―自宅―
[子供の頃から遅くまで起きていることが多い僕は、朝が苦手だ。
起き出すのはいつも、食事の準備が整う頃になる。
妹が食事を作り出した頃はそれはもう酷いものだったが、回数を重ねる毎にまあ食べられる様になり、それからも少しずつ上手くはなってきている。
けれど今日は良い意味でいつもと違っていた。パンもふっくら焼けていて、いつもより数段美味しいとさえ思う。
何かあったのだろうかと思いながら顔を上げると、]
……?
[何故だかまじまじと見られていた。
何だろう。とは思いながらも、問われなければ味の感想を話すことは無い。
ただ見ていたなら、パンを口にした瞬間に少し目を瞠ったのは分かったかも知れない。]