[銀糸の舞、それの織り成す刹那の隙。
僅かな間隙を縫う一撃への対処は、やや、遅れた]
……やべっ……!
[翼を広げて上に抜けるには、遅い。
どうするか、の逡巡の間に、脇腹が深く抉られる感触が伝わる]
誰も、受け止めてくれ、なんて頼んでねぇっての……!
[突っ込みを忘れないのは、ここまで来ると単なる意地か。
こみ上げる何かを強引に押し込みつつ、翼を広げ、強引に生み出した揚力で上へと飛び上がる。
乱雑に舞う、銀。それと共に零れる真紅で地面を染めつつ。
やや、距離をあけて舞い降り……そのまま、膝を突いて紅を吐き出した]