― 浜 ―[手伝うなどと申し出たが、その必要は全くなさそうで。老人の身体を支えるようにしながら、患者の治療に集中する様に見入っていると]……どうかお気になさらず。はい。昔、この島に住んでいました。[声を掛けられ、微かに瞳を瞠るも、12年もたてば忘れられても仕方がない、と微笑する]いえ、12年も前のことですから、覚えておられなくても、無理はありません。エーリッヒ・ガウナーといいます。家族が、先生のお薬を頂いていました。[視線を同じく老人に向け、呟くように名を告げた]