灯明翳して進む隧道を抜けた先宙に張り出したかのようにその村は在ったかつては賑わいを見せた黒曜石の鉱山拠点往時の面影はそこに無く僅かな畑と隧道向こうの山の幸と自給自足に近い慎ましやかな生活が営まれていた冬には雪に閉ざされる道夏の雪融けを待って登ってくる来訪者異変の兆しを知る者は今はまだ、僅か――――