人狼物語 ─幻夢─

91 白花散る夜の月灯


娼妓 カルメン

[浴室前での護衛などイレーネの為であれば二人の騎士にとっては造作もない事だろう。
自衛団長を発見されたあの朝も寒い外でイレーネの傍についていたエーリッヒ。
老尼僧がみつかったあの時も聞こえた声から付き添っていたはずと思う。
行商人を追いかけたあの時もカルメンの言葉がなくともイレーネの傍についていただろうから。
マテウスにいたっては愛娘のことなのだから当然と思う。
老尼僧の死に衝撃を受けくずおれかけたカルメンを支えてくれたやさしい人だ。
自分の予想ははずれていないと思える。]

 イレーネちゃんの為なら少しくらいの寒さもへっちゃらじゃないかしらね。

[行商人の死には結局触れようとはせず、悪戯な言葉を常より多く用いながら
甘えてくれる彼女と共に湯あみをすることにした。

邪魔はするな、と言われてはいたけれど
狙いがいつのまにか変わった事も知らぬまま
ささやかな抵抗のように、その夜は時許す限りイレーネの近くに在った。]

―回想/了―

(53) 2014/01/16(Thu) 14:56:05

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