─ ヘンリエッタの部屋 ─
[紅の下で赤が溢れたその後。
部屋の窓際にある鳥篭の中で沈黙していた白いカナリアが、俯かせていた顔を持ち上げる]
lililululu pipipilili
lililititi lulupipipi
lililulili lululiluli
[あの嵐の日から鳴かずにいたカナリアが歌うように鳴いた。
そのおとは優しげで、どこか悲しげで。
誰かを呼ぶような声にも聞こえる]
lululilulu pipipipipi………
[終わりを告げるが如き鳴き声は、しばらくの間、屋敷の中に*響き続けた*]