―学長室―
ね、ねえ、そんなに大声で怒鳴らなくたって、いいじゃんか。
そろそろ俺、ちびりそう。あと窓、きっと割れる。
[学長の雷>>129に思わずにじんだ涙をぬぐいもせず、ふるえた声でゆっくりと言った。]
(だから、気が重かったんだ……。
この大声さえ、なければ、学長との掛け合いは、おもしろいんだけど!)
[心に浮かんだことをそのまま口にすれば、大人をからかうとは礼儀知らずにもほどがある!と怒鳴られるのは分かっていたので―経験済みだ―心の言葉のままにした。]
マ、マラソンのことは、忘れてくれたっていいじゃん!?
[まずスタートを告げる銃声の爆音にびびって転び、総距離の中間あたりで他の男子生徒ともつれてすっころび、最後はわき腹の痛みに涙目になりながらブービー賞を獲得した(ゴール時にも自分の足にひっかかって転んだ)、あの忌むべき一年のマラソン大会の記憶!
当時の写真部部員に転んだ瞬間はばっちりおさめられてしまい、写真部部室にいまだにネガが残っているとかいないとか]