姉さん?[薄く開いた扉を開くまで、漂う異臭に気がつかなかったのは、きっとずっと同じ臭いを纏っていたからだろう。飛び込んできた光景には、流石に目を瞠る。]…… イライダ姉さ ん。[昔淡い想いを抱いた美しいひとは見る影もない。引き裂かれた喉。中身の無い空洞。周囲に落ちた肉片、内臓の欠片。それに加えて獣毛と足跡。呼ぶ声に返る声はない。ある筈も無かった。]