……まさか……な。
[対なる者同士は、少なからぬ共鳴を起こすらしい、とは伝承のどこかに記されていたか。
それが、見出す者、見極める者にも適応されるというならば。
そんな、巡る可能性を否定するように頭を強く振ってから、部屋を出る。
汗を落としに行く心算──だったのだが]
……?
[とある扉の前で、足が止まる。
その向こうから微か、異様な臭いを感じたような気がして]
……これは……。
[ここ数日、幾度となく接し、つい慣れてしまいそうになっているそれ──血の臭いに。
反射的に、その部屋の扉に手をかけていた]