― 広間(ライ&エリ帰還後) ―
[クレメンスが戻ってくれば、会釈くらいはしただろう。
その腕にある烙印は、父に仕える使用人の数名にもあるものなので、すぐに何かはわかったが、特に言及はしない。
けれど、ふとなにかを思い出しかけた。
昔、幼馴染みの腕に見たなにかと、子供の頃に両親の話を聞いていた事と。
その両方が中途半端にまじって、軽く頭を振る]
ええ、ボクもそう思いますよ。
でも、世間には、現場のことを何一つ考えずに自分の価値観だけを押し付ける、頭の固い人はいるものですから。
念のために言っておくだけです。
[責任なんてとる必要ないという言葉には、そう笑顔で応じる。
そういう輩ほど、権威には弱く。貴族が言ったことであれば、その善悪は考えずに全て肯定するものだ、とは経験上知っている]