人狼物語 ─幻夢─

64 滄に揺らめく銀鏡


双生児 フォルカー


―夜明け前/エーリッヒの部屋―

[昨日と同じくエーリッヒの部屋に、窓から差し込む月明かりの下、確かにエーファはいた。
ただ、そこにはあるのはエーファだった遺体、まだ殺されて間もなく、血も乾かず床にその赤を広げている]

なん、で……

[守りたかったはずの、守らなきゃいけなかったはずの存在はもう二度と返らない姿に。
喉から胸、お腹までを切り裂かれて、どちらの遺体かは怪我の跡からは判別のつかないものに。
そこには見るものが見れば、足りない部位がいくつかあるのもわかったかもしれない]

嘘だ、嘘だって、言ってよ…ねぇ……

[言葉が続かない、エーファの死体にすがりつき、よく似た二人はともに血塗れて重なるように。
体の痛みと、半身を失った心の痛みと、耐えられなくなった意識はそのまま落ちていった。
二つ重なる、よく似た双子、生者と死者に分かれたその姿を誰かに発見されるのはもう少し後のことになるだろうか**]

(48) 2011/01/14(Fri) 02:43:29

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