[春の名を幾ら呼ぼうとも返事は聞こえない]――莫ァ迦。『ignis』との話が済む前に眠るやつがあるか。[いつもの軽口を紡ぎながら笑おうとするが如何しても泣きそうなかたちに歪んでしまう]莫迦なのはボクの方、か。[自嘲的な響きは消え入りそうな程弱い。春の肩を抱いたままあれば背に触れるぬくもり>>26]蛍、ちゃん。[幼馴染の名を呼んで、再び溢れそうになる涙を隠すように微かに顔を伏せた**]