アタシにとっては褒め言葉なのよぉ。
[続く言葉には地を駆けながら頬が僅か朱に染まる。懐に潜れたなら蹴りの一つでも食らわすつもりだったが、獣の俊敏さにはついて行けず。途中で低い体勢のまま、ザッと少し滑りながら停止した。遅れて真紅の髪が背中へと落ちる]
その瞬発力は流石、よねぇ。
衰えてないよーで安心したわぁ。
[後方で糸から解放されたチェーンソーが空中を落下する。途中、その輪郭がぶれ、一瞬にして影となり。ルージュの手元へと吸い寄せられ再びチェーンソーの形を成した]
さぁ、今度こそ跪いてもらうわよぉ、アーベルちゃん?
[再び鳴り響く轟音。下から見上げるような真紅の瞳がアーベルを捉え、舌が真紅の唇をなぞった]