぽつりと零す]