―広間―[ゲルダが厨房から戻る頃にはライヒアルトも戻ってきていた。慣れぬ血の匂いが彼から漂う。義兄が自分の立場なら如何しただろう。考えても答えなど見つからない。伝承に詳しく義兄とも親しかったエーリッヒなら義兄の考えがわかるだろうか。ゲルダに礼を言いホットミルクのカップを受け取りつつエーリッヒの姿を探して菫を彷徨わせたが其処に姿は無く]ゲルダさん。[彼女を見上げ名を呼んで]エーリッヒさん、は……?[彼の名を紡げば昨夜の出来事を知ることが出来ただろうか]