― 宿屋 ―[暫くの後、手には爪の跡が微かに残る程度だけれど手を開いて、部屋の前へと近付く。去ってゆくゲルダ、エーリッヒの二人は、ただ見送るだけだった] ――おい。 お前ら、一旦どけ。 顔洗って来い。[泣いている女性には、ぶっきらぼうにも聞こえる言葉を伝える] 此処、他の女が近付かないようにしておく。[半ば眠気が覚めきっていないからか、琥珀の目は半眼になっていた。ライヒアルトに二人は任せる気満々だ]