[防御用に作り上げた岩壁を、攻撃用に作り変えるために気を打ち込むも、何故かそのまま岩壁を通過し、相手へとぶつかる。その気も狐を貫くには至らなかったか]
くっそ、練り方ミスったかな。
最悪だ。
[未だ力に馴染めて居なかったのだろうか。十分な硬度を作り上げたはずの岩壁が狐によって破壊される。覗く白き毛並み。眼前に見えた牙に覚悟を決めた──それでも頭を護るべく篭手を掲げている──が、唐突に狐の動きが止まった]
……な、んだ……?
[白かった毛並みが赤へ、そして黒へと変わり、見慣れた姿へと変化していく。半ば呆然とそれを眺め、相手が仰向けに倒れ込んだところで、ハッとして岩壁から外へと飛び出た]
久鷹!!
[未だ悪しき心が支配している可能性はあったが、突然の結果に一つの望みを抱き、久鷹の傍へと駆け寄った]