[下がらぬ選択は向こうの意表を突くに至ったか、背面に回り込む猶予はあった、ものの]……ちっ![石突きが巻き上げた砂が視界を遮る。そのため、穂先が何れに向いているか、を見切る事はできぬまま。そちらに気を向けるよりは、と取った背面と距離を生かす事に専心する]……っせい![砂地に膝突いた姿勢から、両手で構えた太刀を、自身の右下から左上へと振り上げつつ、跳ね上がる。直後に繰り出された槍が左の脇腹を捉え、砂の上に紅を散らした。*]