[死した者と会えなくなるという事実を認識して、落ち着けるのに幾らの時を過ごしたか。愚痴るといったわりには無言でいたが]
それでも、一人でも多く生きて欲しいと思うのは、偽善だろうか
[この気持ちは、己が抱くに値しないもの]
その中に、親しきものが入っていて欲しいと思うのは、傲慢だろうか
[目を開いて改めて外でできた友人を見やる]
二度と会えなくても、どこかで生きていてくれたらいいと思うのは、自己満足だろうか。
[裕樹の持っていた剃刀を手に取り立ち上がる]
もらってく。嫌だったら取りに来い
[部屋を出て、階下へと降りた]