[昔を想い出したか、主からも幾つかの問いが寄せられ]
はい、怪我のほうは……左目は流石に無理でしたが他はまったく問題なく。
今は紹介していただいた教会に身を寄せてそのまま。
ええ……巡礼の旅をしているのも、あの時亡くなった姉や他の方々の慰霊と……贖罪の為に。
[最後の言葉を言う時、表情は少し苦い物になっただろうか。
その様子に、主は宥めるような、諭すような言葉を幾つか落とし
それを聞いて男は少しだけ笑う]
お気遣いありがとうございます。
もう暫くしたら旅は終わりにして教会に戻るつもりです。
[故郷には帰らないのか、との問いには]
戻っても、何もありませんから。
[小さく、それだけを返した]