― 1F非常口→宿直室 ―
[頭へと触れるぬくもりに一層視界が滲んだ。
学長の心遣いに感謝するように目を伏せれば
血の気の引いた親友の顔が映り込む。
痛みに耐えるように柳眉を寄せて歩むうち宿直室へと辿りついた。
鍵をとってきてくれた春陽に小さな会釈を向けて
学長の敷いた布団に響を寝かせる]
――…学長。
如何して響がこんな目に遭わなきゃならないんですか。
[ポツリと零す声は常より沈んだ音]
響は誰かに恨まれるようなヤツじゃないのに。
如何して、こんな事に……。
[誰に向けられたか分からぬ学長の声とその表情。
憤りを感じるのは自分だけではないのかもしれないと思えば
言葉はそれ以上続かず、何も言わぬ響へと視線を落とした**]