─ 屋敷/エントランス ─
[借りたタオルで水気を拭っていると、同じように雨宿りを求めて駆け込む者が次々と現れる]
(……何気に、人、多くね?)
[聞いた話と違う、と思えど、そんな思考は心の奥底。
顔にかかる、微かに湿り気残る金糸の如き髪をさらりと払い、浮かべるのは懐っこくも見える表情──所謂、営業スマイル]
……雨に泣かされたお仲間さんは、予想以上に多いようで。
しかしこの降りだと、しばらくは動けそうにないねぇ。
[開いた扉越し、垣間見えた外の様子にため息つけば、雨が止むまでは客室で休んでいてくれ、とメイドから声がかかる。
どうやら、濡れた服が乾くまでの間の着替えも用意してくれているらしい]
(……至れり尽くせりですこと)
[淡々と告げられる言葉にまた、内心で首を傾げるものの。
ゆっくりできるというならば、それを厭う心算はなかった。**]