[ぴくり、と。それまで微動だにしなかった銀の獣が身を震わせる。畳まれていた四翼がばさり、と大きな音を立てて空気を薙いだ]……つくづく。縁があるというか、なんと言うか。[零れ落ちるのは、笑うよな、声。ゆるり、と開いた蒼の瞳が空を見上げて細められ、そして。吹き抜ける、疾風、一陣。銀の獣は、黒の装束に身を包んだ蒼の髪と瞳の青年の姿へと変ずる。右の手首に揺らめくのは、銀の糸]