[ばさり、と、黒いロングコートが風を孕む。黒い翼のように広がったそれを、血の色の長い髪が広がって追った。風に煽られた髪の下から愉し気に笑う紅い瞳も覗いただろう]
ひゃっほーーーー!!
[飛び降りた場所から、地面までは、そんなに遠くはない筈なのに、まるで高層ビルから飛び降りたかのように、長い時間、コートは風に煽られていた。そうして、漸く地面に足が着いた時、そこはもう中庭の端]
毎度のこったけど、どんな繋ぎ方してんだよ?シアねーちゃん。
面白かったけどさあ。
[笑いながら、木の傍に立つ、屋敷の主に近づいてゆく]
や、どーも!
[先客が目に入ると、にっこり笑顔で片手を挙げ、軽く挨拶を送った**]