[駆け寄ってきたサキを目の端に感じつつ久鷹は自嘲気味に笑った]
けっ……。情けねえ……。お前じゃなく、『ヒサタカ』に負けちまうとは……。
[あの瞬間、ヒサタカは檻の破壊に成功した。そして中から悪しき心を殴り飛ばしていた。尤も、その瞬間、九尾の力が流れ込んで来た気がしたがそれは口にださなかった。
とにかく、久鷹はサキの瞳を真っ直ぐに見据えた]
俺はここまでだ。だがアイツは違う。『ヒサタカ』のように俺を拒絶せず、受け入れた。……お前が一瞬ビビった殺気。アイツは平然と受け流した。それくらい強い。だから……。
[澱みなく語る。そして言葉を切るや、突然サキの頬にキスをした]
……地獄にお前が来るのを待ってるぜ。
[そうして、悪しき心は再び倒れた。後に残ったのは全身が慣れない雷によってボロボロになり、意識を失った*ヒサタカだけが残った*]