大祭会場の中央、『月の玉座』。
銀と月長石によって築かれた祭壇は、いつもの静寂とは打って変わったざわめきの内。
そのざわめきを制するよに、リン、リリン、と鈴の音が響く。
『我らが女王と王のお出まし。
皆、静粛に、静粛に』
先にも報せを伝えた声が響き、鈴と喇叭の音が響く。
声と音が静寂を呼び込んだ、直後に『月の玉座』の前に光の珠が舞い降りた。
金と銀、二色の光は弾け飛び。
金色の蝶の翅を持つ黒髪の王と、銀色に透き通る翅を持つ金髪の女王へそれぞれ形を変える。
女王の手には薔薇色の宝珠。
それは月の光受け。
きらり、きらりと煌めいた。