― 黒珊瑚亭 ―
うん、12年だから、ね…。
分からなかったのはお互い様、か。
連絡できなくて、すまない。
[ユリアンとは確か同い年だったか。
破顔する彼>>26に、つられるように頬を綻ばせるも、
男前と呟かれれば、え?とびっくりした様子で瞳を瞠り]
はは、ユリアンこそ、少し逞しくなったような?
[記憶の中の子どもの彼と目の前を比べて、
何処となく羨むような声で小首を傾げ]
ありがとう…。
ただいまって、笑顔で言えたら、どんなによかったか。
[おかえりに言葉に小さく微笑んでから。難儀だという呟きに、
…そうだね、と重い口調で頷いて、再び瞳を翳らせた]