─ 洞窟奥地・苔の広場 ─
[飛んだ意識が彷徨うのは、幼い頃の夢。
地下書庫の一画で見つけた、不思議な書物たち。
最後まで書かれているものもあれば、途中から白紙になっているものもあるそれがなんなのか。
問いかけに対する、父の答えは──]
…………ん。
[まどろみは、不意に解ける。
目覚めを導いたのは、右の手首の微かな熱と、他者の気配>>78。
ぼんやりと目を開け、数度瞬く。
微かな熱の源──緩やかに花弁開く、淡い黄色の大輪花は、今は誰の目にも明らかなもの]
……あれ。
何してんだ、こんなとこで。
[覗き込むのが誰か気づいたなら、口をつくのは惚けた呟き]